「指示待ち部下」の特徴と原因とは?自律型人材に改善する方法を解説

近年、「指示がないと動けない部下」に悩む上司が増えています。その背景には、どのような要因があるのでしょうか。本記事では、その背景を考察すると共に、「指示待ち部下」の特徴や組織的な原因を解説。あわせて、自律型人材へと変化を促すステップ、また自律性を高める組織づくりのポイントを紹介します。

【本記事で得られ情報】

・「指示待ち部下」が増えている背景
・「指示待ち部下」の特徴
・「指示待ち部下」を生む組織的な原因と上司のNG対応
・「キャリア自律」の重要性
・自律型人材へと変化を促す4つのステップ
・自律性を高める組織づくりのポイント

この記事を監修した人
青山 愼
青山 愼

立命館大学経済学部卒業。早稲田大学ビジネススクールでMBAを取得。在学中に、「組織学習」や「個人の知の獲得プロセス」に関する研究を経て、リアルワン株式会社を設立。企業や組織が実施する各種サーベイ(従業員満足度調査・360度評価・エンゲージメントサーベイ等)をサポートする専門家として活動。現在は累計利用者数が100万人を超え、多くの企業や組織の成長に携わる。

目次

「指示待ち部下」が増えている背景

まずは、「指示待ち部下」が増えている背景を考察します。

【指示待ち部下が増えている背景】

・社会や組織環境の変化
・個人の心理的要因
・教育や育成の変化

詳しく見ていきましょう。

社会や組織環境の変化

「指示待ち部下」が増えている背景には、社会や組織環境の変化があります。社会をはじめ、かつては、ロールモデルや上司の指示に従えば正解にたどり着ける時代でした。しかし現在は、変化が激しく明確な答えがない時代になっています。

こうした社会や組織環境の変化の中で、自分で決めることへの不安が高まり「指示を待つほうが安全」と考える部下が増えているのです。

個人の心理的要因

個人の心理的要因も背景のひとつでしょう。「失敗したくない」「責任を取りたくない」という思いが強すぎると、自ら判断することを避けるようになります。学校における「正解を出す教育」も、「上司の判断に従うのが最善」とする心理を助長しがちです。

その結果、自分の意見を言うこともなく、上司の判断を待つ姿勢が常態化。「指示待ち部下」が増えてしまうのです。

教育や育成の変化

教育や育成の変化も背景にあげられます。「結果を出す」ことを優先するあまり、「なぜそうするのか」を考えさせる教育や育成の機会が減っています。結果ばかりを優先し業務に追われれば、部下と対話する時間が削られてしまうのも当然でしょう。

こういった状況の中では、部下の「考える力」や「主体性」を伸ばすことができず、「指示待ち部下」が増えているのです。

「指示待ち部下」の特徴

では、「指示待ち部下」の特徴を見ていきましょう。

【指示待ち部下の特徴】

・判断を上司に委ねる(判断を避ける)
・ミスやトラブルを極端に恐れる
・自分の意見を持つことを躊躇する
・上司に認められることを優先しがち

ひとつずつ解説します。

判断を上司に委ねる(判断を避ける)

「指示待ち部下」は、判断を上司に委ねます(判断を避けます)。自ら考えて行動するよりも、「上司の判断を待つ」「指示が出るまで動かない」といった思考・行動パターンが顕著です。

ミスやトラブルを極端に恐れる

ミスやトラブルを極端に恐れるのも「指示待ち部下」の特徴です。「ミスをして怒られたくない」「トラブルを避けたい」「周囲に迷惑をかけたくない」といった意識が強く、主体的な行動を避ける傾向にあります。

