【弊社アドバイザー】東出浩教先生インタビュー ~前編~ - 従業員満足度調査・360度評価のリアルワン株式会社 - 人と組織の成長を支援

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2018.09.14

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従業員満足度調査(ES調査)

【弊社アドバイザー】東出浩教先生インタビュー ~前編~

リアルワン株式会社は、おかげさまで6月26日の創立記念日を以って13周年を迎えました。
これまでのリアルワンの歩みにずっと寄り添っていただいておりますアドバイザーの東出浩教先生に、
改めて貴重なお話を伺ってきました。その内容を2回に渡ってご紹介したいと思います。

【目次】

1.起業家とは1番になれる場所を探し続けた人たち
2.社員のモチベーションを高めるには、ビジョンと何が必要か?
3.ベンチャーは社会にどのような貢献をすべきか?

第1回 リアルワンの方向性

世界一になるのか、アジア一、日本一、中央区一を目指すのか?

起業家とは1番になれる場所を探し続けた人たち

リアルワン:実は当社、来月14期目を迎えます。それで創立記念日にみんなで集まって、初めて1日かけてまじめにいろいろな議論しようと計画しているのですが、ベンチャービジネスという視点でどんな議論すると良いかについて、東出先生のお話を参考にしたいと思っています。

東出:そうですね。ベンチャービジネスという視点で考えると、ベンチャーはやはりまず何かの分野で一番になるのが理想的です。全体のマーケットは縮んでいてもいいんですけど、そのなかで一部でも伸びていれば、そこで「〇〇〇だったらリアルワン」となることをまず目指す。それは今のビジネスの延長でいけるかもしれないし、新しい分野かもしれない。いずれにせよ、可能な限り一番になっていくことが大切だと思います。

リアルワン:僕も常に次のビジネスを考えていて、やはり今のビジネスを軸にすると、一つあるのが、ある程度のミディアムサイズの規模感でいいのであれば、現在、当社は調査しか行っていませんから、その後の工程をサービス化することも考えています。

東出:それはいいアイデアだと思います。上から始めて下、下から始めて上。どちらでもいいのですがお客様に対してパックで届けてあげるわけですね。

リアルワン:はい。あとはやはり今からはHR techだと思っています。

東出:HR tech市場って僕はまだ業界のまだら模様がわかっていないのですが、どんな感じですか? そこで一番になれそうな感じ? タイミングも含めてですけど。

リアルワン:可能性としてはまだあると思います。ここ2年くらいでプレーヤーが出始めているのですが、正解がない混沌とした状況なので。ただ、今のうちの業務内容にテックを入れた場合、どこまで大きくなるのか、エグジットは見えづらいですけど。

東出:エグジットについては、今、日本で上場している企業で時価総額が100億ある会社は多くありません。少しマーケットが上向いてきたとはいえ、一部の特別な企業をのぞいた平均は100億とか150億です。一昔前なんかみんな30~40億の時価総額しかなかった。それが日本のスタンダートで世界のスタンダードより1桁小さいのです。日本でベンチャービジネスで起業して100~200億ぐらいの企業価値を作っているような人たちのほとんどは、実はニッチなマーケットを探してどこかで1番になろうと思っている人ですから(笑)。そうやってブルーオーシャンを見つけた人ばかりなので。

リアルワン:それは、ある程度戦略的にでしょうか?

東出:起業家本人の行動パターンという視点からならば、戦(いくさ)というか、経験に基づいた本能に近いと思います。スポーツにのめり込んだんだけど競争が厳しくてとても1番になるとは思えなかった。起業するにしても、競争の激しい場所より、競争を避けて一番になろう、みたいな人たちです。

リアルワン:ニッチなマーケットでも1番になるということは凄いことですよね。

東出:そうですね。小さい市場でも、例えば御社だったら「従業員満足度調査ならリアルワン、360度評価ならリアルワン」というふうに顧客の頭の中に認識されると、あとは口コミも含めてオートマティックにいきますから。だから、まずどのエリアでどのお客様にフォーカスするかを決めることが大切だと思います。あとは経営者の夢の大きさですよね。世界一を目指すのか、それとも?

リアルワン:世界一、よく海外に出ていく企業のように。

東出:アジア一になるのか、日本一になるのか。東京一になるのか? 大抵の場合日本一ぐらいで考えていると東京一ぐらいにはなれる可能性はあります。保証はないですが。でも、中央区一と考えると多分何者にもなれないと思うんです(笑)。

リアルワン:とにかく経営者の夢の大きさが大事なんですね。

社員のモチベーションを高めるにはビジョンと何が必要か?

