人と組織がともに成長する仕組みとは

リアルワンが目指すリーダーシップの開発・育成

シリーズ|Leadership Development研究から学ぶ、人と組織がともに成長する組織づくり

本シリーズでは、リーダー個人の育成と、組織全体のリーダーシップの開発・育成について、六つの視点から考えてきました。

第1回では、360度評価などによってリーダー個人を育てることと、組織の信頼、対話、協力関係を育てることは同じではないと説明しました。

第2回では、従業員満足度調査やエンゲージメント調査などの組織調査は、組織を直接変える施策ではなく、職場の状態を把握し、対話と改善を始めるための出発点であることを取り上げました。

第3回では、調査で見えてきた課題について率直に話し合い、行動に移すためには、心理的安全性が必要であることを確認しました。

第4回では、360度評価と組織調査を組み合わせ、管理職本人の行動と、その行動に影響する職場や組織の環境を、重層的に捉える方法を解説しました。

第5回では、360度評価による気づきを、さまざまな学習・育成機会、仕事上の経験、周囲からの支援、振り返りへつなげる必要性を取り上げました。

これらの施策を、それぞれ別の取り組みとして実施することはできます。

しかし、360度評価、組織調査、学習・育成機会、職場での対話が別々に設計されていれば、個人の成長と組織の変化はつながりません。

必要なのは、施策を増やすことではありません。

リーダー個人の成長が、職場の変化につながること。
職場や組織の変化が、リーダー個人の成長を支えること。

この二つが循環する仕組みをつくることです。

本記事では、シリーズ全体を振り返りながら、人と組織がともに成長するための仕組みと、経営、人事、現場の管理職が果たす役割について考えます。

この記事を監修した人
青山 愼
青山 愼

立命館大学経済学部卒業。早稲田大学ビジネススクールでMBAを取得。在学中に、「組織学習」や「個人の知の獲得プロセス」に関する研究を経て、リアルワン株式会社を設立。企業や組織が実施する各種サーベイ(従業員満足度調査・360度評価・エンゲージメントサーベイ等)をサポートする専門家として活動。現在は累計利用者数が100万人を超え、多くの企業や組織の成長に携わる。

この記事の要点

  • リーダー個人の育成と、リーダーシップの開発・育成は、分けて考える必要があるが、別々に進めるべきものではない
  • 360度評価は個人の行動を、組織調査は職場や組織の状態を把握する
  • 評価や調査の結果は、対話、行動、支援、振り返りへつなげる必要がある
  • 改善行動は、管理職本人、職場、人事・経営という複数の層で設計する
  • 単発の施策を繰り返すのではなく、測定、対話、実践、振り返りを循環させることが重要である
  • リーダーシップの開発・育成とは、一部の管理職だけではなく、組織全体が協力して課題を解決できる力を育てることである

リーダー個人の育成と、リーダーシップの開発・育成

第1回で紹介したDay(2000)は、リーダー個人の育成(Leader Development)と、リーダーシップの開発・育成(Leadership Development)を区別しました。

