SEMCO社(ブラジル)訪問 - 従業員満足度調査・360度評価のリアルワン株式会社 - 人と組織の成長を支援

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2010.11.30

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SEMCO社(ブラジル)訪問

ブラジル連邦共和国のSEMCO社(以下、セムコ社)を視察させていただきました。
セムコ社は、現在、従業員約3,000人規模のコングロマリット企業です。ある調査会社の調査では、
ブラジルの学生の「就職したい企業No.1」に選ばれています。
そして、その革新的な経営手法は世界的にも有名で、毎年、世界中の大企業の経営幹部が同社の成功の秘訣を学ぶために訪れています。
また、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学等々のビジネススクールでは、教材として数多く取り上げられ、同社のオーナーであるリカルド・セムラー氏自身も大学で教鞭をとられています。既にお読みになった方もいらっしゃる思いますが、セムラー氏の1993年の著書、MAVERICK The Success Story Behind the World’s Most Unusual Workplace(邦題:セムラーイズム 全員参加の経営革命)は、全世界においてベストセラーになっています。
同様に、2006年に出版された「奇跡の経営 一週間毎日が週末発想のススメ(リカルド・セムラー著 訳:岩元貴久)」もベストセラーとなり、多くの企業が経営の指南書として参考にされている著書です。

今回私どもが視察訪問させていただいた背景の一つには、当社のサービスがあります。
リアルワンでは、従業員満足度調査(ES調査)360度評価を生業としていますが、セムラー氏の上記著書にも記載があるように、セムコ社でも従業員満足度調査(ES調査)や360度評価(Upward Feedback)を実施されています。

-関連記事:従業員満足度(Employee Satisfaction)とは何か?定義、研究事例、効用について紹介
https://www.realone-inc.com/information/es122091/

-関連記事:360度評価とは
https://www.realone-inc.com/service/360degreefeedback/realone360/

SEMCO

そして、お飾り的に実施されるのではなく、それらが同社の中核的なシステムにしっかりと組み込まれ、
非常に充実した活用がなされていると知り、是非その実情を直接拝見したいと思ったからです。
著書で紹介されている内容を引用しながら、セムコ社の取り組みを簡単にご紹介します。
セムコ社では、社内のコミュニケーションを円滑にする施策のひとつに、年に一度「会社についての意見」という会社や経営陣、
そして会社の将来について、無記名で意見を出してもらうアンケート調査を実施し従業員が会社に向ける信用度と従業員の抱く関心事を計ります。

アンケート調査は以下ような内容となります。

・現在の給与・報酬に対して満足しているか
・仕事を辞めたい要因はあるか
・ストライキには賛成か(日本人には理解が難しい表現かもしれません)
・経営陣を信用・信頼しているか
・月曜の朝に会社に行きたいかどうか
・上司を信頼できるか
・会社側が内部、外部に向けて発表していることを信頼しているか

引用:リカルド・セムラ―著 岡本 豊訳
『セムラ―イズム全員参加の経営革命』(SB文庫、2006年)291頁

調査結果は必ず全社、全社員に公開されており、現在では回答の85%から94%が「信頼している」または「大変信頼している」と
回答しているそうです。
そして、コミュニケーション施策の一環として1996年に調査を開始して以来、この会社に対する信頼度は毎年上がっているとのことです。まさに各リーダー達が調査結果を真剣に受け取り、それにしっかりと応え行動していることの表れと考えられます。

-関連記事:リアルワンの従業員満足度調査(ES調査)
https://www.realone-inc.com/service/es/

一方、管理職に対しては360度評価に近しい、部下からの評価(Upward Feedback)を実施していらっしゃいます。管理職の採用や評価については厳しくも筋の通った次のような指針を持たれており、従業員の納得感を高めているとのことです。
セムコ社では部下となる人たちに尊敬されなくても、経営層や上層部を関心させれば管理職として採用されるというシステムは維持するべきではないという信念のもとに、会社が採用したい管理職候補でも当人の部下となる従業員による承認を必要とするシステムを導入しています。
最初はこの人は有能だろうと会社の判断で昇進させた人間が、当初の期待通り成功しないことがあるのはなぜかを調べてみようと考え、その人物の部下の意見を聞いたのがきっかけとなったと覚えています。

新規採用した従業員以を除いて、年に二回従業員が上司の仕事ぶりを評価するアンケートを行っています。
およそ40問程度の質問項目からなり、回答者がいくつかの回答選択肢から当てはまると思うものを一つ選択するというもので、判定の対象は、「技術的能力」「職務資格」「指導性」を含む、上司が持つべき各種の資質に関する質問となります。
質問項目の内容は以下の通りとなります(一部)。

