従業員満足度・エンゲージメント・組織への愛着に共通する3つの仕事経験とは?

会社・組織についての33側面を分析

シリーズ|働く人の仕事と職場に関する意識調査2026

2026年7月に実施した全国調査「働く人の仕事と職場に関する意識調査2026」で、会社・組織についての33側面が、従業員満足度、エンゲージメント、組織への愛着とどう関連しているかを分析したところ、「仕事の意義」「能力の活用」「自律性」は3指標すべてで関連上位となりました。

一方、組織への愛着では「情報共有」「経営方針」も上位に挙がり、指標によって関連上位の側面に違いも見られました。本記事では、33側面の全体像を示したうえで、どの側面が結果を読み解く手掛かりになったのかを、相関係数の意味も含めて分かりやすく解説します。

※本調査では、組織コミットメントのうち情緒的コミットメントを測定しています。本コラムでは分かりやすく「組織への愛着」と表記します。

主要結果トピックス

● 「仕事の意義」「能力の活用」「自律性」は、従業員満足度・エンゲージメント・組織への愛着のすべてで関連上位4位以内。
● 従業員満足度とエンゲージメントの関連上位5側面は、順位は異なるものの同じ顔ぶれ。
● 組織への愛着では、「情報共有」「経営方針」も関連上位5側面に入った。
● 共通3側面の前向きな回答率は36.3~39.9%で4割弱。関連の強さと、現在どの程度実感されているかは別の情報。

この記事を監修した人
青山 愼
青山 愼

立命館大学経済学部卒業。早稲田大学ビジネススクールでMBAを取得。在学中に、「組織学習」や「個人の知の獲得プロセス」に関する研究を経て、リアルワン株式会社を設立。企業や組織が実施する各種サーベイ(従業員満足度調査・360度評価・エンゲージメントサーベイ等)をサポートする専門家として活動。現在は累計利用者数が100万人を超え、多くの企業や組織の成長に携わる。

今回比較した「33側面」とは

従業員満足度やエンゲージメント、組織への愛着の結果だけを見ても、「具体的に何を確認すればよいか」までは分かりません。

そこで本調査では、働く人が日々経験する仕事や組織の状態を、「仕事内容」「組織」「職場仲間」「待遇・処遇」の4領域、計33側面に整理し、3つの中核指標との関連を比較しました。

33側面には、仕事の意義や自律性のような仕事内容に関するものだけでなく、心理的安全性、経営方針、上司の支援、承認・称賛、評価の納得性、給与、ワークライフ両立なども含まれます。

つまり、最初から特定のテーマだけを取り上げたのではなく、会社・組織についての幅広い側面を同じ条件で比較したうえで、どの側面が3指標と相対的に強く関連していたかを確認しています。

仕事内容(7側面)組織(9側面)職場仲間(7側面)待遇・処遇(10側面)
仕事の意義情報共有部署の成長努力承認・称賛
能力の活用顧客志向部署間の連携能力開発の機会
成長の実感変革の風土部署内の連携評価の納得性
自律性心理的安全性上司の支援昇進・昇格
フィードバック経営方針上司の業務推進給与
仕事の多様性意思決定経営者のビジョン業務遂行環境
役割の明確性組織の倫理観・モラル経営者と現場の関係性福利厚生
業務の進めやすさ仕事の負荷
感情面の負担の少なさ雇用の安心感
ワークライフ両立

相関係数とは?この分析では「どこを詳しく見るか」の手掛かりとして使う

今回の分析では、33側面の評価が高い人では、従業員満足度、エンゲージメント、組織への愛着も高い傾向がどの程度見られるかを、相関係数で確認しました。

相関係数は、2つの評価が同じ方向に動く傾向の強さを表す数値です。+1に近いほど、一方の評価が高い人ではもう一方も高い傾向が強く、0に近いほど関係は弱くなります。

相関が高い側面は、従業員満足度やエンゲージメントなどの結果を詳しく読み解くうえで、有力な手掛かりになります。ただし、相関係数だけで原因や施策の効果まで判断することはできません。そのため本記事では、相関を「詳しく見るテーマを絞る手掛かり」として使います。

相関係数の読み方

相関係数(r)は-1~+1の範囲で表します。+1に近いほど2つの評価が同じ方向に動く傾向が強く、0に近いほど関係は弱くなります。
ただし、相関は原因・結果、施策効果、重要度を示す数値ではありません。

