部下の退職~手遅れになる前に!相談なしの理由や兆候、対応策を解説

相談もせず、突然退職してしまう部下に対して、悩みを抱える管理職の方も少なくないでしょう。状況を改善するには、退職の兆候を理解し対処していく必要があります

本記事では、部下が相談なしに突然退職してしまう理由や兆候を考察しながら、「退職する」と言った部下への対処法と退職防止の施策を紹介。合わせて、退職を決断した部下に対して上司が「やるべきこと」を解説します。

【本記事で得られる情報】

・部下が突然退職する理由
・部下が退職する兆候
・部下が相談なしで「退職する」と言った場合の対処法
・部下の退職を防ぐ方法
・退職を決めた部下に対して上司がやるべきこと

この記事を監修した人
青山 愼
青山 愼

立命館大学経済学部卒業。早稲田大学ビジネススクールでMBAを取得。在学中に、「組織学習」や「個人の知の獲得プロセス」に関する研究を経て、リアルワン株式会社を設立。企業や組織が実施する各種サーベイ(従業員満足度調査・360度評価・エンゲージメントサーベイ等)をサポートする専門家として活動。現在は累計利用者数が100万人を超え、多くの企業や組織の成長に携わる。

部下が突然退職する理由

まずは、部下が“突然”退職する理由を考えてみましょう。大きな理由として、次の3つがあげられます。

【部下が突然退職する理由】

・人間関係の悪化
・評価や待遇に関する不満
・仕事に対する「やりがい・働きがい」の欠如

人間関係の悪化は、退職する代表的な理由です。特に、部下と上司は双方に不満が溜まりやすく、人間関係が悪化しやすい傾向にあります。

評価や待遇に関する不満もよくある退職理由です。能力や実績を「正当に評価してくれない」「給料が上がらない」「労働条件が悪い」などの不満は、退職に直結する理由でしょう。

また、仕事に対する「やりがい・働きがい」が欠如している場合、退職しやすくなります。「やりがい・働きがい」は、モチベーションを高める重要な要素です。この「やりがい・働きがい」が欠如することで、モチベーションが低下、仕事に身が入らず「突然の退職」となってしまうのです。

部下が退職する5つの兆候

ここでは、退職する部下に見られる兆候を考察します。

【部下が退職する5つの兆候】

・仕事に対するモチベーションが低下する
・不満やネガティブな発言が増える
・周囲とのコミュケーションが減る
・有給休暇の取得や欠勤が増える
・社内行事に参加しなくなる

詳しく解説します。

仕事に対するモチベーションが低下する

仕事に対するモチベーションの低下は、退職する部下にありがちな兆候です。退職を考えている部下は、業務に向き合う意欲がなくなります。次の仕事を意識するあまり、集中力がなくなりミスを重ねる傾向があります。当然、「報告・連絡・相談」もなくなり、ある日突然「退職」ということになってしまうのです。

不満やネガティブな発言が増える

不満やネガティブな発言が増えるのも、退職する兆候です。自分が考える、仕事の理想と現実のギャップが大きいためでしょう。これまであまり愚痴をこぼさなかった部下が、頻繁に不満を口にするようになった場合は、特に注意が必要です。

周囲とのコミュケーションが減る

退職する部下は、周囲とのコミュニケーションが減ってきます。理由は、モチベーションが低下し、仕事に対する当事者意識がなくなるからです。ミーティングでの発言が減ったり、メールやチャットの返事が遅くなったりするのも、退職の兆候といえます。

有給休暇の取得や欠勤が増える

有給休暇の取得や欠勤が増えるのも、退職の兆候です。精神的に疲れていれば、休みたくなるでしょう。会社を休んで、転職活動をしている可能性もあります。

有給休暇を使うことは、悪いことではありません。しかし、仕事の状況を考えない取得はもちろん、欠勤となれば周囲の反発を招くでしょう。有給休暇の取得や欠勤の増加には注意が必要です。