リーダー個人の育成では、一人ひとりのリーダーの知識、スキル、判断力、自己認識などを高めます。

研究では、これを人的資本(Human Capital)の形成として捉えています。

一方、リーダーシップの開発・育成では、信頼、対話、協力関係、共通認識など、人と人との関係の中に蓄積される力を育てます。

研究では、これを社会関係資本(Social Capital)の形成として捉えます。

Day氏が重要だと考えたのは、どちらか一方を選ぶことではなく、人的資本と社会関係資本の両方を育てることでした。

この違いは、実務にも当てはまります。

管理職本人が、自分の行動を振り返り、新しい知識やスキルを身につけることは重要です。

しかし、メンバーが率直に話せず、部署間で協力できず、必要な情報が共有されていなければ、管理職一人の力だけで組織を変えることは困難です。

反対に、良好な人間関係があっても、管理職が方針を示さず、必要な判断を行わず、部下を支援していなければ、組織は十分に機能しません。

つまり、人と組織をともに育てるには、

個人の能力と行動を育てること
その能力と行動が生かされる関係性や環境を育てること

の両方が必要です。

人と組織を別々に育てると、施策が途中で切れてしまう

多くの組織では、人材育成と組織改善が別々に実施されています。

例えば、360度評価や学習・育成機会は人材開発を担当する部門が担当し、組織調査は人事企画や経営企画が担当することがあります。

それぞれの施策が適切に実施されていても、目的や活用方法がつながっていなければ、次のようなことが起こります。

360度評価の結果が、本人の中だけで終わる

管理職が自分の課題に気づき、行動目標を立てても、職場のメンバーはその内容を知りません。

周囲からの支援やフィードバックもないため、本人だけが努力することになります。

組織調査の課題が、管理職へ一方的に渡される

部署の結果が管理職へ配布され、「改善してください」と求められます。

しかし、制度、人員、経営方針など、管理職だけでは解決できない問題も含まれています。

学んだことを試す機会がない

新しい知識や考え方を学んでも、日常業務が忙しく、実践する役割や時間が用意されていません。

しばらくすると、以前の行動へ戻ってしまいます。

調査で意見を集めても、何も変わらない

従業員は率直に回答しますが、結果の共有や対話が行われず、具体的な改善につながりません。

その結果、「回答しても意味がない」という認識が生まれます。

現場の課題が、人事や経営へ届かない

職場で問題が見つかっても、「現場で工夫してください」と戻され、人員、制度、組織構造などの問題が放置されます。

これらに共通する問題は、一つひとつの施策の品質だけではありません。

一つの施策で得られた情報や学びが、次の行動へつながっていないことです。

研究では、リーダーシップの成長を複数の層と時間から捉える

リーダーシップの成長は、一度の出来事によって完成するものではありません。

Day・Dragoni(2015)は、リーダーシップの発達を、個人だけでなく、人と人との関係、チームや組織という複数の層から捉えています。

また、成長を促すものとして、仕事上の経験、計画的な育成施策、他者との関わりを挙げています。

この考え方からは、リーダーシップの成長について、少なくとも次の三つの特徴が読み取れます。

1.個人だけで完結しない

リーダーの行動は、部下、同僚、上司との関係の中で意味を持ちます。

本人が行動を変えることで周囲の反応が変わり、周囲の反応によって本人の行動も変わります。

2.職場や組織の影響を受ける

同じ能力を持つリーダーでも、権限、制度、組織風土、上司からの支援によって、発揮できる行動は異なります。

3.時間をかけて進む

気づき、学習、実践、フィードバック、振り返りを繰り返す中で、行動や関係性が少しずつ変わります。

したがって、人と組織の成長を支援するには、単発の施策ではなく、複数の層と時間を考慮した仕組みが必要です。

人と組織がともに成長する6つのステップ

これまでのシリーズで取り上げた内容は、次の六つのステップに整理できます。

  1. 目指す状態を決める
  2. 個人と組織の状態を見える化する
  3. 結果を読み解き、重ねて考える
  4. 心理的安全性のある場で対話する
  5. 複数の層で行動する
  6. 振り返り、次の改善につなげる

ステップ1.目指すリーダーと組織の状態を決める

最初に必要なのは、評価や調査の実施ではありません。

どのようなリーダーを育て、どのような組織をつくりたいのかを明確にすることです。

例えば、次のような状態です。

  • 管理職が一人で答えを出すのではなく、メンバーの力を引き出せる
  • メンバーが問題を早く共有し、協力して解決できる
  • 部署の目標だけでなく、組織全体の目的から判断できる
  • 変化に応じて仕事の進め方を見直せる
  • 経験から学び、次の行動へ生かせる
  • 現場だけでは解決できない課題が、人事や経営へ届く

目指す状態が明確でなければ、360度評価でどのような行動を確認するのか、組織調査で何を把握するのか、どのような学習・育成機会を用意するのかが定まりません。

「管理職を育てる」「エンゲージメントを高める」といった広い目的だけでなく、具体的な行動と職場の状態に置き換える必要があります。

ステップ2.個人と組織の状態を見える化する

目指す状態が決まったら、現在の状態を把握します。

360度評価では、管理職本人の行動や、周囲からどのように見えているかを確認します。

組織調査では、職場の信頼、上司支援、心理的安全性、情報共有、部署内外の連携、役割、制度などを確認します。

二つの手法は、異なる問いに答えます。

手法中心となる問い
360度評価このリーダーは、どのように行動しているか
組織調査この職場や組織は、どのような状態にあるか

一方だけを見て、すべてを判断しないことが重要です。

管理職の行動に課題が見られても、本人だけでは変えられない環境が影響していることがあります。

組織調査で課題が見られても、どのような行動が影響しているかは、数値だけでは分かりません。

ステップ3.結果を読み解き、重ねて考える

360度評価と組織調査の点数を単純に合算するのではありません。

まず、それぞれの結果を別々に読み解きます。

そのうえで、共通するテーマや結果の違いを確認します。

例えば、次のような問いを考えます。

  • 管理職の行動と、メンバーが感じている職場の状態に共通する課題はあるか
  • 管理職が努力していても、職場環境によって実践が妨げられていないか
  • 職場の状態はよくても、将来に向けて伸ばすべきリーダーの行動はないか
  • 管理職本人、職場、人事・経営のどこに働きかける必要があるか
  • 高い結果として表れている強みを、ほかの職場にも生かせないか

