従業員の仕事や組織に対する「結びつき」の指標として、「エンゲージメントスコア」が注目されています。エンゲージメントスコアとは、企業にとってどのような意味を持つ指標なのでしょうか。
本記事では、エンゲージメントスコアの意味や平均、注目される背景を紹介すると共に、計測方法や向上させる方法を解説します。
【本記事で得られる情報】
・エンゲージメントの定義
・エンゲージメントスコアの意味や平均
・エンゲージメントスコアと従業員満足度の違い
・エンゲージメントスコアが注目される背景
・エンゲージメントスコアを測定するメリット
・エンゲージメントスコアの計測方法
・エンゲージメントスコアを向上させる方法
目次
エンゲージメントスコアとは?

「エンゲージメントスコア」とは、どのような「スコア:数値・得点・ポイント」なのでしょうか。はじめに、エンゲージメントスコアの概要を解説します。
エンゲージメントの定義
「エンゲージメント:engagement」は、本来、日本語で「婚約・誓約・約束」と訳される言葉です。これをビジネスの世界では、「関与・契約・つながり」といった意味合いで使用してきました。
では、「エンゲージメントスコア」における「エンゲージメント」を、どう捉えればよいのでしょうか。まずは、「エンゲージメントの定義」を押さえておきましょう。
【エンゲージメントの定義】
仕事における、「思考面・情緒面・行動面」の3つの側面に対して、従業員が積極的に関与している状態のこと
「エンゲージメントの定義」については、様々な議論があります。その中で、本コラム「ソシキビト」を運営する「リアルワン株式会社」は、これまでの学術研究(※)を踏まえ、上記を「エンゲージメントの定義」としています。
(※) Rich, B. L., Lepine, J. A., & Crawford, E. R. (2010). Job engagement: Antecedents and effects on job performance. Academy of Management Journal, 53(3), 617-635.
エンゲージメントスコアの意味
ここまでを押さえた上で、エンゲージメントスコアの意味を見ていきましょう。
【エンゲージメントスコアの意味】
従業員の仕事に対する、「思考面・情緒面・行動面」での関与の度合いを数値化したもの
エンゲージメントスコアによって、従業員の仕事に対する「思考面・情緒面・行動面」における関与の度合い、また組織に対する感情や認知を数値として可視化することができます。
エンゲージメントスコアの平均
エンゲージメントスコアの平均は、どのくらいなのでしょうか。ここでは、「株式会社アトラエ」が公表している数値を紹介します。
株式会社アトラエが、「2021年、2240社以上を対象に行った調査」によれば、全業界のエンゲージメントスコアの平均は、「70.3点」となっています。業界ごとにばらつきがありますが、エンゲージメントスコアの平均として押さえておくとよいでしょう。
エンゲージメントスコアと従業員満足度の違い
エンゲージメントスコアと並んで、引き合いに出される数値が「従業員満足度」です。ふたつの数値は、どう違うのでしょうか。両者の違いを表にまとめました。

エンゲージメントスコアと従業員満足度の主な違いは、表で示した通りです。しっかり押さえておきましょう。
(※1) 衛生要因:給与・労働条件・福利厚生・経営方針・人間関係など、仕事の「不満」に関わる要因
(※2) 動機づけ要因:達成感・仕事内容・昇進昇格・裁量権・成長機会など、仕事の「満足」に関わる要因
エンゲージメントスコアが注目される背景

今なぜ、エンゲージメントスコアが注目されるのでしょうか。ここでは、その背景を考察します。
【エンゲージメントスコアが注目される背景】
・生産年齢人口の減少
・人的資本経営の拡大
・働き方の多様化
ひとつずつ解説します。
生産年齢人口の減少
エンゲージメントスコアが注目される背景には、生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)の減少があります。少子高齢化は、拡大の一途をたどっています。このような状況の中で、人材を確保するには、まず優秀な人材の離職を防ぐことが重要です。
それには、組織課題を改善し、従業員のエンゲージメントを向上させる必要があります。組織課題を発見し、改善の方策を立案するための指標として、エンゲージメントスコアが注目されているのです。
人的資本経営の拡大
人的資本経営とは、「人材はコスト」ではなく「人材≒資本」と捉えて投資を継続し、企業価値を向上させるマネジメント手法です。この、人的資本経営が拡大していることも、エンゲージメントスコアが注目される背景でしょう。
人的資本に投資をすれば、従業員のパフォーマンスも高まり企業価値の向上につながります。その指標として、エンゲージメントスコアを導入する動きが進んでいるのです。
関連記事:人的資本経営とは/なぜ注目されるのか、事例やメリットも紹介
働き方の多様化
働き方が多様化していることも、エンゲージメントスコアが注目される背景のひとつです。終身雇用・年功序列に代表される、日本型雇用はすでに崩壊。転職が当たり前の社会となり、人材を確保するには、従業員と組織の「双方向的な結びつき」が重要になっています。
エンゲージメントスコアは、その度合いを示しており、組織課題を発見し、双方向的な結びつきの実現に向けた方策を立案する上で重要な指標となっているのです。
エンゲージメントスコアを測定するメリット