自分の意見を持つことを躊躇する

「指示待ち部下」は、自分の意見を持つことを躊躇します。自分の意見を述べることで、誤解や対立を生むことを恐れ、上司や周囲の意見に合わせるのが特徴です。

上司に認められることを優先する

「指示待ち部下」は、上司に認められることを優先します。上司に評価されることを優先するあまり、「意見よりも同調」「本質よりも印象」を重視しがちです。

「指示待ち部下」を生む組織的な原因と上司のNG対応

では、「指示待ち部下」を生む組織的な原因と上司のNG対応を見ていきましょう。

【指示待ち部下を生む組織的な原因】

・マネジメント構造:指示命令型組織・失敗を許さない文化
・目標設定の問題:KPI偏重による「やらされ感」
・コミュニケーション不足:対話よりも「報告・確認」中心
・プロセス評価の欠如:考えるより「業務遂行」を優先する教育

詳しく解説します。

マネジメント構造:指示命令型組織・失敗を許さない文化

「指示待ち部下」を生む原因の多くは、マネジメント構造にあります。上司の指示通りに動くことを「正解」とする「指示命令型組織」では、部下が自ら考えたり判断したりする機会がありません。

また、「失敗を許さない文化」が根づいている組織では、挑戦よりも「安全策」を取る行動が定着し、部下の主体性が失われてしまいます。

目標設定の問題:KPI偏重による「やらされ感」

目標設定に問題があれば、「指示待ち部下」を生んでしまいます。KPI(重要業績評価指標)に偏重しては、「なぜその仕事をやるのか」といった目的意識を持ちにくくなり、部下は「やらされ感」が強くなるでしょう。目標が「数字や上司のため」に置き換わると、仕事が主体的な活動ではなく「作業」になってしまいます。

コミュニケーション不足:対話よりも「報告・確認」中心

コミュニケーション不足は、「指示待ち部下」を生む大きな原因です。コミュニケーションが対話より「報告・確認」が中心になると、部下は「答えを待つ姿勢」になりがちです。そのような環境では、自分の考えを整理したり上司と一緒に考えたりする機会がなくなり、指示待ちの構造が広がってしまいます。

プロセス評価の欠如:考えるより「業務遂行」を優先する教育

プロセス評価の欠如も、「指示待ち部下」を生む原因になります。「まずはやってみろ」「とにかく行動しろ」など、考えるより「業務遂行」を優先する教育では「仕事をこなす」ことが目的化します。

成果やスピードばかりを評価し、プロセスの評価が欠如すれば、工夫や改善に対する意識が失われてしまい組織活性化を阻む要因にもなりかねません。

「キャリア自律」の重要性~自ら考え判断し行動する人材を育てる

キャリア自律とは、自分の意思でキャリアの方向性を描き主体的に行動(キャリア形成)する姿勢のことです。自分はどのように成長し、組織の中でどんな価値を発揮できるのか「自ら考えて動く意識」と言ってもよいでしょう。

変化のスピードが速く、正解がひとつではない時代。指示を待つばかりでは、対処できません。求められるのは、状況に応じて自ら考え、判断し、行動する「自律型人材」なのです。

自律性が高まると、仕事や組織に対する「満足度・エンゲージメント」が高まるという研究もあります(※)。キャリア自律は、個人の成長だけでなく組織の持続的成長にもつながるのです※「仕事の自律性:その規定要因と効果(サイト内PDF参照)」キャリア自律意識による人材開発と従業員のエンゲイジメント間の調整効果の検討

今、目指すべきは「指示待ち部下」を動かすことではなく、自ら考え、判断し、行動する「自律型人材」を育てること。「指示待ち部下」を自律型人材へと変化を促し、自律性を高める組織づくりが求められているのです。

関連記事1:キャリア形成とは?考え方やサポートの方法について
関連記事2:自律型人材とは?特徴やメリットデメリット~育成法を事例と共に解説

指示待ち部下から自律型人材へ~変化を促す4つのステップ

では、「指示待ち部下」を自律型人材へと変化を促すにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、4つのステップを紹介します。

【自律型人材へと変化を促す4つのステップ】

ステップ1:目的共有と役割を明確化する
ステップ2:小さな裁量権を与え成功体験を積ませる
ステップ3:1on1ミーティングで内省を促し考える習慣を育てる
ステップ4:結果だけではなくプロセスを評価する

