女性のキャリア形成支援|その課題と必要性~取り組むポイントを解説

「女性のキャリア形成支援を検討しているけど進まない」「課題を踏まえた女性のキャリア形成支援策を構築したい」、そうお考えの人事担当者の方も多いことでしょう。

女性の活躍は、企業の活性化を左右する大きな要素。しかし、活躍を後押しするキャリア形成を支援する上で、女性特有の悩みや問題があるのも事実でしょう。

本記事では、女性のキャリア形成支援における課題と必要性を考察しながら、支援のポイントを企業の成功事例を交えて解説します。

【本記事で得られる情報】

・女性のキャリア形成における悩みや問題
・女性のキャリア形成を支援する必要性
・女性のキャリア形成を支援するポイント
・女性のキャリア形成支援の成功事例
・女性のキャリア形成支援のために取り組むべきこと

この記事を監修した人
青山 愼
青山 愼

立命館大学経済学部卒業。早稲田大学ビジネススクールでMBAを取得。在学中に、「組織学習」や「個人の知の獲得プロセス」に関する研究を経て、リアルワン株式会社を設立。企業や組織が実施する各種サーベイ(従業員満足度調査・360度評価・エンゲージメントサーベイ等)をサポートする専門家として活動。現在は累計利用者数が100万人を超え、多くの企業や組織の成長に携わる。

女性のキャリア形成を難しくする悩みや問題

はじめに、女性のキャリア形成を難しくする「悩み」や「問題」を見ていきましょう。

【女性のキャリア形成における悩みや問題】

・「結婚・出産・育児」といったライフイベントとの両立
・昇進やキャリアアップに時間がかかる
・男女間の給与格差
・ハラスメントの問題

詳しく解説します。

「結婚・出産・育児」といったライフイベントとの両立

キャリア形成における女性の最も大きな悩みは、「結婚・出産・育児」といったライフイベントと仕事との両立でしょう。出産によるキャリアの一時的中断、また育児では、保育園への送迎や急病への対応など、女性だけが様々な役割を担うケースが多くなっています。

この現実の中で、仕事に復帰しても昇進や昇給が遅くなる「マミートラック子供を持つことが社会的・経済的に不利になる「チャイルドペナルティに陥るケースが少なくありません。「結婚・出産・育児」は、女性のキャリア形成にとって今なお大きな悩みといえるのです。

昇進やキャリアアップに時間がかかる

昇進やキャリアアップに時間がかかることも大きな問題です。先に述べた、出産によるキャリアの中断や育児で様々な役割を担うことがキャリア形成の制約となり評価に影響。昇進やキャリアアップが遅れてしまいます。

男女間の給与格差

女性のキャリア形成が制約され、昇進やキャリアアップに時間がかかれば、男女間に給与差が生まれます。これも大きな問題です。企業によっては、給与体系自体が男性より低く設定されているケースもあります。

ハラスメントの問題

ハラスメントの問題も、女性のキャリア形成における大きな悩みでしょう。出産や育児、PMS(月経前症候群)などに対しハラスメントを行うような職場環境では、キャリア形成はもとより自分らしく働くことさえ困難になってしまいます。

関連記事:ハラスメントとは?「種類・意味」職場で起こる原因とその対策を解説

女性のキャリア形成を支援する重要性

女性のキャリア形成支援は、なぜ重要なのでしょうか。ここでは、その理由を考察します。

かつて、「女性は、家庭を守るのが仕事」といわれる時代がありました。しかし、時代は大きく変化し女性の社会進出が拡大。働く女性は、今や当たり前の時代です。にもかかわらず、「結婚・出産・育児」といったライフイベントは女性のキャリア形成に大きく影響し、キャリアの再構築を迫られるケースは少なくありません。

そのような中、日本経済の活性化を促すために「女性活躍推進法」が施行。DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の流れと相まって、「女性活躍」に注目が集まります

女性の活躍は、多様な視点、そして新たな価値観を獲得することであり、企業にとって極めて大きなメリットです。その女性活躍を推進する鍵が、女性のキャリア形成支援にあるのは言うまでもないでしょう。

女性のキャリア形成を支援する重要性が高まっている背景には、このような理由があるのです。

関連記事:ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)で組織力を高める方法

女性のキャリア形成~支援のポイント

様々な悩みや問題を抱える女性のキャリア形成ですが、どう支援すればよいのでしょうか。ここでは、支援のポイントを解説します。

【女性のキャリア形成~支援のポイント】

・女性活躍を全社的に推進する
・アンコンシャスバイアスに捉われない
・管理職へのキャリアアップを支援する
・多様な働き方ができる制度を整える

ひとつずつ見ていきましょう。

女性活躍を全社的に推進する

大切なことは、女性活躍を全社的に推進することです。まずは、経営層が女性の活躍推進に本気でコミットメントする。そしてその方針を、社内で共有しましょう。

女性の活躍を推進するには、周囲の従業員を巻き込むことが重要です。全従業員を巻き込み、マミートラックやチャイルドペナルティを縮小し、女性が活躍しやすい環境を整えます。

アンコンシャスバイアスに捉われない

アンコンシャスバイアスとは、「無意識の偏見」「隠れた思い込み」のこと。「女性は管理職に向かない」「育児や家事は女性がするもの」といった、アンコンシャスバイアスに捉われないことが重要です。