ここで考えるのは、最終的な結論ではありません。

職場で何が起きているかを確認するための仮説です。

ステップ4.心理的安全性のある場で対話する

評価や調査の結果があっても、その背景について率直に話せなければ、適切な改善策は考えられません。

心理的安全性は、仕事上の質問、意見、懸念、失敗などを伝えても大丈夫だと感じられる状態です。

管理職は、例えば次のように対話を始めます。

この結果には、私には見えていなかったことも表れていると思います。
皆さんが感じていることを、具体的な場面とともに教えてください。
すぐに答えを出せないこともありますが、まずは理解したいと思います。

意見をすぐに否定せず、具体的な経験や背景を確認します。

また、話し合いで出されたすべての意見を採用する必要はありませんが、検討結果と理由を返す必要があります。

対話は、単に不満を聞く場ではありません。

  • うまくいっていることを確認する
  • 課題の背景を理解する
  • 自分たちで変えられることを考える
  • 組織へ求める支援を整理する
  • 実際に試す行動を決める

ための場です。

ステップ5.管理職本人・職場・人事・経営が行動する

改善課題を、管理職本人だけの責任にしないことが重要です。

行動を複数の層に分けます。

管理職本人が行うこと

  • 会議で自分が話す前に、メンバーへ質問する
  • 部下の話を途中で遮らず、最後まで聞く
  • 仕事を任せる範囲と期待を明確にする
  • 自分の行動目標を必要な範囲で周囲へ伝える
  • 周囲から定期的に短いフィードバックを得る

職場のメンバーと行うこと

  • 会議や情報共有の方法を見直す
  • 役割や責任を明確にする
  • 仕事上の困りごとを共有する時間をつくる
  • 改善行動の進捗を定期的に確認する
  • 管理職だけでなく、メンバー自身の行動も考える

人事・経営が行うこと

  • 管理職の業務量や権限を見直す
  • 上司による育成支援を強化する
  • 部署間で対立している目標を調整する
  • 必要な学習・育成機会や実践機会を用意する
  • 制度や組織構造に関する課題へ対応する
  • 現場へ対応状況を返す

管理職本人へ新しい行動を求めながら、組織がその行動を妨げていては、成長は続きません。

ステップ6.振り返り、次の改善につなげる

行動を決めても、実践状況を確認しなければ、次第に忘れられてしまいます。

1~3か月後などに、次の点を振り返ります。

  • 決めた行動を実践できたか
  • 管理職本人の行動はどのように変わったか
  • メンバーの受け止め方に変化はあるか
  • 職場の仕事の進め方は変わったか
  • 人事や経営が対応すべき課題は進んでいるか
  • 続けること、修正すること、やめることは何か

次の360度評価や組織調査を待たず、日常の変化を確認します。

評価や調査は、定期的に変化を確認するために有効です。

しかし、人と組織の成長は、調査と調査の間に行われる日常の行動によって生まれます。

一度の大きな改革より、小さな循環をつくる

人や組織を大きく変えようとすると、長期的で複雑な計画になりやすくなります。

しかし、最初から完璧な仕組みをつくる必要はありません。

例えば、ある職場で「意見を伝えにくい」という課題が見つかったとします。

そこで、

  1. 管理職が、会議で自分の意見を述べる前にメンバーへ質問する
  2. 会議の最後に、発言できなかったことがないか確認する
  3. 1か月後に、発言のしやすさが変わったか話し合う