各ステップを詳しく見ていきましょう。

ステップ1:目的共有と役割を明確化する

まずは、仕事の目的を共有し役割を明確化することが重要です。「指示待ち」になる理由に、「何のためにこの仕事をするのか」が分からないことがあります。取り組むべきは、仕事の目的を丁寧に説明し、成果と本人の役割を結びつけることです。

仕事の目的を共有し役割が明確になることで、「指示を待つ」姿勢から「自分がやるべきこと」を考える姿勢への変化が期待できます。

ステップ2:小さな裁量権を与え成功体験を積ませる

次に、小さな裁量権を与え成功体験を積ませます。いきなり「自律して行動せよ」と言われても、部下は動けません。大切なことは、段階的に裁量権を広げていくこと。まずは、小さなことから任せてみましょう。

結果がでた後は、そのプロセスを振り返り、「自分の判断が役に立った」という感覚を持たせることが自律の意識につながっていきます。

関連記事:エンパワーメントとは?権限委譲を推進するための方法や成功事例をご紹介

ステップ3:1on1ミーティングで内省を促し考える習慣を育てる

1on1ミーティングで内省を促し、考える習慣を育てることが重要です。1on1ミーティングは、一方的に指示や確認を行う場ではありません。部下に、「なぜそう考えたのか」「次にどうしたいのか」など、取り組み方を言語化させる時間です。この関わり方が、行動に対する意味づけを認識させ、自律型人材へと変化を促します。

ステップ4:結果だけではなくプロセスを評価する

結果だけではなくプロセスを評価することが重要です。結果や数字だけに焦点を当てすぎると、部下はミスを避けるようになります。 プロセスに対する前向きな評価は、挑戦する文化を醸成し、自律的な行動意欲を引き出します

自律性を高める組織づくりのポイント

次に、自律性を高める組織づくりのポイントを見ていきましょう。

【自律性を高める組織づくりのポイント】

・「従業員満足度調査・エンゲージメントサーベイ」を実施する
・エンゲージメントサーベイ」を実施する
・「心理的安全性」と「挑戦を称える文化」を整える
・「管理職教育・評価制度・キャリア支援」を見直す

詳しく解説します。

「従業員満足度調査・エンゲージメントサーベイ」を実施する

まず大切なことは、部下や組織の現状を把握することです。それには、「従業員満足度調査(ES調査)・エンゲージメントサーベイ」の実施が効果的です。

部下の満足度やエンゲージメントを調査することで、「自律を妨げている原因」や「改善すべき課題」を可視化することができます。調査結果をもとにした課題改善への取り組みが、自律性を高める組織づくりの第一歩といえます。

関連記事1:従業員満足度調査(ES調査)とは
関連記事2:エンゲージメントサーベイとは

「心理的安全性」と「挑戦を称える文化」を整える

「心理的安全性」と「挑戦を称える文化」を整えることも重要です。心理的安全性とは、組織の中で自分の意見や考え方を安心して発言できる状態をいいます。多様な意見や試行錯誤を否定せず受け止めることは、挑戦を称える文化につながり、自ら考え、判断し、行動する意欲を醸成します。

関連記事:心理的安全性を高め、組織の生産性を高めるリーダーとは?

管理職教育・評価制度・キャリア支援」を見直す

「管理職教育・評価制度・キャリア支援」を見直すことも忘れてはなりません。管理職教育では、「指示するマネジメント」から「伴走するマネジメント」への転換を図ります。

成果だけでなく、「プロセスや挑戦」を評価する評価制度の構築も不可欠でしょう。さらに、部下が中長期的に自分のキャリアを描くキャリア支援を充実させる。こういった体制を整えることが、自律性を高める組織の土台を築きます。

最後に

自律性を高める組織づくりの第一歩は、部下や組織の現状把握にあります。それには、本文で示した通り、従業員満足度調査(ES調査)やエンゲージメントサーベイが効果的です。

リアルワン株式会社は、調査・評価の専門会社です。第一線の専門家が監修する従業員満足度調査(ES調査)」「エンゲージメントサーベイ」で、部下と組織の現状を可視化します。導入にあたっては、調査の設計から実施、アクションプランの立案・実行・検証までをトータルでサポートします。

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