従業員満足度(ES)の指標となる要素~調査方法や満足度を高めるメリット

仕事や企業に対する従業員の満足度を表す、「従業員満足度(ES)」。従業員満足度(ES)は、どのような指標を基に調査されているのでしょうか。

本記事では、従業員満足度(ES)の指標となる要素を解説すると共に、満足度を高めるメリットや調査方法を紹介。あわせて、従業員満足度(ES)を向上させる方法を解説します。

【本記事で得られる情報】

・従業員満足度(ES)の定義と重要性
・従業員満足度(ES)とエンゲージメントの違い
・従業員満足度(ES)の指標となる要素
・従業員満足度(ES)を高めるメリット
・従業員満足度(ES)の調査方法
・従業員満足度(ES)を向上させる方法

この記事を監修した人
青山 愼
青山 愼

立命館大学経済学部卒業。早稲田大学ビジネススクールでMBAを取得。在学中に、「組織学習」や「個人の知の獲得プロセス」に関する研究を経て、リアルワン株式会社を設立。企業や組織が実施する各種サーベイ(従業員満足度調査・360度評価・エンゲージメントサーベイ等)をサポートする専門家として活動。現在は累計利用者数が100万人を超え、多くの企業や組織の成長に携わる。

従業員満足度(ES)とは?

まずは、「従業員満足度(ES)とは何か」について整理しておきましょう。

従業員満足度(ES)の定義

従業員満足度(ES)は、次のように定義されます。

【従業員満足度(ES)の定義】

従業員満足度(ES:Employee Satisfaction)は、従業員が仕事や職場に対して感じている「満足度」の値

従業員は、現在の労働環境や業務内容、人間関係や報酬など対して、どの程度満足しているのか。また、どのようなことに不満や不安を感じているのか。こういった内容を調査し、定量的に可視化したものが従業員満足度(ES)になります。

従業員満足度(ES)の重要性~厚生労働省も指摘

なぜ今、従業員満足度(ES)が重要視されているのか。それは、労働市場が大きく変化しているからに他なりません

生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)の減少転職志向の高まりなどを受けて、労働市場は大きく変化しています。このような環境の中でも、企業は競争力を高め、成長を続けなければなりません。

この重い課題に向き合い、優秀な人材を確保する上で注目されているのが従業員満足度(ES)なのです。実際、厚生労働省も次のような調査報告を公表しています。

「従業員と顧客満足度の両方を重視する企業」は、「顧客満足度のみを重視する企業」と比べ、業績が向上し、人材確保ができている。

厚生労働省「取り組みませんか?『魅力ある職場づくり』で生産性向上と人材確保

このように、顧客が商品やサービスに感じる「顧客満足度(CS:Customer Satisfaction)」ばかりではなく、従業員満足度(ES)を重要視する必要があることを厚生労働省も指摘しています。

企業においては、顧客満足度(CS)と共に、従業員満足度(ES)を高めることが、「業績向上・人材確保」の上で極めて重要になっているのです。

関連記事:従業員満足度・顧客満足度・財務業績の相関関係を示す調査・論文

従業員満足度(ES)とエンゲージメントの違い

従業員満足度(ES)と似た概念に、従業員と「仕事・組織」との「結びつき」を表す「エンゲージメントがあります。ふたつの概念は、どう違うのか。両者の違いを表に示します。

従業員満足度(ES)とエンゲージメントの違い|ソシキビト

(※1) 衛生要因:給与・労働条件・福利厚生・経営方針・人間関係など、仕事の「不満」に関わる要因
(※2) 動機づけ要因:達成感・仕事内容・昇進昇格・裁量権・成長機会など、仕事の「満足」に関わる要因

関連記事:エンゲージメントスコアとは?

