2021.04.06
シリーズ
Work & Life~それぞれのStory~
COLUMN
従業員満足度調査(ES調査)
YukaさんのStory
外資コンサル会社から大学院進学、渡仏を経て輸入販売業を起業
多様な働き方が進み、ワークライフ(職業人生)における充実度・満足度も人それぞれに違うのが当たり前になりつつある現在。見方を変えれば、モデルケースが定まらない中で、将来への不安を感じる20代・30代も増えているのではないでしょうか。
このシリーズでは、さまざまな職業人生を歩んできた先人たちのリアルなエピソードを「ワークライフチャート」とともに紹介します。つまずきや失敗から何を学び、どのような選択をしてきたのか。キャリアに悩む方々のヒントになれば幸いです。
リアルワン株式会社では、従業員の満足度向上に役立つ「従業員満足度調査(ES調査)」を提供しています。仕事の充実は、人生の豊かさにつながるものです。当社では、さまざまな角度からの提案により、企業と個人の成長を応援します。
今回のゲスト:Yukaさん(46歳・女性)
【現在のお仕事】
・業種:小売業
・職種: フランスワインの輸入販売
Yuka Sélections, Inc.公式HP
・勤務地:東京
・役職: 代表
・勤続年数:1年
【経歴】
・大学卒業後、航空業の人事部に就職
・米国の大手コンサルティング会社に勤務/5年
・大学院へ進学→経営学修士(MBA)取得
・外資系コンサルティング会社に勤務/5年
・フランス在住(4年間)を経て、フランスワインの輸入販売を起業
目次:
1. 【My Work & Lifeチャート】
・転機が訪れるたびにハイポイントといえる経験をしている
・1度目の下降は20代後半。上司のいじめに苦悩するも逆転を狙って退職
・転職を機に充実度が向上した30代。でも、次第にプライベートが削られ悪循環に
・42歳で渡仏。初めて組織に頼らずお客様にサービスを提供
・会社員時代に出会った信頼できる上司や仲間が私の財産
2.職業人生を充実させるために
・自分自身が楽しめれば、輝きの好循環が生まれる
・相手に価値を与えることで、自分の価値も実感できる
・ミレニアル世代へのメッセージ
Work & Lifeチャートから人生を確認してみる
転機が訪れるたびにハイポイントといえる経験をしている
私の職業人生でハイポイントといえるのは4回あります。
1回目は、新卒で入社した会社を辞めて、世界的に有名な米国コンサルティング会社に入社した頃。人事部門でバックヤードの所属でしたが、グローバルな雰囲気の会社で毎日がワクワクしていました。ハイポイントといっても仕事内容ではなく、ブランド企業に所属して、周りの人から一目置かれることに浮かれていただけでしたが(笑)。自分の価値が上がったわけではないのに、勘違いしていた20代です。
2回目は、コンサルティング会社を辞めて大学院修士課程に通っていた2年間です。奨学金だけで生計を立てていたので経済的には人生で一番大変な時期でしたが、2年間限定だと考えると、あまり気になりませんでした。
3回目は、大学院修了後。第一志望だったコンサルティング会社で人事組織のコンサルタントとして働いていた時期です。以前のコンサルティング会社ではバックヤードでしたが、フロントオフィスに転身。一部上場企業の人事制度構築や組織風土・業務行動改革、リーダーシップ開発、企業合併の際の人事制度統合をテーマとしたプロジェクトなどを経験しました。昇進してプロジェクトを任されるなど、充実していた時期です。
4回目は、コンサルティング会社を辞めて渡仏した頃です。フランスの学校でワインの醸造や栽培の勉強をしつつ、ワイナリーツアーの企画や同行、通訳、ワイン買付のコーディネートなどを行いました。
生れてはじめて、組織に頼らず一人でゼロからサービスを提供するという経験をした時期です。お客様の大切な時間を最高の思い出にしたいという想いから必死でサービスを提供して、リピートのお客様もたくさんできました。お客様への説明や会話、時間管理、運転などのすべてに気を配らなくてはならない気力・体力勝負の仕事ではありましたが、大変だと感じたことは一度もありませんでした。そしてこの頃から、「ワイン」「フランス」というテーマで独立したい気持ちが芽生えます。
