オーセンティックリーダーシップ理論とは?考え方や特性の例を解説

多様性が求められる時代にあって、リーダーシップの在り方も変化しています。トップダウン的に指導や指揮を行う従来型のスタイルから、「自分らしさ」を活かし様々な状況にコミットメントする、新しいリーダーシップスタイルが注目されています

オーセンティックリーダーシップも、そのひとつです。今回は、このオーセンティックリーダーシップを深掘りします。

オーセンティックリーダーシップとは、どのようなリーダーシップスタイルなのか。他の理論とどこが違うのか。オーセンティックリーダーシップの考え方を、求められる特性と共に解説します。

【本記事で得られる情報】

・オーセンティックリーダーシップの意味
・オーセンティックリーダーシップが注目される背景
・オーセンティックリーダーシップと他のリーダーシップ理論との違い
・オーセンティックリーダーシップに求められる特性
・オーセンティックリーダーシップの習得方法
・オーセンティックリーダーシップのデメリット

この記事を監修した人
青山 愼
青山 愼

立命館大学経済学部卒業。早稲田大学ビジネススクールでMBAを取得。在学中に、「組織学習」や「個人の知の獲得プロセス」に関する研究を経て、リアルワン株式会社を設立。企業や組織が実施する各種サーベイ(従業員満足度調査・360度評価・エンゲージメントサーベイ等)をサポートする専門家として活動。現在は累計利用者数が100万人を超え、多くの企業や組織の成長に携わる。

オーセンティックリーダーシップとは何か?

まずは、オーセンティックリーダーシップの概要を解説します。

オーセンティックリーダーシップの意味

オーセンティックリーダーシップ(Authentic Leadership)とは、「自分らしさ」に着目し、自らの信念や価値観に従って行動するリーダーシップスタイルのことです。

「Authentic」は、日本語で「本物、正真正銘、実際の」といった意味です。誰の真似でもなく、自分自身の考えを貫き、様々な状況にコミットメントするリーダーシップの在り方を示しています。

ただ、重要なことがあります。それは、決して「独善的」にならないということです。自分に正直でありながらも、周囲の意見を尊重し関係構築を図りながらリーダーシップを発揮する。そんな、高い柔軟性を持ったリーダー像を示しています。

オーセンティックリーダーシップが注目される背景

今なぜ、オーセンティックリーダーシップが注目されているのでしょうか。ここでは、その背景を解説します。

【オーセンティックリーダーシップが注目される背景】

・ビジネス環境が激しく変化している
・多様な価値観や考え方が必要になっている

ひと昔前は、トップの決断に従い周囲を引っ張っていくリーダーが一般的でした。しかし、ビジネス環境が激しく変化している時代です。トップの決断が、成果につながるとは限りません。このような時代に必要になるのは、多様な価値観や考え方です。そして、それを貫くリーダーなのです。

変化に振り回されず、自分の価値観や考えを貫き、なおかつ周囲の意見を尊重するのがオーセンティックリーダーシップです。今まさに、求められるリーダーの在り方といえます。オーセンティックリーダーシップが注目される背景には、このような理由があるのです。

オーセンティックリーダーシップと他のリーダーシップ理論との違い

ここで、オーセンティックリーダーシップと他のリーダーシップ理論との違いを見ていきましょう。

サーバントリーダーシップとの違い

サーバントリーダーシップ(Servant Leadership)とは、「はじめに相手に奉仕した後、相手をリードしていく」という考え方に立ったリーダーシップスタイルです。

両者の違いは、「着目する対象」にあります。

「自分の価値観や考え方」に着目し、リーダーシップを発揮するのがオーセンティックリーダーシップ。これに対しサーバントリーダーシップは、「相手の価値観や考え方」に着目しリーダーシップを発揮するという点で大きく違っています。

関連記事:サーバントリーダーシップとは|重視される背景とメリット・10の特性・成功事例を紹介

インクルーシブリーダーシップとの違い

インクルーシブリーダーシップ(Inclusive Leadership)とは、「相手の意見を尊重しながらパフォーマンスを最大化し成果をだす」という考え方に立ったリーダーシップスタイルです。

両者の違いは、「受け入れる対象」にあります。

「自分らしさ」を受け入れ、リーダーシップを発揮するのがオーセンティックリーダーシップ。これに対しインクルーシブリーダーシップは、「メンバーの多様性」を受け入れリーダーシップを発揮するという点で大きく違っています。

関連記事:インクルーシブリーダーシップとは?特徴と多様性のある組織の作り方

オーセンティックリーダーシップに求められる5つの特性

では、オーセンティックリーダーシップに求められる5つの特性を解説します。

【オーセンティックリーダーシップに求められる5つの特性】

・目的:自分の目的を理解する
・価値観:自分の価値観に基づいて行動する
・真心:真心を持って本音で向き合う
・人間関係:継続的な人間関係を築く
・自己規律:自分を律する