という小さな行動から始めます。

うまくいけば続け、効果がなければ方法を変えます。

重要なのは、最初から正しい施策を選ぶことではありません。

試す
反応を見る
振り返る
修正する

という循環をつくることです。

人と組織が成長する力とは、問題が一切起こらないことではありません。

問題を見つけ、率直に話し、協力して試し、その結果から学べることです。

人と組織の成長をつなぐ5つの設計原則

1.すべての施策に共通する目的を置く

360度評価、組織調査、学習・育成機会を、それぞれ別の目的で実施するだけでは、結果がつながりません。

例えば、

リーダーの成長を通じて、メンバーが力を発揮できる職場をつくる

という共通の方向性を設定します。

2.同じ点数ではなく、共通するテーマでつなぐ

360度評価と組織調査で、まったく同じ設問を用いる必要はありません。

上司支援、部下育成、心理的安全性、情報共有、部署間連携などの共通テーマを整理し、管理職の行動と職場の状態を関連づけて考えます。

3.データの取り扱いを混同しない

360度評価は原則として個人単位、組織調査は集団単位で扱います。

二つをつなげることと、個人結果を組織へ公開することは同じではありません。

匿名性や本人の同意を守りながら、必要なテーマと行動をつなぎます。

4.個人だけでなく、組織にも行動を求める

管理職本人へ行動改善を求めるだけでなく、職場、人事、経営が変えることも明確にします。

個人の努力では変えられない環境を放置したまま、本人に変化だけを求めてはいけません。

5.測定よりも、測定後の行動に時間を使う

評価や調査を精緻に設計することは重要です。

しかし、結果の共有、対話、実践、支援、振り返りに時間を使わなければ、測定だけが繰り返されます。

「次の調査で数値を確認する」だけでなく、その間に何を行うかを設計します。

人事が最初に確認したい6つの問い

自社の取り組みを見直す際には、次の問いが役立ちます。

1.どのようなリーダーと組織を育てたいのか

求める能力だけでなく、具体的な行動や職場の状態として定められているでしょうか。

2.個人と組織の両方を把握できているか

管理職本人の行動だけ、または組織調査の数値だけで判断していないでしょうか。

3.結果について率直に話せる場があるか

管理職本人やメンバーが、耳の痛い内容を含めて話せるでしょうか。

4.誰が何を変えるかが明確か

管理職本人、職場、人事、経営の役割が分かれているでしょうか。

5.仕事の中で試す機会があるか

学んだことや決めた行動を実践できる仕事、時間、権限が用意されているでしょうか。

6.短い間隔で振り返っているか

年に一度の評価や調査だけでなく、日常の変化を確認する機会があるでしょうか。

すべてを一度に整える必要はありません。

現在不足している部分から、一つずつつなげていくことが重要です。

避けたい5つの分断

1.評価と育成の分断

360度評価を実施しても、その後の学習、実践、支援につながっていない状態です。

2.調査と組織改善の分断

組織調査を実施しても、職場での対話や具体的な行動が行われていない状態です。

3.個人と職場の分断

管理職本人だけに行動変容を求め、職場環境や制度を見直していない状態です。

4.現場と経営の分断

現場で解決できない課題が、人事や経営へ届かない、または届いても対応状況が返されない状態です。

5.実践と振り返りの分断

行動計画をつくっても、実行状況や結果を確認していない状態です。

人と組織がともに成長する仕組みとは、新しい施策を次々と導入することではありません。

これらの分断を一つずつつなぐことです。

リアルワンが目指すリーダーシップの開発・育成

リアルワンでは、360度評価、組織調査、学習・育成支援、組織改善支援を、単に異なるサービスとして考えていません。

360度評価は、リーダー本人が自分の行動と周囲への影響を理解するための手がかりになります。

組織調査は、そのリーダーを含むメンバーが働く職場や組織の状態を明らかにします。

心理的安全性のある対話によって、結果の背景にある具体的な経験や問題を共有します。

学習・育成機会と仕事上の経験を通じて、新しい行動を試します。

周囲からフィードバックを得て、結果を振り返り、次の行動を修正します。

そして、管理職本人だけでは変えられない課題については、人事や経営が取り組みます。

私たちが目指しているのは、評価や調査を実施すること自体ではありません。

また、一部の優れた管理職だけに、組織を変える責任を負わせることでもありません。

リーダー個人が、自分の行動を振り返り、学び続けられること。
メンバーが、組織の問題について率直に話し、協力できること。
人事や経営が、現場だけでは変えられない環境を整えること。

この三つがつながることによって、人と組織の成長が循環し始めます。

これが、リアルワンが目指すリーダーシップの開発・育成です。

まとめ:人と組織の成長を、循環させる

リーダー個人の育成と、リーダーシップの開発・育成は、対象と育てるものが異なります。

しかし、二つを別々に進めても、持続的な変化にはつながりにくくなります。

人と組織がともに成長するためには、次の循環が必要です。

目指す状態を決める
360度評価と組織調査で、個人と組織を見える化する
結果を重ねて、改善の仮説を考える
心理的安全性のある場で対話する
管理職本人、職場、人事・経営が行動する
結果を振り返り、次の改善へつなげる

