従業員満足度アンケートは“組織の健康診断”ともいわれ、従業員と組織の状態を的確に把握できる信頼性のある調査です。従業員の行動や顧客満足度、業績などへの影響が大きいことから、経営指標の一つとする企業も増えています。
ここでは、従業員満足度アンケートの概要や目的について解説するとともに、設問項目の作り方、設問項目例、実施手順と調査の活用方法、費用感まで詳しく見ていきます。ダウンロードして使える設問項目のテンプレートも用意しているので、ぜひご活用ください。
目次
従業員満足度アンケート(ES調査)とは
従業員満足度アンケートとは、組織で働く従業員が仕事や職場環境、待遇などについてどの程度満足しているか、どのようなことに満足・不満を感じているのかを明らかにする調査のことをいいます。呼称は様々あり、ES(Employee Satisfaction)調査や職場アンケート、会社アンケート、仕事アンケートと呼ばれることもあります。
研究結果によると、従業員満足度は職務成果や顧客満足度(CS)、組織市民行動(自身の職務範囲以外にも組織の役に立つ行動を自発的に行う)といった仕事に関することからプライベートに至るまで、多くの影響を与えることがわかっています。
そのため、従業員満足度を経営指標の一つと位置付け、年1回といったペースで定期的に調査を実施して改善に役立てる企業が増えています。
従業員満足度アンケートの目的
従業員満足度アンケートを実施する目的は解決したい課題によって異なりますが、大きく次の4つに整理できます。
従業員のモチベーション向上による組織の活性化
組織の活性化を目的に従業員満足度アンケートを取り入れる企業は多く、もっともポピュラーな使い方といえるでしょう。
従業員満足度アンケートを実施すること自体が、従業員にプラスの印象をもたらす“メッセージ効果”があることはよく知られています。「会社は従業員を大切にしている」「従業員の意見やアイデアを吸い上げて良い会社にしようとしている」といったメッセージが伝われば、従業員のモチベーションが向上し、組織活性化の好循環が生まれやすくなります。
課題把握によるPDCAの精度向上
従業員満足度アンケートでは、組織課題とその要因を特定することができます。施策の検討および施策実行後の効果検証に用いることで、PDCAの精度向上につながります。
一般的に経営層と従業員の認識のズレは、組織規模に比例して大きくなります。従業員の声や思いを把握しないまま様々な判断を下すことは、パフォーマンスの低下を招きかねません。
たとえば、評価制度や給与制度の変更は従業員の生活に多大な影響を与えるため、判断を誤ってしまうとモチベーションが著しく低下します。経験や勘、思い込みで施策を実行することは大きなリスクとなり得るため、従業員満足度アンケートを用いて有効性を検証しながら改善につなげていくことが望ましいといえるのです。
また、組織改編や教育・研修の検証に従業員満足度アンケートを活用すれば、成果を高めるための方向性を見出しやすくなるという利点があります。日本では予算作成時期の前に従業員満足度アンケートを実施するケースが多くなっていますが、これは調査結果を施策立案や検証に活かすためと考えられます。
経営指標として定点観測
従業員満足度を経営指標の一つに置いて、数値の変化を定点観測する企業も増えています。財務諸表から経営の健全性を確認するのと同様に、人と組織の状態を可視化するために従業員満足度アンケートを用いるという考え方です。
“組織の健康診断”ともいわれる従業員満足度アンケートでは、総合満足度の数値を把握できるほか、部署やテーマごとの問題点を明らかにすることも可能です。身体の状態をチェックする健康診断と同じように、定期的に実施することで注意すべき兆しを早期にキャッチでき、問題が深刻化する前に対策を講じられるというメリットがあります。
従業員満足度向上による人材の流出防止・優秀人材の獲得
採用難が続く現在は、人材流出を経営課題に挙げる企業が少なくありません。従業員満足度が低い企業・組織では、離職率が高くなる傾向が顕著です。自社の組織課題を的確に把握して改善に努めることは、人材確保(リテンション)につながります。
また、従業員満足度が高い企業は、社会的にも良いイメージが定着します。求職者へのアピール力が高まるため、採用活動において有利に働いたり、従業員からの紹介であるリファラル採用が多くなったりするなど優秀人材の獲得に役立ちます。
従業員満足度アンケートの設問項目の作り方
従業員満足度アンケートで頭を悩ませるのは、どのような設問項目を設定すべきかという点でしょう。調査に使う設問項目は自社でオリジナルに作成するケースと、ベンダーが提供する設問項目を利用するケースの2パターンがあります。