では、エンゲージメントスコアを測定するメリットを整理しておきましょう。
【エンゲージメントスコアを測定するメリット】
・組織が内包する課題を早期に発見できる
・離職率の低下が期待できる
・生産性の向上につながる
詳しく解説します。
組織が内包する課題を早期に発見できる
エンゲージメントスコアを測定することで、組織が内包する課題を早期に発見することができます。エンゲージメントスコアは、従業員と組織の状態を浮き彫りにします。今まで気づかなかった様々な側面から課題を設定、エンゲージメントを高める方策の立案が可能になるでしょう。
離職率の低下が期待できる
課題解決の方策を立案し実行に移せば、エンゲージメントスコアが向上し、従業員は「今の会社で継続的に働きたい」と思うようになるでしょう。離職率の低下が期待できるのも、エンゲージメントスコアを測定するメリットです。
生産性の向上につながる
様々な課題を解決し、エンゲージメントスコアが高まれば、従業員のパフォーマンスも高まり生産性の向上につながります。これも、エンゲージメントスコアを測定するメリットといえるでしょう。
エンゲージメントスコアの算出方法

エンゲージメントスコアは、どのようにして算出すれば良いのでしょうか。ここでは、その方法を解説します。
【エンゲージメントスコアの算出方法】
・エンゲージメントサーベイ
・パルスサーベイ
詳しく見ていきます。
エンゲージメントサーベイ
エンゲージメントサーベイとは、先述したエンゲージメントの定義である、仕事における3つの側面「思考面・情緒面・行動面」に対する従業員の関与の度合いを測定する調査です。
エンゲージメントサーベイは、従業員の仕事に対する関与の度合いをスコア化できると共に、「仕事・組織」に対する感情や認知を定量的かつ定性的に可視化できるのが特徴です。
関連記事:エンゲージメントサーベイとは?
パルスサーベイ
パルスサーベイとは、「週単位・月単位・数日単位」といった短いスパンで、従業員の意識や心情を測定する調査です。脈拍(パルス)を測るように、従業員の「今」の状態を調査することから、「パルスサーベイ」と呼ばれています。
パルスサーベイは、従業員の状態をリアルタイムにスコア化できるのが最大の特徴です。従業員と組織の関係性を「密」に保つ上で、パルスサーベイを実施する意義は大きいといえるでしょう。
関連記事1:パルスサーベイとは?
関連記事2:エンゲージメントサーベイとパルスサーベイの違い
エンゲージメントスコアを上げる方法

従業員と組織にとって重要な指標であるエンゲージメントスコアですが、どうすれば向上するのでしょうか。ここでは、エンゲージメントスコアの上げ方を解説します。
【エンゲージメントスコアを上げる方法】
・定期的にエンゲージメントスコアを計測する
・社内コミュニケーションを活性化させる
・働き方改革を進める
・人事評価を最適化する
ひとつずつ見ていきましょう。
定期的にエンゲージメントスコアを計測する
エンゲージメントスコアを上げるためにまず大切なことは、現状を把握することです。定期的に、エンゲージメントスコアを計測するようにします。
定期的かつ継続的に計測することで、エンゲージメントスコアの変化が見えてきます。変化の分析が、エンゲージメントスコアを上げる「次の方策」につながるのです。
エンゲージメントスコアは、働く環境に応じて大きく変化します。その変化をタイムリーに捉え、方策に落とし込むことが、エンゲージメントスコアの向上に直結するのです。
社内コミュニケーションを活性化させる
社内コミュニケーションを活性化させることも、エンゲージメントスコアを上げる方法です。意識すべきは、「双方向」であることです。
1on1ミーティングやフリーアドレス制を積極的に取り入れること、グループウェアや社内SNSの活用もコミュニケーションを活性化させるでしょう。自社に合った施策を取り入れ、社内コミュニケーションの活性化を目指します。
働き方改革を進める
「エンゲージメントスコアが注目される背景」でも述べた通り、働き方は多様化しています。この対策として、働き方改革を進めることは、エンゲージメントスコアの向上につながります。
在宅勤務やリモートワークを制度化したり、フレックスタイムや時短勤務を導入したり。従業員のワークライフバランスやウェルビーイングを意識した取り組みが、働き方改革を促進します。
関連記事:ウェルビーイング経営とは?具体的な取り組み方や成功事例をご紹介
人事評価を最適化する
透明性と公平性が担保された人事評価は、エンゲージメントスコアを向上させます。なぜなら、従業員の納得感が高まるからです。
実績が正当に評価され、報酬が増えれば、働くエネルギーもアップします。等級や役職が上がれば、従業員のロイヤルティ(忠誠心や愛社精神)も高まるでしょう。自社に合わせて、どう人事評価を最適化するのか。エンゲージメントスコアの向上に直結するポイントです。
関連記事:評価制度とは?目的や種類、メリットデメリットを作り方と共に解説
最後に

組織課題を発見し改善することは、企業にとって今や必須の取り組みです。そのような中で、エンゲージメントスコアを測定する「エンゲージメントサーベイ」や「パルスサーベイ」といった調査は、今後ますます重要性を増していくでしょう。
リアルワン株式会社は、調査・評価の専門会社です。第一線の専門家が監修する「エンゲージメントサーベイ」で、従業員と「仕事・組織」との「結びつき」をスコア化します。ご希望があれば、「パルスサーベイ」にも柔軟に対応しています(リアルワンのパルスサーベイに対する考え方は、コチラをご覧ください)。
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