Q.この人の、他人からの批判への対応は、

a.まずい/無視するから
b.まずい/否定するから
c.ある程度は聞く
d.よく聞き、受け入れる

Q.この人の部が高い生産性を上げた場合、この人は通常、

a.他人の手柄を自分のものにする
b.実際に仕事した者の手柄を認める
c.チーム全体の手柄にする

Q.この人がチームに与える印象は?a.恐れと不安

b.無関心
c.安心感と安らぎ

Q.この人は、

a.四六時中部下に自分がボスだという態度をとる
b.時々は、自分がボスだという態度をとる
c.ほとんど、自分がボスであることを主張しない

引用:リカルド・セムラ―著 岡本 豊訳
『セムラ―イズム全員参加の経営革命』(SB文庫、2006年)299頁・300頁

-関連記事:リアルワンの360度評価
https://www.realone-inc.com/service/360degreefeedback/

当然この評価は無記名で行われるので、回答した部下は追及や後難を恐れずに正直に記入することができるとのことです。
また、評価への回答をそれぞれの重要性に従って加重評価した上で、総合点を算出し、結果を社内で公示するので、こちらも全社、全社員が調査結果を知ることになります。

この試験をパスするには最低70点が必要とのことですが、ほとんどのマネージャーの得点は80点から85点程の得点となるようです。一方で、70点以下の成績を取った管理職は、これで直ちに解雇というわけではありませんが、落第点の場合、本人に強烈なプレッシャーがかかり、自己変革を強く迫られます。
セムコ社が期待するのは、本人が一年ごとに自己変革を続けている事実とのことです。管理職は、自分の得点について部下たちと一緒に検討する場を設けて議論し、部下の意見に耳を傾ける機会を作らなければならないので、必然的に自らの努力で、速やかに自己変革の取り組むことになるとのことです。

また、この評価システムは、セムコ社の活力源の一つである「透明性」というすばらしい文化に支えられていると考えられます。セムコ社では、誰もが自分の思うことを口に出して言うことができ、自分の上司に対する批判も含まれるとのことです。つまり、セムコ社の企業文化では、誰もが他人の批判に耳を傾け、自分に過ちがあればそれを素直に認めるべきだということを表しているのです。
一見するともっともな考えですが、ここまで言い切り徹底できる企業は、日本はもちろん世界でも少ないのではないでしょうか。
世界中のあらゆる企業が、その成功や発展のため、社員のモチベーション、自立性、責任感、創造性を引き出したいと願い、様々な試みを行っています。ただ、それに成功している企業は極僅かです。
ビジネスは最終的に”人”と言われますが、セムコ社はまさにそれらを引き出すことに成功し、成長を遂げてきた企業なのです。

なお、上記でご紹介した内容は本や雑誌、論文等でも得られることです。
やはりそうではなく、それだけ稀有な存在であるセムコ社の実態を、実際にこの目で確かめ、間接的なものからでは伝わらない”何か”を、実際に肌で感じ取りたいと考え訪れました。
今回の訪問は、以前より同社の考え方に強い感銘を受け、「一度訪れ教えを請いたい」と思っていた願いが叶ったものです。

■初日
本社:セムコ社本社を視察。

人事担当者からセムラー社の歴史、哲学、マネジメント手法等についてご紹介いただきました。
当社事業との兼ね合いから、「満足度調査」「360度評価」の実施と運営についても深くお聞きすることができました。
また、社内を見学させていただき、その雰囲気を体感させていただきました。

The inside of the company1

The inside of the company2

学校:セムラー財団が運営する学校(幼稚園?高校)を視察。
校長先生自らご紹介いただき、セムラー社の根本をなす”民主主義による経営”を、
学校運営に導入しようとする試みをご説明いただきました。
SEMCO Kindergarten1
SEMCO Kindergarten2
■二日目
工場:今では希少となったセムラー社の製造工場を視察。
セムコ社を一躍有名にした工場運営の手法を、役員、現場責任者の方からご紹介いただきました。
サービス業への転換が急激に進み、今では視察した工場が唯一残ったアセンブリーラインとのことでした。
Manufacturing factory1
Manufacturing factory2
Manufacturing factory3
サテライト会社:セムコ社から独立した企業を視察。
いくらセムコ社の元社員が設立した会社とはいえ、その哲学を一朝一夕に導入することは難しいことだとご紹介いただきました。
Semco Equipamentos1
Semco Equipamentos3
Semco Equipamentos4
どの職場のどのご担当者にお会いしても、まるで経営者かと見間違うばかりの自信と確信に満ち溢れた姿でした。
書籍に書かれたセムコ社の実情は、決して誇張されたものではなく、本当にここに実在するのだと感じ取ることができました。
今回の我々の視察は、セムコ社にとってほぼ何のメリットもない視察にもかかわらず、同社の方々は非常に暖かく迎えて下さり、熱心かつ丁寧にご対応いただきました。
このような時代、なかなかそのようにできるところはございません。やはりこれも”人”を大切にする会社だからこそできることだと感服いたしました。

セムコ社の皆さまに、この場をお借りして深く御礼申し上げます。

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