社内行事に参加しなくなる

懇親会やレクリエーションなど、社内行事に参加しなくなるのも退職する兆候といえます。退職を考えている部下は、エンゲージメントが低下し、社内行事に参加する意義を見いだせないのです。研修や勉強会に参加しなくなるのも退職の兆候です。

関連記事:エンゲージメントとは(エンゲージメントの定義)

部下が相談なしで「退職する」と言った場合の対処法

では、部下が相談もせず「退職する」と言った場合、どのように対処すればよいのでしょうか。ここでは、その対処法を解説します。

【部下が相談なしで「退職する」と言った場合の対処法】

・部下の話を傾聴する
・「退職引き止め」の可能性を探る
・上司に相談する

ひとつずつ見ていきましょう。

部下の話を傾聴する

まずは、部下の話を傾聴しましょう。何が不満なのか、理由はどこにあるのか、部下の話をじっくり聴き、原因を理解することが重要です。部下の話は、遮ることがないよう最後まで聴き、理解を示すことが傾聴のポイントです。

「退職引き止め」の可能性を探る

次に、「退職引き止め」の可能性を探ります。原因が、人間関係やミスマッチにあるなら、配置転換で解決できるかもしれません。改善できる部分があれば、引き止めは不可能ではないのです。従業員は、大切な「人財」です。できる限り、「退職引き止め」の可能性を探りましょう

上司に相談する

最後は、ここまでの経緯を整理した上で、上司に相談します。人材獲得競争が激しい昨今、貴重な戦力である部下の退職は、会社にとって大きな損失。上司への相談は、必須といえます。

部下の突然の退職を防ぐ方法

部下の退職は、できれば防ぎたいものです。では、どうすればよいのでしょうか。ここでは、部下の突然の退職を防ぐ方法を解説します。

【部下の突然の退職を防ぐ方法】

・サーベイで組織課題を洗い出す
・1on1ミーティングで部下の状態を把握する
・「やりがい・働きがい」を醸成する
・働きやすい職場環境を整備する
・部下のキャリア形成に取り組む
・定期的にストレスチェックを実施する

詳しく見ていきましょう。

サーベイで組織課題を洗い出す

退職を防ぐには、原因を知り改善する必要があります。そのためにも、まずサーベイ(調査・評価)を実施し、退職の原因となり得る組織課題を洗い出しましょう。実施するサーベイは、「360度評価」がおすすめです。

360度評価とは、対象となる従業員を様々な立場の従業員(上司・部下・同僚・他部署の従業員など)が評価し、結果を本人にフィードバックする人事評価の手法です。多面的な評価によって、部下や上司、そして組織が抱える課題を定量的に可視化します。

関連記事:360度評価とは?内容や項目~やり方やメリットデメリットを解説

1on1ミーティングで部下の状態を把握する

1on1ミーティングで部下の状態を把握しましょう。「生の声」を聴くことで、会社や仕事に対する不満、人間関係のストレス、ハラスメントの問題など、部下の本音を把握できます。本音を真摯に受け止め、コミュケーションすることが退職を防ぐことになるのです。

意識すべきは、傾聴と双方向のコミュケーションです。部下の話をじっくり聴くこと、受け入れること、そしてフィードバックすることが「前向き」のミーティングにつながります。

関連記事:人事評価のフィードバック方法~コメント例文や面談のポイントを解説

「やりがい・働きがい」を醸成する

仕事に対する部下のモチベーションを高めるためにも、「やりがい・働きがい」を醸成しましょう。それには、会社の「理念・ビジョン・パーパス」を共有することが重要です。会社の将来、そして仕事が持つ社会的意義への理解が深まります。