従業員満足度(ES)~指標の構成要素

従業員満足度(ES)を調べるには、様々な指標があります。ここでは、指標を構成する要素の一例を紹介します。

「全体満足」は、従業員が全体的にどの程度満足しているかを表す指標です。例えば、「大体のところ、今の仕事に満足している」など、全体的に抱く従業員の満足感であり、従業員満足度(ES)の中核といえる指標です。

「領域別認知」は、仕事や組織の様々な側面に対する従業員の認知を表す指標です。具体的には、4つの「領域」における「主な側面」について、「どう考え、何を感じているか」を表す指標です。

(※) 構成要素は、本コラム「ソシキビト」を運営する「リアルワン株式会社」の「従業員満足度調査(ES調査)」を基にしています。ひとつの例として、参考にしてください。

従業員満足度(ES)を高めるメリット

では、従業員満足度(ES)を高めるメリットを見ていきましょう。

【従業員満足度(ES)を高めるメリット】

・生産性が向上する
・離職率が低下する
・製品やサービスの質が高まる
・顧客満足度(CS)がアップする
・企業業績が向上する

詳しく解説します。

生産性が向上する

従業員満足度(ES)が高くなれば、従業員のモチベーションも高まります。高いモチベーションは、仕事のパフォーマンスを向上させるでしょう。その結果、業務が効率化。生産性が向上するのです。

離職率が低下する

仕事や職場に対する従業員の高い満足度は、「この会社で長く働きたい」という気持ちにつながります。当然、離職防止が低下するでしょう。高い定着率は、社会的な評価となり、人材獲得の面でも有利に働きます。

製品やサービスの質が高まる

従業員満足度(ES)が高まり、仕事のパフォーマンスが向上すれば、生産性が上がるばかりではなく、製品やサービスの質が高まります。それは、仕事に対する充実感となり、従業員満足度(ES)をさらに向上させるという好循環を生むのです。

顧客満足度(CS)がアップする

製品やサービスの質が高まることで、顧客満足度(CS)がアップするでしょう。従業員満足度(ES)と顧客満足度(CS)は、密接にリンクしています。従業員満足度(ES)の向上は、顧客満足度(CS)をアップさせるという認識が不可欠です。

企業業績が向上する

ここまでを踏まえれば、従業員満足度(ES)の向上が企業業績の向上につながることは想像に難くないでしょう。従業員満足度(ES)を高めることは、最終的に企業業績の向上という大きなメリットにつながるのです。

関連記事:従業員満足度を向上させる5つのメリットとは?実施目的や調査方法を解説

従業員満足度(ES)の調査方法

従業員満足度(ES)を調べるには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、従業員満足度(ES)の調査方法を解説します。

【従業員満足度(ES)の調査方法】

・従業員満足度調査(ES調査)
・eNPS調査

詳しく見ていきましょう。

従業員満足度調査(ES調査)

従業員満足度調査(ES調査)は、まさに、従業員満足度(ES)を数値で表す調査です。従業員が仕事や職場に対して感じている「満足度」はもちろん、「不満」や「不安」を定量的に可視化します。

従業員満足度調査(ES調査)を実施することによって、組織が内包する課題を早期に発見し、従業員満足度(ES)を高める方策の立案が可能です。

関連記事:従業員満足度調査(ES調査)とは?

eNPS調査

eNPS調査(employee Net Promoter Score調査)は、従業員の満足度やロイヤルティ(愛社精神・忠誠心)を数値で表す調査です。顧客のロイヤルティを測定する「NPS調査」がベースになっており、従業員が仕事や職場に対して感じている「満足感」や「愛着心」を定量的に可視化します。

eNPS調査を実施し、その結果を分析することで、従業員満足度(ES)を高めるための改善点や方策を見つけ出すことが可能です。

従業員満足度(ES)を高める方法

企業業績にも大きく関わる従業員満足度(ES)ですが、どのように高めればよいのでしょうか。ここでは、従業員満足度(ES)を高める方法を紹介します。

【従業員満足度(ES)を高める方法】

・業務を効率化する
・「理念・ビジョン・パーパス」を共有する
・衛生要因と動機づけ要因の両方を満たす
・エンパワーメントを推進する・多様性を受け入れる
・ワークライフバランスを実践する
・定期的に社内イベントを実施する