まずは両者の違いを理解した上で、設問項目の開発・カスタマイズの方法と開発手順、注意点を見ていきましょう。
自社オリジナルの設問項目とベンダーが提供する設問項目の違い
充実した調査を手軽に実施するには、やはりベンダーが提供する設問項目を利用するのが近道です。また、専門的な知見を有するベンダーを利用することで、次の3つのメリットを得られます。
- 全国平均値や業界平均値などベンチマークとなる基準値が提供されているため、自社の水準を客観的に押さえることができる
- 従業員満足度の主要項目をカバーしているため、漏れなく網羅的に調査できる
- 設問項目は心理学や統計学などをもとに開発されているため、数値の信頼性と妥当性が高い
これらを満たす設問項目を自社で作成するとなると、膨大な時間と労力がかかる上にノウハウも要します。昨今はインターネット上で無料の設問項目も提供されていますが、データの解釈にはノウハウが必要であり、専門知識がなければ調査結果を成果につなげられないこともある点に注意が必要です。
なお、信頼できるベンダーか否かを判断する基準の一つとして、データの品質を表す「信頼性」と「妥当性」があります。これらの数値が提示されているベンダーを選ぶことは大切なポイントです。
一方で、ベンダーが提供する設問項目は多くの企業・組織に当てはまるよう汎用的に作られていることが多いため、独自性の強い企業・組織・職種などに適さないケースもあります。この場合は、設問項目をカスタマイズしてくれるベンダーを探すとよいでしょう。
設問項目の開発・カスタマイズの方法と手順
基本的にはベンダーが提供する既存の設問項目を利用することをおすすめしますが、調査回数を重ねる中で、オリジナルの設問項目の開発や自社向けにカスタマイズする必要性が生まれることもあります。新たな設問項目を作る際の開発手順を5ステップに分けて見ていきましょう。
※質問項目の開発とカスタマイズの手順について詳しく知りたい方は、次のような文献を参考にしてください。
『心理尺度のつくり方』(著:村上宣寛 出版:北大路書房)
【ステップ1】調査したい領域の定義
まずは調査したい領域を定義します。たとえば、給与に対する満足度を測りたい場合、「給与に対する満足度とは何か」を明確にします。給与の満足度に影響する要素には、給与の額や昇給制度、評価制度、これらに関する説明の仕方など様々なものがあります。
担当者だけで考えると行き詰まることが多いため、周囲にインタビューするなどの工夫も必要です。定義が具体的であるほどステップ2以降をスムーズに進めやすくなるので、入念に行いましょう。
【ステップ2】設問項目の草案を作成
ステップ1で決めた定義をもとに、設問項目の草案を作ります。給与の例からわかるように、一つの領域においても多様な側面があるため、領域ごとに複数の項目が必要になります。設問文を考えるときは、「わかりやすく明瞭であるか」「具体的であるか」「直感的に回答できるか」を意識し、誰が読んでも迷わないようにすることがポイントです。
同時に回答形式も決めておきます。5段階評定法(そう思う・どちらかというとそう思う・どちらともいえない・どちらかというとそう思わない・そう思わない)や、チェックリストのような形式で回答してもらう方法が一般的です。
【ステップ3】パイロットテスト
ステップ2の草案を用い、小規模(数十人程度)のサンプルに対してテストを実施します。設問内容に不備がないか、回答しやすいかなどの観点からチェックして、不適切な項目がある場合は見直します。
【ステップ4】大規模サンプルでのテスト
修正した設問項目を大規模(数百人程度)のサンプルに向けてテストします。回答結果を統計的に分析し、記述統計、項目間の相関係数、信頼性などから設問項目が妥当か否かを精査します。ある程度の回答規模があれば、基準値として比較することもできます。
【ステップ5】より多様なサンプルでのテスト
より精度の高い設問項目を開発する場合は、多様なサンプルに向けたテストを実施して妥当性の検証と基準値の収集を行います。自社のみで使用する設問項目を開発する場合は、このステップは省略されることが多くなっています。
設問項目をカスタマイズする際の注意点
ここまでの説明からわかる通り、設問項目の開発には多くの時間と労力を費やすことになるため、ベンダーが提供する設問項目をもとに自社向けにカスタマイズするケースがほとんどです。ただし、ベンダーの設問項目には著作権があるため、了承を得ずにカスタマイズすることはできない点に注意が必要です。
また、了承を得られたとしても、設問項目の品質を保つためには専門知識が必要です。設問文の表現が多少異なるだけで回答傾向が変わったり、適切な回答を得られなかったりすることもあり、基準値との比較ができなくなる可能性が生じます。自社向けに設問項目を開発したいという場合は、専門家に相談することをおすすめします。