アンコンシャスバイアスは、キャリア形成の弊害になるばかりでなく、ハラスメントの原因にもなります。解消するには、まずアンコンシャスバイアスについて知ること、そしてアンコンシャスバイアスに気づくことが大切です。

管理職へのキャリアアップを支援する

管理職へのキャリアアップを支援する体制を整備します。スキルアップにつながる業務を早くから任せることは、女性のキャリア形成に直結する取り組みです。

同時に、「スキルアップ研修を行う」「ロールモデルを提示する」「評価制度を見直す」ことも忘れてはならないポイントといえます。

多様な働き方ができる制度を整える

多様な働き方ができる制度を整えることは、女性のキャリア形成支援だけではなく、これからの採用戦略、そして人材育成にとって不可欠の取り組みといえます。

時短勤務やフレックスタイムの導入し、育休から復帰した後も柔軟に働くことができる制度を整えましょう。通勤や場所を気にせずに働けるリモートワークの導入も、プライベートと仕事の両立を支援する効果的な施策です。

関連記事:キャリア形成とは?考え方やサポートの方法について

女性のキャリア形成~女性活躍推進に取り組む企業の成功事例

企業は、女性のキャリア形成を支援するためどのような施策を行っているのでしょうか。ここでは、女性活躍推進に取り組む企業の成功事例を紹介します。

カルビー株式会社

カルビー株式会社は、女性の活躍推進を社内の最重要課題と位置づけ、全社をあげて取り組んでいます。代表的な取り組みは、女性の管理職比率アップを目指す研修の実施です。研修は、他の食品メーカーとも協力。合同で、女性のキャリア形成を支援する研修を実施しています。

自分自身でキャリアをデザインする「キャリア自律」をテーマに、アクションプランの策定を支援。研修の成果もあり、2023年は女性の管理職比率が22.6%まで上昇しました。今後は、「女性の管理職比率30%」を目標に、取り組みへのコミットメントを深めています。

パナソニックホールディングス株式会社

パナソニックホールディングス株式会社は、「キャリア構築」と「つながり形成」の両面で女性の活躍推進をサポートしています。

キャリア構築の目的は、女性従業員のリーダーシップやマネジメントスキルの向上です。女性従業員向けに、「キャリアストレッチセミナー」と呼ばれる勉強会を実施。管理職を目指すスキルアップ研修を提供しています。

つながり形成では、女性従業員のネットワーク拡大を支援。女性従業員同士のコミュニティ「Panasonic Women’s Network」を設置し、情報共有やチャンスを獲得しやすい環境を整えています。

ライオン株式会社

ライオン株式会社は、「女性活躍推進法」を踏まえ、女性活躍推進に全社をあげて取り組んでいます育児関連制度を充実させることで、長期的にキャリアアップできる働き方をサポート。働きやすい職場環境を整え、仕事と育児の両立を実現しています。

また、男女間の報酬格差を解消するため、女性従業員に対する学びの機会を増やし評価制度の見直しも実施。女性管理職比率30%達成を目指し、「30% Club Japan(英国で創設された意思決定機関に占める女性の割合を30%に増やす取り組み)」にも参画しています。

ヨネックス株式会社

ヨネックス株式会社は、女性の積極採用を進めると共に、女性従業員を対象とした研修を行っています大きな目的は、グローバル市場での成長、そして多様な視点を社内に取り入れることです。

ワークショップスタイルの研修では、女性の活躍について深掘りし意識改革を図ります。また、ロールモデルとなる人材を招き、講演を通してキャリアデザインの構築をサポート。加えて、短時間勤務制度の導入や社内保育所の設置、フォローアップ面談の実施など、福利厚生も充実させています。

企業が女性のキャリア形成支援のために取り組むべきこと

ここでは、企業が女性のキャリア形成支援のために取り組むべきことを考察します。最も大切なことは、「女性を積極的に採用する」ことです。

多様性の時代。企業にも、多様性が求められています。そのような中、女性の活躍は、企業に多様性と新たな競争力をもたらすでしょう。これからの企業経営にとって、女性を積極的に採用し活躍を促すことは不可欠なのです。そのためにも、先に述べた「支援のポイント」は必須の取り組みといえます。

そしてもうひとつ、企業が取り組むべき重要なことがあります。それは、「自社の状態を把握する」ことです。女性のキャリア形成支援に向けて、「問題は何か」「どのような課題を抱えているのか」、洗い出す必要があります。自社の状態を把握するには、組織サーベイの活用が効果的です。

関連記事:組織サーベイとは?目的や種類、ツール別の質問項目を解説

最後に

女性のキャリア形成を支援し活躍を促すことは、企業の活性化にとって欠かせません。女性が活躍できる環境を整えるためにも、自社の状態を把握し課題解決に取り組んでいきましょう。自社の状態を把握するには、本文で述べた通り組織サーベイの活用がおすすめです。

リアルワン株式会社は、100万人超の利用実績を持つ組織サーベイの専門会社です。第一線の専門家が監修する「従業員満足度調査(ES調査)」「エンゲージメントサーベイ」「360度評価」で、会社の状態を定量的に可視化します

自社の状態を把握し、課題を洗い出したいとお考えの企業様は、リアルワンの組織サーベイをぜひご活用ください。

>> リアルワンへの組織サーベイに関するお問い合わせはコチラのフォームをご利用ください。