1度目の下降は20代後半。上司のいじめに苦悩するも逆転を狙って退職
ハイポイントから下降した時期を振り返ると、1回目は初めのコンサルティング会社に勤めていたときで、20代後半のこと。女性だけの職場で、いじめと言ってもいいような理不尽な状況に置かれていました。当時はパワハラという言葉がなかったので、上司2人からいじめを受けているのだと思っていましたが、今考えると「パワハラ」そのもの。
同僚や後輩も「ひどいですね」と個人的にこっそりメールをくれるものの、周りは見て見ぬふり。社内で異動希望を出したことで、さらに上司2名から嫌みを言われ続け、孤島のような状況でした。
仕事そのものもルーティンの繰り返しで興味が持てず、職場の人間関係と仕事への意欲のどちらもどんどん停滞していった時期です。結局1年以上、パワハラは続きました。悔しいと思いましたが、「相手より何倍も優秀な仕事をして見返してやるわ!」という気持ちの方が強く、職業人としての価値を高めようと考え、退職して大学院に進学することにしました。
転職を機に充実度が向上した30代。でも、次第にプライベートが削られ悪循環に
大学院を修了し、第一志望のコンサルティング会社に就職したことで、再び職業人生が充実していきます。希望していた会社だったこともあって、睡眠時間が数時間しかとれないような激務の日々でも、プロジェクトを終えた時は充実感で満たされていました。
振り返れば、自分の限界に追い込まれることで、職業観が確立した時期だったと思います。「仕事で価値を出すことにこだわること」「24時間仕事をしても飽きないほど好きな分野で専門性を持つこと」。この2つの柱が確立していたことに、後で気が付きました。
ですが、30代後半に差し掛かる頃に充実度が下降していきます。昇進してプロジェクトを任されるなどキャリアとしては充実していましたが、多忙で身体が疲れ切ってしまいました。次第にプライベートを削ることが嫌でたまらなくなるという悪循環に。さらに、可愛がってくれた上司や先輩が次々に退職し、周りの人に支えられて仕事が成り立っていたことを痛感するようになりました。
次のステップに進んだ方が良いか悩む日々。外資コンサルティング会社から事業会社の人事部門へ転職して、マネージャー、ディレクターになっていくキャリアは王道パターンだったため、当時はヘッドハンティング会社からお声もかかっていました。でも、どうしてもしっくりこない。将来の自分の姿を描けなかったのです。
コンサル会社では、社会的に意義の高い仕事をしようと背伸びをしていましたが、「社会に役に立つ仕事をしたい!」という漠然とした憧れだけでは乗り越えられない、精神的・体力的な壁を感じるようになりました。そして、以前からやりたかったワインや食の仕事をするために、まずはフランス留学という新たな目標に向かおうと決意し、37歳のときに退職します。
42歳で渡仏。初めて組織に頼らずお客様にサービスを提供
フランス留学の準備を始めるものの、結婚をしたこともあり、いったんは計画を断念します。しかし、あきらめることができず、42歳のときに渡仏。ここから、私の職業人生がまた充実度を増していきます。
すでに40代前半でしたから、帰国したら、もう一度安定した企業で会社員生活を送るということは捨てる覚悟でした。フランスでは、日本から訪れるお客様を満足させることに、ただただ集中。「最高の思い出を与えたい」「フランスで見たこと、経験したことを惜しみなく与えたい」という純粋な気持ちだけで、サービスを提供していました。
ですが、振り返ってみると、こうした向き合い方ができたのは、人事組織コンサルタントとして働いていたときに職業人としての責任感が染みついていたからだと実感しています。ゼロから始めたサービスですが、次第に口コミが広がり仕事が増えていきました。
帰国して、フランスワインの輸入販売で起業したのが46歳のときです。日本でビジネスをした経験もなければ、ワイン業界の友達も少ない。輸入の経験もなければ、物を売る経験も、この業界の商流も知らない。そんな私が輸入販売会社を設立する決意ができたのは、この時のお客様たちとの出会いがあったからです。
