ケアハラスメントとは?ケアハラの定義や事例、起こる原因と防止対策

高齢化が進む日本において、「仕事と介護の両立」は、従業員と企業にとっての大きな課題といえます。しかし、その介護をめぐるハラスメントとして問題になっているのが「ケアハラスメント(ケアハラ)」です。

今回は、このケアハラスメント(ケアハラ)にスポットをあて、その定義や嫌がらせの具体例、起こる原因と防止対策を解説します。

【本記事で得られる情報】

・ケアハラスメント(ケアハラ)の意味と具体例
・在宅ケアハラスメント(在宅ケアハラ)とは?
・ケアハラスメント(ケアハラ)が起こる原因
・ケアハラスメント(ケアハラ)が職場に与える悪影響
・ケアハラスメント(ケアハラ)を防ぐ対策

この記事を監修した人
青山 愼
青山 愼

立命館大学経済学部卒業。早稲田大学ビジネススクールでMBAを取得。在学中に、「組織学習」や「個人の知の獲得プロセス」に関する研究を経て、リアルワン株式会社を設立。企業や組織が実施する各種サーベイ(従業員満足度調査・360度評価・エンゲージメントサーベイ等)をサポートする専門家として活動。現在は累計利用者数が100万人を超え、多くの企業や組織の成長に携わる。

ケアハラスメント(ケアハラ)とは?意味と種類を簡単に解説

では、ケアハラスメント(ケアハラ)の意味と種類を簡単に解説しましょう。

ケアハラスメント(ケアハラ)の定義

【ケアハラスメント(ケアハラ)の定義】

働きながら介護を行う従業員に対して、嫌がらせを行ったり制度の利用を妨げたりすること。

ケアハラが起これば、介護を受ける方の生活や健康に、マイナスの影響を与える危険性があります。そればかりではありません。ケアハラを受けた従業員は、「介護ができない」という深刻な悩みを抱えることになり、エンゲージメントを低下させる可能性が高くなるのです。

関連記事1:ハラスメントとは?「種類・意味」職場で起こる原因とその対策を解説
関連記事2:エンゲージメントとは(エンゲージメントの定義)

ケアハラスメント(ケアハラ)の種類~厚生労働省・内閣府が示す具体例

ケアハラスメント(ケアハラ)の種類として、介護制度の「利用者に対する嫌がらせ」「利用を妨げる行為」「利用者への不当な解雇・降格・配置転換」などがあげられます。ケアハラについては、厚生労働省と内閣府も具体例を示しています。

【厚生労働省が示すケアハラスメント(ケアハラ)の具体例】

・解雇する
・契約の更新をしない
・契約の更新回数を引き下げる
・労働契約内容の変更を強要する
・就業環境を害する
・自宅待機を命ずる
・降格させる
・減給し、賞与等において不利益な算定を行う
・昇進、昇格の人事考課において不利益な評価を行う
・不利益な配置の変更を行う

厚生労働省:職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策やセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です

【内閣府が示すケアハラスメント(ケアハラ)の具体例】

・言動などによる嫌がらせ
・人事考課における不利益な評価
・賃金や一時金の引き下げ
・不本意な仕事内容の変更
・不本意な配置転換
・部下なしポストへの異動
・退職勧奨
・職能資格の引き下げ
・雇用形態の変更要求
・役職からの降格

内閣府:連合が実施した意識・実態調査からわかること

在宅ケアハラスメント(在宅ケアハラ)とは?

ケアハラスメント(ケアハラ)と似た言葉に「在宅ケアハラスメント(在宅ケアハラ)」あります。これは、訪問介護や看護に携わる「看護師・介護士・ヘルパー」が、利用者や家族から受けるハラスメントのことです。

「モノを投げる」「叩く」といった身体的な暴力、「大声・無理難題・暴言」といった精神的な暴力が代表的な例です。中には、「身体に触る」といったセクハラが行われるケースもあります。

今、様々な業界・業種で「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が問題になっています。在宅ケアハラは、「介護業界おけるカスハラ」であり、介護サービスの利用者が増える中で深刻な問題となっているのです。

関連記事:ハラスメントの種類

ケアハラスメント(ケアハラ)が起こる背景・原因

ここでは、ケアハラスメント(ケアハラ)が起こる背景・原因を考察します。

【ケアハラスメント(ケアハラ)が起こる背景・原因】

・ハラスメントに対する認識不足
・運用ルールの不整備
・組織文化の影響
・介護に対する意識の低さと固定観念
・業務負担の増加によるストレス

ひとつずつ見ていきましょう。

ハラスメントに対する認識不足

ハラスメントに対する認識不足は、ケアハラスメント(ケアハラ)が起こる代表的な原因です。「どのような言動がケアハラにあたるのか分からない」「言葉自体を知らない」といった認識不足が、ケアハラが起こる原因になっています。

運用ルールの不整備

運用ルールが不整備のままでは、ケアハラスメント(ケアハラ)が起こってしまいます。介護休暇を取得したくても、運用ルールが明確でなければ、利用する従業員、また周囲の従業員もどう対処してよいかが分かりません。これでは、ケアハラが起こる可能性が高くなってしまいます。

組織文化の影響

組織文化も、ケアハラスメント(ケアハラ)の発生に影響を与えます。長時間労働を重視する文化はもちろん、ワークライフバランスに対する認識が欠如した組織では、ケアハラが起きやすくなります。

介護に対する意識の低さと固定観念

介護に対する意識の低さと固定観念は、ケアハラスメント(ケアハラ)につながる原因です。「介護は女性がするもの」「男は働くのが仕事」といった固定観念は、介護に対する意識の低さと相まって、ケアハラに直結する恐れがあります。