従業員満足度アンケートの設問項目例・テンプレート
従業員満足度アンケートは、大きく「全体満足(Global Satisfaction)」と「領域別満足(Facet Satisfaction)」に分けられます。それぞれの設問項目例を見ていきましょう。
また、ダウンロードできるテンプレートもご用意しておりますので、ぜひご活用ください。
全体満足度の設問項目例
全体満足度は、従業員の仕事や組織に対する総合的な感情や態度を表します。従業員満足度アンケートの中核となる項目であり、ベンチマークとの比較においても理解の中心となるものです。「自社の従業員満足度は〇%」と表現するときは、全体満足度を指していることが多いでしょう。
設問項目例:
「全体的に考えて今の仕事が好きである」
回答形式:
5段階評定など(そう思う・どちらかというとそう思う・どちらともいえない・どちらかというとそう思わない・そう思わない)
領域別満足度の設問項目例
領域別満足度は、従業員の仕事や組織に対する感情・態度を様々な領域に分けて表したものです。心理学者のエドウィン・ロック教授(1976)は、研究結果から「仕事内容」「組織」「職場仲間」「待遇」の4つの領域に分類できるとしています。
領域別満足度では従業員がどの部分に満足・不満を感じているのか、自社の強み・弱みがどこにあるのかといった有益な情報を得ることができます。たとえば、経営方針の浸透に対する満足度が低い場合、メッセージを強化する対策が有効です。待遇面に対する不満が多い場合は制度の見直しを検討するというように、具体的なアクションプランにつなげることができます。
なお、従業員満足度というと、給与や昇進といった待遇面を思い浮かべる方が多いようですが、じつは思っているほど従業員は待遇面を重視していないことが数々の調査で明らかになっています。
領域別満足度の設問項目例を見ていきましょう。
仕事内容
従業員が自身の仕事内容について、どのように感じているのかを測る項目です。仕事から得られる意義や責任、能力の活用、フィードバックなどが含まれます。
設問項目例:
「今の仕事は会社の目標としっかり結びついている」
「自分の得意分野を活かすチャンスがある」
組織
自分が所属する企業や組織について、どのように感じているのかを測る項目です。 経営方針、社風、情報伝達、顧客志向、コンプライアンスなどが含まれます。
設問項目例:
「会社の経営方針に共感できる」
「会社は従業員のアイデアや意見を真剣に聞いてくれる」
職場仲間
仕事仲間について、どのように感じているのかを測る項目です。 経営者や上司、同僚、チームワークなどが含まれます。
設問項目例:
「経営者は会社の将来像やビジョンを社員にわかりやすく伝えている」
「上司は仕事の段取りや計画を上手く行っている」
待遇
働く上での待遇や環境について、どのように感じているのかを測る項目です。給与、昇進、昇格、福利厚生、仕事の負荷、働く環境などが含まれます。
設問項目例:
「仕事に見合った給料を得ている」
「仕事量は適切である」
自由記述項目について
自由記述の設問は従業員の意見や要望を拾い上げることができるため、少なくても1問は設定したほうがよいでしょう。
ただし、自由記述の特徴として「満足度が低い従業員からの回答が多い」「直近の出来事や印象に残った出来事についての記述が多い」という傾向があり、バイアスが生じやすくなっています。自由記述の内容にのみ意識が向いてしまうと、判断を誤ることがあるため注意しましょう。
属性項目について
従業員満足度アンケートでは、部署・役職・勤続年数・性別といった回答者の属性を回答してもらう項目を設定します。どのような属性を設定すれば、調査結果を効果的に活用できるのかを踏まえて決めることがポイントです。
ただし、属性項目が多すぎたり選択区分が細かすぎたりすると、従業員が「回答者が特定されるのでは?」と不安に感じてしまい、率直な回答をしなくなくなる可能性が生じます。匿名性の担保は、従業員から本音を引き出したいときの重要なポイントです。回答者の負担軽減の観点も含めて、適切な項目数に絞り込むことが必要です。
従業員満足度アンケートのテンプレート
従業員満足度アンケートの設問項目のテンプレート(Excel)を用意しました。以下のリンクからダウンロードできるので、ぜひご活用ください。
従業員満足度アンケートの実施手順
従業員満足度アンケートの実施手順を調査準備~実査~集計・分析に分けて見ていきましょう。
調査準備
調査の準備段階では次の事項を行います。
調査実施の告知