ひとつずつ解説しましょう。

業務を効率化する

残業や休日出勤といった時間外労働の多さは、従業員満足度(ES)を下げる要因です。業務を効率化することで、時間外労働を削減します。

それには、「ムリ・ムダ・ムラ」を省くことが重要です。会議の時間を短くしたり、タスク管理ツールを活用したり。まずは、業務プロセスを見直すことから始めましょう

「理念・ビジョン・パーパス」を共有する

「理念・ビジョン・パーパス」の共有は、従業員満足度(ES)を高めます。理由は、「理念・ビジョン・パーパス」が浸透している組織ほど、「信頼感・一体感・誇り」を深く持てるようになるからです。

「理念・ビジョン・パーパス」にそった活動は、主体性を育み、従業員満足度(ES)の醸成につながります。

衛生要因と動機づけ要因の両方を満たす

先述した、衛生要因と動機づけ要因を振り返ります。

  • 衛生要因:給与・労働条件・福利厚生・経営方針・人間関係など、仕事の「不満」に関わる要因
  • 動機づけ要因:達成感・仕事内容・昇進昇格・裁量権・成長機会など、仕事の「満足」に関わる要因

不満を払拭するには、衛生要因を満たす必要があります。ただし、それでは満足感は得られません。満足感を得るには、動機づけ要因を満たす必要があります。逆も同じです。要は、衛生要因と動機づけ要因の両方を満たす。従業員満足度(ES)を高める重要なポイントです。

関連記事:従業員満足度に影響する二要因理論とは

エンパワーメントを推進する

エンパワーメントとは、意思決定の権限を委譲することです。エンパワーメントを推進することで、従業員は自ら意志決定を行い、業務を進めることになります。仕事上の権限は、従業員のモチベーションを高めるでしょう。それは、従業員満足度(ES)の向上につながります。

関連記事:エンパワーメントとは?権限委譲を推進するための方法や成功事例をご紹介

多様性を受け入れる

従業員満足度(ES)を高めるためにも、多様性を受け入れましょう多様性を受け入れることは、多様な人材がお互いを認め合い、能力を活かし合える環境が整うということです。おのずと、従業員満足度(ES)が高まるでしょう。

関連記事:ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)で組織力を高める方法とは?

ワークライフバランスを実践する

ワークライフバランスを実践することは、従業員満足度(ES)の向上につながります。長時間労働の是正やフレックスタイムの導入、育児介護休暇の取得推進や在宅勤務の導入など、ワークライフバランスの実践は、従業員満足度(ES)の向上に直結します。

定期的に社内イベントを実施する

定期的に社内イベントを実施することも、従業員満足度(ES)を高めます。なぜなら、社内コミュニケーションが活性化するからです。風通しの良さは、働きやすい職場環境の重要な要素です。定期的に社内イベントを実施し、社内コミュニケーションの活性化に努めましょう。

関連記事:社内コミュニケーションを活性化させる方法

最後に

社員

従業員満足度(ES)の重要性や高める方法を見てきました。最も重要なことは、従業員満足度(ES)を正確に把握することです。従業員満足度(ES)を高める取り組みは、従業員満足度(ES)の把握から始まります。それには、やはり「従業員満足度調査(ES調査)」がおすすめです。

リアルワン株式会社は、調査・評価の専門会社です。第一線の専門家が監修する従業員満足度調査(ES調査)」で、従業員の満足度を定量的に可視化します。指標には、信頼性と妥当性が担保された調査項目を使用ご希望により、オリジナル項目の追加も可能です。

従業員満足度(ES)を把握し、組織の活性化を図りたいとお考えの企業様は、ぜひリアルワンにご相談ください。

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