3指標に共通して関連が強かったのは「仕事の意義」「能力の活用」「自律性」

33側面を比較すると、「仕事の意義」「能力の活用」「自律性」は、従業員満足度・エンゲージメント・組織への愛着の3指標すべてで関連上位4位以内に入りました。

  • 仕事の意義は、自分の仕事に、顧客・社会・組織・周囲の人にとっての価値や大切な役割を感じられる程度です。
  • 能力の活用は、自分の知識、経験、強み、得意分野を現在の仕事で活かせていると感じられる程度。
  • 自律性は、仕事の進め方や工夫について自分で判断・調整できる程度です。

つまり、組織の制度や待遇、上司や同僚などだけではなく、「どんな仕事を経験しているか」が3指標に共通して強く関連していた点は、経営・人事が結果を読み解くうえで重要な示唆です。

図1 3指標に共通して関連が強かった「仕事の意義」「能力の活用」「自律性」
側面前向きな回答率満足度エンゲージメント組織への愛着
仕事の意義36.4%.756.676.784
能力の活用39.9%.774.657.732
自律性36.3%.740.651.740

従業員満足度とエンゲージメントでは、関連上位5側面の顔ぶれが共通

従業員満足度とエンゲージメントでは、細かな順位は異なりますが、関連上位5側面の顔ぶれは共通していました。

上位に並んだのは、「仕事の意義」「能力の活用」「成長の実感」「自律性」「フィードバック」です。いずれも仕事内容に関する側面です。

従業員満足度やエンゲージメントを読み解く際には、組織の人事制度や処遇、職場の人間関係だけでなく、仕事に意味を感じられるか、能力を活かせるか、成長を実感できるか、自分で工夫・判断できるか、有用なフィードバックを得られているか、といった日々の仕事経験にも目を向ける必要があります。

図2 従業員満足度とエンゲージメントに共通する関連上位5側面

組織への愛着では、「情報共有」「経営方針」も関連上位

組織への愛着との関連上位5側面には、上記で紹介したように、仕事の意義、自律性、能力の活用に加えて、「情報共有」と「経営方針」が入りました。

  • 情報共有は、仕事に必要な情報が適切に共有され、必要な情報を得られている程度です。
  • 経営方針は、会社・組織の方針が明確で、現場の仕事や日々の判断に反映されている程度です。

つまり、組織への愛着を読み解く際には、仕事そのものだけでなく、『会社がどこへ向かっているのかが分かるか』『その方向性と自分の仕事がつながっているか』『必要な情報が届いているか』という組織運営の側面も確認する必要があります。

側面相関係数簡単な意味
仕事の意義.784仕事に価値や大切な役割を感じられる
自律性.740仕事の進め方を自分で判断・調整できる
能力の活用.732知識・経験・強みを仕事で活かせる
情報共有.712仕事に必要な情報が適切に共有されている
経営方針.710会社の方針が明確で現場の仕事につながっている

関連が強いからといって、現在の評価が高いとは限らない

3指標に共通して関連が強かった、仕事の意義、能力の活用、自律性の3側面の前向きな回答率(肯定回答の割合)は、仕事の意義36.4%、能力の活用39.9%、自律性36.3%で、いずれも4割弱でした。

この3側面を高く評価する人では、従業員満足度、エンゲージメント、組織への愛着も高い傾向が見られました。一方、全国調査では、これらの側面を前向きに評価する回答は半数に届いていません。つまり、「3指標との関連が強いこと」と「現在どの程度実感されているか」は、別の情報として読む必要があります。

一方、ワークライフ両立の前向きな回答率は47.5%で、今回比較した5側面の中では最も高い一方、エンゲージメントとの相関は.303で相対的に低い結果でした。この違いを見ると、評価水準と関連の強さを分けて考える意味が分かりやすくなります。関連が強い側面だけに着目するのではなく、各側面の評価水準も確認したうえで、取り組みを検討することが大切です。

図3 5側面の前向きな回答率の比較
全国調査を自組織へ生かすときの基本

全国調査:多くの企業・組織に共通しやすい関連の傾向から、自組織で確認する観点を得る。
自組織の調査:各側面の評価水準、部署・職種・役職別の違い、現場の実感を確認する。
施策判断:全国調査の順位をそのまま使わず、経営課題・既存施策・実行可能性とあわせて決める。

経営・人事は、この結果をどう使うか

1.3指標に共通する土台として、「仕事の設計」を確認する

仕事に意味を感じられるか、能力を活かせるか、仕事の進め方を自分で工夫・判断できるかは、3指標すべてで関連上位でした。まず、自組織で「仕事の意義」「能力の活用」「自律性」がどの程度実感されているかを確認します。