東出:会社の行き先が決まっている。要は大きい絵さえあればそこに向かっていくために何をすればいいか考えればいいだけなので、まず経営者がどこを目指すか、ビジョンを描くことが大事です。

リアルワン:そうですね。

東出:例えばこのマーケットは相当の確率で伸びそうで面白そうだと。そこで一番になれたらこういう人がこう喜ぶとイメージができたら、これからの従業員を誘うとき「ここに向かう船に乗らない?」と言えるじゃないですか。

リアルワン:漫画の『ONE PIECE』みたいですね。

東出:起業家で『ONE PIECE』を参考にしている人は結構います。某バイオベンチャー企業の経営者は、「僕の教科書は『ONE PIECE』です」と言い切っています。僕もちらっと読んでみなきゃいけないかなと思っているんですけど(笑)。

リアルワン:『ONE PIECE』面白いですよ(笑)。ただ、ビジョンが大事だといっても、例えば、大きな会社はどこも立派なビジョンや経営計画もあり理念もしっかりしています。でも一方で、受け身な人が多いように感じるのはなぜでしょうか?

東出:お客様へのフォーカスが決まっていることがポイントなんだと思います。なぜ言われたことをこなして給料もらおうというスタンスになっている企業人がいるかというと、多分、誰がどう喜んでいるかわからないからだと思うんですよね。

リアルワン:お客様と近くないということですか? フィードバックがないようなイメージなのですかね。顧客満足度が実感しづらいとか。

東出:組織が大きければ大きいほどそうなりがちです。あとは経営者がどんなコミュニケーションタイプを作るかにもよります。「俺の言ったことをきっちりやってくれればいい」というようなバッドコミュニケートしていけば当然そうなる。完全なボトムアップでなくてもいいのですが、「トライしてみて、またみんなで考えよう」という感じのコミュニケーションが望ましいですね。

リアルワン:ビジョンを描いてそれに共鳴する人を採用する意義はわかりました。でも、例えば中小企業などでそれが難しい場合、今いる従業員の考え方を変えるとか、モチベーションを高める方法、自発的でない人に対して、企業側から何かアプローチできることはありますか?

東出:それ難しいんですよね。結局多くのケースって、価値観レベルでフィットしないでそれやろうとすると、単なる「うるさい経営者」になって終わっちゃうんで(笑)。

リアルワン:やっぱり終わってしまうんですね。

東出:例えば、地方でいろいろなファミリービジネスの3代目、4代目の経営者が従業員に理念経営を考えさせよう、伝えようと頑張っていますが、そういう押しつけがましいものは大体だめになる。従業員からしてみれば「口先だけで立派だけど、今さら信じられない」となるわけです。

リアルワン:経営者の独りよがりに思えちゃいますよね。

東出:だから、離職もあるような会社ならば、辞める人は辞めると割り切って、どうやって次のいい人を取るかを考えたほうがいいかもしれない。

リアルワン:会社の考え方と合わないとか、無理だったらあきらめて、やっぱり新しい人を採用すると。

東出:あとは前からよく言っているように、日本の企業では、従業員の福利厚生とか不満のほうをつぶしてあげると、結構みんながワンステップ上がって頑張ろうねとなって、自分で頭を使い始めるケースが多いんです。特に中小企業なんかはそう。外国だとニンジンをこうやってぶら下げる感じですけどね。

リアルワン:人材は揃っていたほうがいいですよね。

東出:そうですね。そのうえで従業員が、自分がここに受け入れられているという感覚も含めていい職場だと思えるような環境にできるだけしてあげる。そして「基本的に自分で考えよう」みたいな感じに持っていくとモチベーションが上がるので、あまりコントロールが要らなくなりますね。

ベンチャー企業は社会に対してどのような貢献をすべきか?

リアルワン:新しい事業のビジョンを作るのは経営者だけの役目でしょうか?

東出:リアルワンくらいの規模ならみんなで作ってもいいと思います。合宿とかして。

リアルワン:合宿いいですね。

東出:その分野の過去の長い経験があって行き先が見えていればポンっと決めてもいいですけど、ゼロに近いところから始めるとすれば、1人よりも3人、5~6人の頭で考えたほうが絶対いいですから。

リアルワン:考えるものではなく中から出てくるものですしね。本にも書かれていましたけど血肉になっていないとだめなんですよね。

東出:だから、本気で考えるときはみんなで合宿。

リアルワン:ところで、ベンチャー企業の成長にはどういうバランスが良いと思われますか? ビジョンや理念はもちろん必要ですよね? ほかに何かキーワードはありますか?