従業員への告知では、調査目的と調査結果の活用方法、情報の取り扱いについて、しっかり説明することが極めて重要です。あらかじめ従業員の理解と納得感を醸成しておくことで、有意性のある回答結果を得やすくなります。
また、個人の特定について不安を感じる従業員が多いため、秘匿性が守られる仕組みやシステムを用意するなどして、心理的安全性を担保することが望ましいといえます。
スケジュール策定
段取りよく進めるために、事前に調査スケジュールを決めておきます。従業員満足度アンケートでは、準備~実査~集計・分析、レポート作成まで一定の期間を要するため、短くても2カ月程度見ておく必要があります。調査結果が必要となるタイミング(経営者・役員への報告、予算獲得など)が決まっているなら、逆算して余裕のあるスケジュールを立てましょう。
回答期間は2週間程度とすることが多くなっていますが、対象人数が多い場合やシフト勤務者が多い場合、夏休み・冬休みなどの長期休暇を挟む場合などは、回答期間を長めに設定することもあります。
実施方法の策定
従業員満足度アンケートの実施方法は、紙冊子調査とWeb調査の2つがあります。費用や労力、時間の効率性、ミスの削減、進行管理のしやすさを考慮すると、Web調査のほうが圧倒的に優れているため第一選択となるでしょう。
インターネットに接続できない環境にある場合や、パソコン・スマートフォンの操作に不慣れな従業員が多い場合など、やむを得ない事情があるときは紙冊子も選択肢に加わりますが、その場合もWeb調査と併用することをおすすめします。
調査対象範囲を決定
従業員満足度アンケートは、全従業員を対象とするのが一般的です。課題を抱える特定の層を対象としたいケースもあると思いますが、その場合も特定の層と他の層を比較することで適切な評価ができるようになるため、可能な限り対象範囲を広げたほうがよいでしょう。
また、正社員だけでなく契約社員・アルバイト・派遣社員を対象に含めるか、雇用形態の検討も必要です。昨今では、雇用形態に関わらず個々の能力に応じて役割を与える組織も増えているため、全ての雇用形態を対象とする企業が多くなっています。
実査
実査にあたって留意しておきたいのは、いかに回答率を高めるかという点です。Web調査であればリアルタイムで回答状況を確認できるので、未回答者にはタイミングを見計らってリマインドの連絡をすると効果的です。回答管理をしっかり行うことで、回答率を上げることが可能になります。
集計・分析
従業員満足度アンケートでは、回答結果をいかに的確に解釈するかが非常に大切です。データの集計・分析手法として代表的なものを紹介します。
基本統計量
基本統計量とは、データから全体的な傾向や特徴をつかむために算出する値のことです。平均値や割合など普段から使い慣れている数値を使うことで、経営層や従業員にもわかりやすく説明できます。たとえば、「肯定回答の割合は60%、平均値は3.8」といった具合です。まずは基本統計量で全体傾向を分析し、次に詳細な部分を見ていくという流れにすることでデータを読み解きやすくなります。
クロス集計
クロス集計とは、2つ以上の設問を掛け合わせて数値を算出する手法のことです。部署・役職・勤続年数・性別などの属性と掛け合わせることで、属性区分ごとの満足度がわかるなど、より詳細な分析が可能になります。
一階層だけでなく「○○部の男性・女性」というように、二階層、三階層の掛け合わせによってより具体的な実情を把握することができます。ただし、属性の掛け合わせが多すぎると回答者数(n数)が極端に少なくなり個人の回答結果を見ることになるため、分析に適した階層にすることが大切です。
比較
従業員満足度アンケートを継続的に実施している場合は、過去の結果との比較を行います。施策による成果を検証する際に用います。ベンダーが提供する調査であれば、全国基準値や業界基準値、同規模基準値などのベンチマークと比較することも可能です。自社の水準を的確に把握する上で役立ちます。
偏差値
全国基準値(平均値、標準偏差)があれば、全国平均値を偏差値50として自社の偏差値を計算できます。偏差値を算出しておくと、ランキングのように自社が全国でどの程度の位置にあるのか(全国上位30%以内など)を把握できます。
相関係数
相関係数とは、2種類のデータ間の関係性の強さを表した数値のことです。プラスの関係性とマイナスの関係性があり、数値は「-1~+1」の間の値をとります。
相関係数を用いることで、全体満足度に影響している要素は何かを特定することができます。たとえば、「経営方針への共感」が「給与への満足」よりも相関係数が高い場合、全体満足度を高めるには「経営方針への共感」がより重要という見方になります。改善すべきことの優先順位を付けたい場合に役立つ手法です。
相関係数の一般的な判断は次の通りです。