2.従業員満足度とエンゲージメントでは、「成長の実感」「フィードバック」も確認する

従業員満足度とエンゲージメントでは、成長の実感とフィードバックを含む5側面が共通して上位に並びました。一方、組織への愛着では情報共有・経営方針も上位となり、仕事経験に加えて組織運営も確認する必要性がうかがえます。

3.組織への愛着では、「情報共有」「経営方針」まで確認する

組織への愛着では、情報共有と経営方針も関連上位でした。会社の方向性が現場の仕事につながっているか、必要な情報が届いているかは、組織との心理的なつながりを考えるうえで重要な確認テーマです。

4.相関は「施策の答え」ではなく、対話や追加確認の手掛かりにする

相関結果だけで施策を決めるのではなく、自組織の評価水準や現場の実感と重ねて判断します。全国調査で関連が強かった側面は、「どこを詳しく確認するか」「現場で何を聞くか」を考えるための手掛かりとして活用します。

自社で結果を読むときの5つの確認ポイント

【ポイント1】まず、中核指標の現在地を確認する従業員満足度、エンゲージメント、組織への愛着のどこに特徴があるかを見ます。
【ポイント2】33側面の評価水準を見る相関だけでなく、自組織で実際にどの側面が高い・低いかを確認します。
【ポイント3】部署・職種・役職別の違いを見る全社平均に隠れた特徴がないかを確認します。
【ポイント4】関連の強さを手掛かりに、詳しく聞くテーマを絞る相関は答えではなく、現場との対話や追加分析のテーマを絞るために使います。
【ポイント5】現場の声・経営課題と照合する数字だけで施策を決めず、既存施策や実行可能性も含めて優先順位を判断します。

まとめ|結果指標の次に、「仕事経験」と「組織運営」を見る

全国4,879名を対象に、会社・組織についての33側面を分析した結果、「仕事の意義」「能力の活用」「自律性」は、従業員満足度・エンゲージメント・組織への愛着の3指標すべてで関連上位でした。

従業員満足度とエンゲージメントでは、成長の実感とフィードバックを含む5側面が共通して上位に並びました。一方、組織への愛着では情報共有・経営方針も上位となり、仕事経験に加えて組織運営も確認する必要性がうかがえます。

大切なのは、全国調査の上位側面を、自組織の施策にそのまま反映することではありません。自組織の評価水準、属性差、現場の声、経営課題と重ね合わせ、どこを詳しく確認し、何を対話するかを考えることです。

リアルワンでは、従業員満足度調査・エンゲージメント調査の設計・実施から、会社・組織についての側面分析、結果の読み解き、活用支援まで一貫して支援しています。

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● 全国調査レポート:本調査の詳細データや関連分析を掲載(公開時にリンク設定)
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● ご相談:従業員満足度調査・エンゲージメント調査、結果の読み解き・活用支援(公開時にリンク設定)

よくある質問

相関係数が高い側面から改善すればよいですか?

いいえ。相関係数は、2つの評価が同じ方向に動く傾向の強さを示すもので、原因や施策効果を示すものではありません。自組織の評価水準、属性差、現場の声、経営課題などとあわせて判断します。

自社独自の設問や他社サービスの設問でも、同じ結果になりますか?

同じ結果になるとは限りません。本記事の数値は、リアルワンが設定した設問・回答尺度・尺度構成にもとづく調査結果です。設問文や回答尺度、集計方法が異なれば、評価水準や相関係数も異なる可能性があります。他社サービスや自社独自の設問の結果を、そのまま本調査の数値と置き換えて解釈しないことが大切です。

全国調査の上位側面を、自社でもそのまま優先課題にしてよいですか?

全国調査は、自組織で確認すべき観点を得るための参考です。自組織では、各側面の評価水準、部署・職種・役職別の違い、現場の声、既存施策、経営課題などを確認したうえで優先順位を判断します。また、本調査はリアルワンの設問・尺度にもとづく結果であり、設問や尺度が異なる調査へそのまま当てはめるものではありません。

調査概要

項目内容
調査名働く人の仕事と職場に関する意識調査2026
調査対象全国の18~59歳の就業者。正社員・正規職員、契約社員・嘱託社員・準社員、派遣社員。従業員数不明、勤続35年以上、経営者・役員等は対象外。
調査方法インターネット調査
実査期間2026年7月3日~7月9日
回収数/分析対象6,000名/4,879名(回答品質基準にもとづき1,121名を除外)
本記事の分析会社・組織についての33側面と、従業員満足度・エンゲージメント・組織への愛着との関連を比較
調査企画・分析リアルワン株式会社
監修・調査主体

監修:青山 愼(リアルワン株式会社 代表取締役)
調査企画・分析:リアルワン株式会社