360度評価だけでは、組織は変わりません。

組織調査だけでも、組織は変わりません。

学習・育成機会を用意するだけでも、行動が変わるとは限りません。

それぞれを一つの成長サイクルとしてつなぐことが重要です。

必要なのは、問題のない組織をつくることではありません。

人と組織が、自分たちの状態を理解し、率直に対話し、行動し、経験から学び続けられる仕組みをつくることです。

よくある質問

リーダー個人の育成と、リーダーシップの開発・育成の違いは何ですか

リーダー個人の育成は、一人ひとりの知識、スキル、判断力、自己認識、行動を高める取り組みです。リーダーシップの開発・育成は、信頼、対話、協力関係、共通認識などを育て、組織全体でリーダーシップを発揮できる状態をつくる取り組みです。

人と組織をともに育てるには、何から始めればよいですか

最初に、どのようなリーダーと組織を育てたいのかを明確にします。そのうえで、現在の個人の行動と組織の状態を把握し、最も重要な課題を一つか二つ選びます。

360度評価と組織調査は、必ず両方実施する必要がありますか

すべての組織で、同じ時期に両方を実施する必要はありません。ただし、個人の行動だけ、または組織の状態だけで判断せず、両方の視点を持つことが重要です。

二つの結果は、どのように組み合わせますか

点数を単純に合算するのではなく、上司支援、心理的安全性、部下育成、情報共有、部署間連携などの共通テーマで整理します。それぞれの結果を別々に理解したうえで、対話を通じて背景を確認します。

組織調査の数値を、管理職の評価に使ってもよいですか

組織調査の結果には、管理職の行動だけでなく、制度、人員、経営方針、同僚との関係なども影響します。部署の数値だけで管理職の能力や成果を判断することには慎重さが必要です。

心理的安全性が高ければ、組織は成長しますか

心理的安全性は、率直な発言や学習を可能にする重要な土台です。ただし、それだけでは十分ではありません。明確な目的、具体的な行動、組織からの支援、実行後の振り返りと組み合わせる必要があります。

成長の成果は、どのように確認すればよいですか

360度評価や組織調査の数値だけでなく、管理職の行動、会議での発言、相談の早さ、部署間の協力、決めた行動の実践状況など、日常の変化も確認します。

すべての仕組みを一度に導入する必要がありますか

一度に整える必要はありません。現在の施策のどこで流れが切れているかを確認し、例えば評価後の振り返り、調査後の対話、現場課題を経営へ届ける仕組みなど、不足している部分からつなげます。

参考文献

  • Day, D. V.(2000)“Leadership Development: A Review in Context.” The Leadership Quarterly, 11(4), 581–613. DOI: 10.1016/S1048-9843(00)00061-8
  • Day, D. V., Fleenor, J. W., Atwater, L. E., Sturm, R. E., & McKee, R. A.(2014)“Advances in Leader and Leadership Development: A Review of 25 Years of Research and Theory.” The Leadership Quarterly, 25(1), 63–82. DOI: 10.1016/j.leaqua.2013.11.004
  • Day, D. V., & Dragoni, L.(2015)“Leadership Development: An Outcome-Oriented Review Based on Time and Levels of Analyses.” Annual Review of Organizational Psychology and Organizational Behavior, 2, 133–156. DOI: 10.1146/annurev-orgpsych-032414-111328
  • Huebner, L.-A., & Zacher, H.(2021)“Following Up on Employee Surveys: A Conceptual Framework and Systematic Review.” Frontiers in Psychology, 12, 801073. DOI: 10.3389/fpsyg.2021.801073
  • Edmondson, A. C., & Bransby, D. P.(2023)“Psychological Safety Comes of Age: Observed Themes in an Established Literature.” Annual Review of Organizational Psychology and Organizational Behavior, 10, 55–78. DOI: 10.1146/annurev-orgpsych-120920-055217

シリーズ一覧

1. 360度評価だけでは組織は変わらない

– リーダーシップ開発研究が示す「組織開発」の重要性

2. なぜ組織調査が組織開発の出発点になるのか

– 「測るだけ」で終わらせない組織調査の活用法

3. 心理的安全性だけでは組織は変わらない

– 組織調査を「対話」と「行動」につなげるために

4. 360度評価は管理職を育てる。組織調査は組織を育てる。

– 二つの視点を重ね、個人と組織をともに変える

5. 360度評価を、リーダー個人の成長につなげる

– 評価・学習・経験・支援を一つの育成プロセスにする

6. 人と組織がともに成長する仕組みとは

– リアルワンが目指すリーダーシップの開発・育成