東出:大切なのは、企業が社会に対してどういう責任を持っているかを打ち出すことだと思います。それだけ考えちゃだめですよ。まずお客様にバリューを出しながらそれを考える。要は社会に対してこういうふうに貢献するという志があったほうがいいですね。そのうえで、従業員満足度を高めていく。そんなパッケージになっているといいのではないでしょうか。

リアルワン:今、HR techが取り扱うテーマとして、従業員満足やモチベーション、新しい概念のエンゲージメントなどが注目されています。また、採用難や人材流動化の時代背景から、離職の問題もテーマとして浮上してきています。ESと離職の問題は相性が良く、離職の問題に対して解決策も提示できると思っています。

東出:そうすると、離職率を低めて従業員のやる気を高めるとか、そんな言い方しないで“離職率を低く”とかフォーカスしちゃうのも一つの手ですよね。“離職率をコントロール”“モニターするならリアルワン”みたいな(笑)。でもそうやって管理され企業に残る人っていつまで必要なのかな? HR techについては僕ちゃんとデータを調べたことないのですが、向かってるところはどこなんでしょうね?

リアルワン:人事労務系のHR techは盛んです。手続きを楽にしましょうというシステムが結構多いです。

東出:時間軽減のほうね。事務作業の軽減に近いものは間違いなくスッと入っていくでしょう。ただ、さっきの離職率を低めるというのは、嫌でも働かせるようにするのか? それともやる気のある人の集団を作るのか? という話になってくる。そもそも経営者の役割とは、大きな意味ではみんなに幸せに働いてもらってできる限りちゃんと給料を払ってあげることです。マネージャーレベルなら、全員により活躍できる場を整えることが一番の仕事です。僕が個人的にいいなと思うのは、むしろリアルワンとHR techで組むと「うちの会社の人は一番幸せに働けて、結果業績がついてくる」というような仕組みのほう(笑)。ただ大企業の現状も知っているので離職率のほうにお金が流れるのもよくわかります。

リアルワン:話は変わりますが、そういったテクノロジーを追いかけようとすると自社の体制を変える必要も出てきます。システム開発のチームを持つか、外部でパートナー会社を見つけてやっていくか。そういうことも決めなくてはいけない。

東出:テクノロジー=ものづくりと思えば、なるべく開発は内部に抱え込んだほうがいい。中のアルゴリズムとかも、極端な話全部見せちゃっても、誰も追いつけないようにどんどん変わっていくぐらいのレベルを目指すんだったら、そっちだと思います。

リアルワン:自分たちは企画開発にフォーカスする方法はどうでしょうか?

東出:コアがどこかですよね。ここだけはというところは社内で、すぐ真似されるところは外注に出す。どちらかというと、HR techでアルゴリズムをどんどん作り込んで、オープンだけど見られても絶対に負けないという状況を作り上げていくほうがいい。マーケットが見つかってこれから5年で一番になるという話になれば、エンジニアの人数だけでも多分20~30人必要です。そうすると投資を受けることも必要かもしれない。スピードを考慮して。

リアルワン:さっきの話に戻ってしまいますけど、やっぱり夢の大きさじゃないですけど、うちのマーケット規模でそれがどのくらい大きくなるかというイメージが見えなくて。

東出:伸びているマーケットにタップしようとしているということが見えれば違いますよね。「かもしれない」も含めてでいいんですけど。ただ、それが誰にでも見えているものなら、もう誰かやっているビジネスの可能性が高い。

リアルワン:そうなんですよね。

東出:誰も見つけていない伸びそうなマーケットをみんなで見つけだすというか、気づいていくことがベンチャービジネスでは大事です。これは普段何も考えていないと絶対気づかない。でもいつも考えていればどこかで気づくかもしれない(笑)。近いうちにこうなる。もしくはもうなり始めた。今、始まりなんで“この波に乗るのが我々”という絵姿が望ましい。

リアルワン:そして、とにかく1番を目指すということですね(笑)。ありがとうございました。

 

後編:東出浩教先生インタビュー ~後編~ 「第2回 今のビジネスパーソンがどうやったら幸せに働いていけるか」

東出 浩教〈早稲田大学ビジネススクール(商学研究科)教授〉
Hironori Higashide

 

1985年、慶應義塾大学経済学部卒業。同年、鹿島建設入社。建設JVのマネジメントや欧州各国における不動産投資の実務に従事。
1991年、ロンドン大学インペリアルカレッジ修士課程修了(MBA)。
2000年、同カレッジよりEntrepreneurshipを専攻した日本初のPh.Dを授与される。
1998年、早稲田大学ビジネススクール講師。2002年、同ビジネススクール助教授。
2006年より現職。

 

 

人間性中心経営学研究所 
https://www.waseda.jp/inst/oris/other/2016/02/02/1305/
早稲田大学アントレプレヌール研究会 
http://www.weru.co.jp/

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