業務負担の増加によるストレス

業務負担の増加によるストレスも、ケアハラスメント(ケアハラ)が起こる原因です。介護制度の利用によって、周囲の従業員は業務負担の増加が想定されます。これがストレスとなり、ケアハラを起こしてしまうのです。

ケアハラスメント(ケアハラ)が職場に与える悪影響や問題

次に、ケアハラスメント(ケアハラ)が職場に与える悪影響や問題を見ていきましょう。

【ケアハラスメント(ケアハラ)が職場に与える悪影響や問題】

・従業員の転職や離職につながる
・労働環境が悪化する
・会社のブランドイメージが低下する
・法的責任を問われる恐れがある

詳しく解説します。

従業員の転職や離職につながる

ケアハラスメント(ケアハラ)が起こるような職場では、誰も働きたいとは思いません。ケアハラは、従業員の転職や離職につながります。転職や離職によって、従業員一人あたりの業務量が増加するでしょう。これがストレスとなり、さらに退職者が増える悪循環を招く可能性があります。

労働環境が悪化する

ケアハラスメント(ケアハラ)は、人間関係を悪化させます。これでは、社内コミュニケーションが滞り働きにくい職場になってしまうでしょう。ケアハラによって、労働環境も悪化するのです。

会社のブランドイメージが低下する

ケアハラスメント(ケアハラ)が「SNS」などで取り上げられれば、会社のブランドイメージが低下する恐れがあります。「ケアハラが起こる会社」「ケアハラを放置する会社」といった口コミは、社会的信用の失墜につながりかねないのです。

法的責任を問われる恐れがある

見てきたように、ケアハラスメント(ケアハラ)は職場に様々な悪影響を与えます。「育児・介護休業法」に規定される通り、企業にはケアハラの防止を講ずる義務があります。これを無視しては、行政による指導が入るばかりか、法的責任を問われることになりかねないのです。

ケアハラスメント(ケアハラ)を防ぐ対策

では、ケアハラスメント(ケアハラ)を防ぐ対策を解説しましょう。

【ケアハラスメント(ケアハラ)を防ぐ対策】

・サーベイでハラスメントの問題を明確にする
・法律(介護休業法)の周知を徹底する
・ガイドラインを策定し共有する
・ハラスメント研修を実施する
・ハラスメント相談窓口を設置する

詳しく見ていきます。

サーベイでハラスメントの問題を明確にする

はじめに、サーベイでハラスメントの問題を明確にしますサーベイとは、質問に回答することで、組織の状態を可視化する調査のことです。サーベイによって、自社が抱えるハラスメントの問題を可視化し、方策を立案することがケアハラスメント(ケアハラ)の防止につながります。

実施するサーベイは、「360度評価」をおすすめします。360度評価は、様々な立場の従業員(上司・部下・同僚・他部署の従業員など)が対象となる従業員を評価し、結果をフィードバックするサーベイです。多面的な評価によって、自社が抱えるケアハラの状態を明確にします。

関連記事:360度評価とは?内容や項目~やり方やメリットデメリットを解説

法律(育児・介護休業法)の周知を徹底する

介護に関わる法律(育児・介護休業法)の周知を徹底しましょう。高齢化が進む日本では、今後ますます介護の必要性が高まっていきます。法律を周知することで、介護の必要性に対する理解を深め、介護休暇を取得しやすい環境作りを進めます。啓発ポスターや社内報の活用も、周知の徹底に効果的です。

ガイドラインを策定し共有する

ケアハラスメント(ケアハラ)に対するガイドラインを策定し、共有することが重要です。「ケアハラへの向き合い方」「発覚した場合の対応」など、会社の方針や処分内容を定めたガイドラインを作成し社内で共有します。

ハラスメント研修を実施する

ハラスメント研修の実施は、ケアハラスメント(ケアハラ)に限らず、様々なハラスメントの防止に効果的です。「ケアハラとは何か」「どういった行為がケアハラにあたるのか」、研修を重ねることがケアハラに対する理解を深め、防止につながります

ハラスメント相談窓口を設置する

ハラスメント相談窓口を設置し、ケアハラスメント(ケアハラ)に関する悩みを、気軽に相談できる環境を整えます。設置の際は、プライバシーへの配慮が必須です。社外相談窓口を活用したり、ネット相談窓口を開設したりするのも有効です。

360度評価を実施しケアハラスメントの状態を把握しよう!

ケアハラスメント(ケアハラ)が起こると、人材の流出のみならず、法的責任を問われる可能性があります。ケアハラの防止は、健全な組織の維持にとって解決すべき大きな課題。それには、360度評価」を実施し、ケアハラの状態を把握することが不可欠です。

360度評価は、自社で行うことも不可能ではありません。ただ、「手間・時間・ノウハウ」が必要になるため、自社で行うと思うような結果を得られないケースが多くなってしまいます

360度評価を、外部のプロに依頼すれば費用が発生します。しかし、実施に見合った評価結果を得るには、やはり専門の調査会社に依頼するのがベターといえるでしょう。

リアルワン株式会社は、調査・評価の専門会社です。信頼性の担保された「360度評価システム」で、ケアハラの状態を可視化し、防止に向けたアクションプランの立案・実施をサポートします。

ケアハラを防止し、健全な組織を維持したいとお考えの企業様は、ぜひリアルワンにご相談ください。

>> リアルワンの「360度評価システム」に関するお問い合わせはコチラのフォームをご利用ください。