※小塩真司(2017)『SPSS と Amos による心理・調査データ解析[第2版]、因子分析・共分散構造分析まで』をもとに作成。
従業員満足度アンケートの活用方法
従業員満足度アンケートの活用方法について見ていきます。
従業員へのフィードバック
調査結果については、従業員にも開示することを強くおすすめします。内容によっては躊躇してしまうことがあるかもしれませんが、結果が良くても悪くても、会社として従業員満足度を高めていく姿勢を示すことが大切であり、情報開示はそのための一歩となります。
また、結果のフィードバックがないと、次回の調査の回答率が下がったり有益な回答を得られなくなったりする可能性があります。どの程度まで開示するかは検討する必要がありますが、情報の透明性を担保して従業員の信頼を得る上でも、ありのままの情報を伝えることをおすすめします。
アクションプランの策定
調査結果の集計・分析が完了したら、速やかに改善策やアクションプランの立案に取り掛かります。部署や拠点ごとに課題が異なる場合は、現場の責任者を巻き込みながら現場に即した施策を検討するのも効果を高めるための良い方法です。
実行管理
従業員満足度アンケートでよく見られるのが、アクションプランを策定したものの実行されているかどうかのフォローを行っていないというケースです。とくに満足度が低下している状況にあるときは、四半期ごとなど定期的に進捗を確認することが非常に重要です。
設問項目を限定した簡易的な調査を短期間に繰り返すのも効果的なやり方です。この手法はパルスサーベイと呼ばれ、従業員の意識の変化をリアルタイムで把握できるというメリットがあります。設問数が少なく従業員への負荷を抑えて実施できることから、取り入れる企業が増えています。
効果検証
継続的に従業員満足度アンケートを実施している場合は、施策によって数値に変化が見られるか、過去のデータと比較しながら効果検証します。振り返りはより良い施策につなげる上での重要なステップとなるため、省略せずにしっかり行うことが大切です。
また、次回の従業員満足度アンケートのための準備も行いましょう。人事異動などで担当者が変更になった場合に、引き継ぎがうまくいかず前回との比較ができないというケースがあります。スムーズに効果検証ができるよう、データや関連資料はわかりやすく保存しておきましょう。
調査の実施から検証までをしっかり行えば、人材マネジメント・組織マネジメントのPDCAサイクルがうまく回りはじめ、競争力のある組織へと変わっていきます。
従業員満足度アンケートの費用
従業員満足度アンケートを提供しているベンダーの料金体系は、基本費用+回答人数に応じた費用(従量課金)+オプション費用というパターンが多くなっています。このほか、回答人数に関わらず固定費用としている調査、設問項目数によって費用が決まる調査もあります。
費用感はベンダーによって大きく異なり、基本料金では10万~100万円程度まで幅があります。回答人数に応じた費用も一人当たり300~1,000円程度と幅があるため、総額が大きく変わります。オプション費用は、設問項目のカスタマイズや詳細な分析・レポートの提出、調査後のコンサルティング、ワークショップ、コーチング実施などのサービスを付加することで変わってきます。
調査の目的と求める成果物などによって適したコースが変わるため、費用だけでなくサービス内容を併せて検討し、自社にもっともマッチするベンダーを選ぶようにしましょう。
さいごに
従業員満足度アンケートは、組織の健康状態を的確に把握できる信頼性のある調査手法です。一方で、有益な調査結果を得るためには、専門家によるフォローやシステムの導入が重要な鍵となります。精度の高い解を導き出すための設問項目の設定や的確な分析によるデータの読み解きなど、自社のみで調査品質を維持するのは難しいため、信頼できるベンダーに委託することが近道といえるのです。
リアルワンは、調査・評価専業ならではの豊富な実績と経験をもとに従業員満足度アンケートをサポートしています。
信頼性と妥当性を重視した標準設問項目に加え、お客様の課題に即したオリジナル項目を追加したい場合も、確かな理論に基づいて設計します。調査結果の分析レポートでは、組織・人事の専門家としての視点から考察コメントも提供しています。また、リアルワンのWeb集計システムでは、分析レポートには掲載しきれない複雑なクロス集計などの詳細結果も簡単な操作で出力することが可能です。
「従業員満足度アンケートの成果を高めたい」「何から始めればよいのかわからない」という企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
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