「理念・ビジョン・パーパス」の周知を徹底し、「やりがい・働きがい」を醸成。仕事に対するモチベーションを高めることが、部下の退職防止につながります

働きやすい職場環境を整備する

働きやすい職場環境を整備することは、部下の退職を防ぐ重要な取り組みです。職場環境を整備するには、次のポイントを意識します。

【働きやすい職場環境を整備するポイント】

・給与や待遇、福利厚生を改善する
・評価制度を見直す
・残業時間や休日出勤の日数を減らす
・有給休暇、産休、育休、介護休暇などを取得しやすくする
・仕事の偏りを解消する
・適材適所の人材配置を進める
・社内コミュニケーションを活性化させる
・ハラスメント防止に取り組む

働きやすい職場環境の整備は、部下のワークライフバランスに直結すると共に、エンゲージメントの向上につながります

部下のキャリア形成に取り組む

部下のキャリア形成に取り組み、成長に向けて伴走する企業姿勢を示しましょう。それには、キャリアアップ研修が欠かせません。

OJTやOFF-JTの推進、資格取得の支援をはじめ、社外セミナーやオンライン研修も積極的に導入しましょう。部下のニーズに合った研修が、キャリア形成に対する意識を高め、退職を防ぐことになるのです。

関連記事:キャリア形成とは?考え方やサポートの方法について

定期的にストレスチェックを実施する

定期的なストレスチェックを実施するのも、部下の退職防止に効果的です。ストレスチェックを行うことで、部下自身が自分の悩みに気づき、早期の解決につなげやすくなります。結果には、ハラスメントやプライバシーに関わる内容も含まれるため、社内外の「相談窓口」の設置・活用が求められます。

関連記事:ストレスチェック制度とは

それでも退職する部下に対して上司がやるべきこと

では、「それでも退職する」という部下に対して上司がやるべきことを解説します。

大切なことは、退職を決意した部下を無理に引き止めないことです。その理由は、人間関係がさらに悪化する可能性があること、また仮に残ったとしても、エンゲージメントが高まるとは限らないからです。では、どう対応するのか。上司がやるべきことは、次のようになります。

【それでも退職する部下に対して上司がやるべきこと】

・「退職」という選択を尊重する
・円満退職に向けサポートを行う
・今後を見据えた関係性を構築する
・退職する部下の意見を職場環境の改善に活かす

近年、「アルムナイ制度:退職者を積極的に再雇用する施策」が注目されています。働き方が多様化し、流動性が高くなった人材市場おいて、アルムナイ制度はひとつの有効な施策といえます。

アルムナイ制度に対する考え方は様々でしょう。ただ、今後の人材市場を考えれば、退職する部下とポジティブな関係性を維持しておくことは、決して無駄ではないのです。

そのためにも、部下の退職を尊重し円満退職をサポートする。そして、良好な人間関係を構築しておきましょう。同時に、退職する部下の意見を「貴重な学び」と捉え、職場環境の改善に活かすことを忘れてはなりません。

関連記事:社員の定着率を上げるマネジメント

サーベイを実施し課題を可視化しよう!

少子高齢化による人材不足に改善の兆しが見られない中、部下の退職を防ぐことは、企業にとって極めて重要な取り組みといえます。それには、360度評価」を実施し、部下と上司が抱える課題を洗い出す必要があります

360度評価を自社で行うことは不可能ではないでしょう。ただ、自社で行うには、担当者に「手間」と「時間」、そして「専門的なノウハウ」が求められるため、十分な結果が得られない可能性があります

360度評価を外部に委託すれば、費用が発生します。しかし、この「人的・時間的・ノウハウ的」な問題を解消し、実施に見合った結果を得るには、外部のプロに委託するのがベターといえるでしょう。

リアルワン株式会社は、調査・評価の専門会社です。科学的根拠に基づいた「360度評価システム」で、部下や上司、そして組織が抱える課題を定量的に可視化し、課題解決のアクションプランの立案をサポートします。

部下の退職を防ぎ、組織を活性化させたいとお考えの企業様は、100万人超の利用実績を持つリアルワンにぜひご相談ください。

>> リアルワンの「360度評価システム」に関するお問い合わせはコチラのフォームをご利用ください。