ひとつずつ見ていきましょう。

目的:自分の目的を理解する

自分らしさを貫き、リーダーシップを発揮するには、目指すべき「目的」が必要です。まずは、自分の目的を理解する。高いモチベーションを維持し、周囲を巻き込んでいくには、目的を明確にした行動が重要です。

価値観:自分の価値観に基づいて行動する

変化の激しい時代に翻弄されないためには、自分の「価値観」を信じ、それに従うことが重要です。自分の価値観に基づいた行動は、周囲を動かす力となるでしょう。

真心:真心を持って本気で向き合う

自分の価値観や考え方を理解してもらうには、「真心」を込めた接し方が不可欠です。相手に対して、真心を持って本音で向き合い信頼関係を構築します。時には、「強み」だけではなく「弱み」を見せることも重要です。

人間関係:継続的な人間関係性を築く

良好な「人間関係」は、チームワークのベースです。継続的な人間関係を築くためにも、周囲とコミュニケーションを深め、関係性の構築に努めます。

自己規律:自分を律する

「自分らしさ」を貫きつつも、独善的にならないためには「自己規律」が必要になります。自分らしさを大切にしつつも、奢らず相手を尊重しながら行動する。全ては、自分を律することから始まります。

オーセンティックリーダーシップの習得方法

オーセンティックリーダーシップを習得するには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、その方法を解説します。

【オーセンティックリーダーシップの習得方法】

・自分の「強み・弱み」を理解する
・自己開示する
・自分自身の振り返りを行う

詳しく見ていきましょう。

自分の「強み・弱み」を理解する

自分のことをよく分かっていることが、オーセンティックリーダーシップの前提です。自己分析を行い、自分の「強み・弱み」を理解しておきましょう

自己分析には、「キャリアの棚卸し」が有効です。これまでのキャリアを振り返り、経験や実績、スキルを洗い出し自己理解を深めます。

自己開示する

信頼関係の構築は、オーセンティックリーダーシップの基盤。それには、相手の話を傾聴し受け入れることはもちろん、自己開示することがポイントです。

特に、自身の「弱み」の開示は、周囲に親しみやすさを与えます。失敗を話すことで、「失敗が許される組織」「リスクがとれる環境」といった意識を醸成し、チャレンジしやすい組織風土を作ることにも役立ちます。

自分自身の振り返りを行う

繰り返しますが、オーセンティックリーダーシップは独善的になっては意味がありません。常に、自分自身の振り返りを行い、行動やリーダーシップの在り方を見直していきましょう。

時間がかかっても、これを継続することが、結果的にオーセンティックリーダーシップの習得を早めます。継続的な振り返りと見直しは、チームの活性化を促進する共に、リーダーとしての自分自身の成長をも促進します。

オーセンティックリーダーシップのデメリット

ここで、オーセンティックリーダーシップのデメリットを見ていきましょう

【オーセンティックリーダーシップのデメリット】

・成長意欲が希薄になる
・柔軟性が失われる可能性がある

詳しく解説します。

成長意欲が希薄になる

「自分らしさ」を発揮することが目的化すると、本来の目的が置き去りにされ、成長意欲が希薄になる可能性があります。特に、チームとして成果が出ている場合に陥りやすい傾向です。

柔軟性が失われる可能性がある

自分の価値観や考え方を貫く意識が強くなりすぎると、柔軟性が失われる可能性があります。リーダーシップが「強制」になっては、本末転倒です。

ここにあげたデメリットをクリアするには、客観的な評価を行うことが効果的です。

客観的な評価には、対象者を様々な立場の従業員が評価する「360度評価」。また、従業員の満足度やエンゲージメントを測る「従業員満足度調査」「エンゲージメントサーベイ」といった組織サーベイの実施がおすすめです。

従業員と組織の状態を把握しオーセンティックリーダーシップを有効活用する

オーセンティックリーダーシップのデメリットをクリアする、「組織サーベイ」についてもう少し掘りさげてみましょう。

【組織サーベイの種類】

360度評価
評価対象者を様々な立場の従業員(上司・同僚・部下)が評価し、結果を本人にフィードバックする組織サーベイ

従業員満足度調査(ES調査)
仕事や職場、組織に対する従業員の満足度を評価・測定する組織サーベイ

エンゲージメントサーベイ
仕事における「思考面・情緒面・行動面」に対する従業員の関与の度合いを評価・測定する組織サーベイ

施策を実施する前には、従業員と組織の状態を把握する必要があります。施策を実施した後は、振り返りを行い課題を洗い出すことが重要です。組織サーベイは、従業員と組織の状態を把握したり、課題を洗い出したりする際に効果を発揮します。

リアルワン株式会社は、組織サーベイの専門会社です。信頼性の担保された「従業員満足度調査(ES調査)」「エンゲージメントサーベイ」「360度評価」で、従業員と組織の状態、そして様々な組織課題を可視化します。

従業員と組織の状態を把握し、オーセンティックリーダーシップを有効活用していきたいとお考えの企業様は、100万人超の利用実績を持つリアルワンの組織サーベイをぜひご活用ください。

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