会社員時代に出会った信頼できる上司や仲間が私の財産
忘れられない出来事は、コンサルタント時代のこと。自分よりも優秀な方々の中で、身の丈を超えるチャレンジをする日々でしたが、上司と仲間に恵まれたことは何よりの財産です。真剣に部下の成長を考え叱ってくれる上司。プロジェクトがうまくいったときに、心から喜んでくれた先輩や後輩とは、今でも良い関係が続いています。
職業人生を充実させるために
自分自身が楽しめれば、輝きの好循環が生まれる
起業して一人で仕事をしている中で、今一番欲しいと思うのは「仲間」。一人ではできないことばかりです。私は人を巻き込むのが苦手なので全部一人でやろうと思いがちなのですが、仲間が欲しいです。
そして、職業人生で大切にしたいのは「自分が楽しむこと」。ワクワク感がなければモチベーションが続きませんし、楽しんでいる姿は人にも伝わるもの。お互いが輝けるという好循環が生まれると信じています。
今は仲間もいない、まだお客様も少ない、コロナ禍で思うように動けない、心の潤滑油でもあるフランスにも戻れない……という八方塞がりの状況で満足度は低迷しています。ですが、少しずつ自社ワインのファンも増えてきて、ご注文をいただくと満足度が急上昇したりもしますが、まだまだ道半ばなので、充実度アップを目指して邁進していきたいです。
相手に価値を与えることで、自分の価値も実感できる
「好きなことを仕事にする=好きなことだけをする」ではないというのが私からのメッセージです
実は子供の頃から両親に「好きなことと仕事は別々に考えなさい」と日々言われて育ちました。仕事でお金を稼いで、空いた時間で好きなことをすればいい、と。皮肉なことに、それがかえって「好きなことで仕事をしたい」という気持ちを無意識のうちに強くしたのかもしれません。
今、私は自分の好きな分野のことを1日中365日考えていても、誰にも咎められません。とても幸せな立場にいると思います。好きなようにやっていて、羨ましがられることもよくあります。
でも、好きなことばかりをしたい放題やっているわけではありません。仕事で大事なのは、「相手にどんな価値を与えるか」。価値を出した結果が、会社勤めであればお給料となるし、個人事業主や経営者の場合は売上や利益になります。
また、仕入元のワイナリーは生活をかけてワイン造りをしています。取引先の飲食店や小売店様もご商売ですし、ワインを飲んでくださるお客様も、大事な時間やお金を払って購入してくださっています。「自分の得意なことや好きなことができて幸せ……」などという自己満足は通用しません。仕事は、相手に価値を与えることで、自分の価値も実感できることなのだと思います。
そして、「仕事は、本物の人間関係をもたらしてくれるもの」でもあります。
今の仕事の関係者は「輸入元ワイナリー、取引先、お客様」です。私にとっては仕事の相手というよりも「最高の友人」。お友達というとおこがましいかもしれませんが、前職の仲間やフランスで一緒に仕事をした仲間、お客様とは、今も良い関係が続いています。今はコロナ禍で難しいかもしれませんが、「飲みにケーション」も悪くないと思います。私は仕事でかかわる人たちと一生の友人になりたいと本気で思いながら仕事をしています。
ミレニアル世代へのメッセージ
「職業にしてもいいくらい、自分の好きなことに没頭する」。
ずば抜けて目立つことでなくてもいいので、楽しくて仕方ないということがあれば、とことんやってみると人生が豊かになると思います。はじめから職業にしないといけないわけではありません。結果として仕事になれば覚悟を決めて取り組めばいいし、趣味のままでも人生は豊かになるのではないでしょうか。
一つの分野に強くなると、できることはしっかりアピールし、教えてもらえることは素直に受け入れられ、努力するという姿勢がおのずと生まれてくるものです。ちなみにアピールは、マウンティングではありません(笑)。
たとえば私の場合は、輸入しているフランス以外の地域のことは全然わかりませんが、恥ずかしいとも思わないし、見栄を張ることもなくなりました。もちろん、まだまだ勉強が必要ですが、自分の専門分野ではそれなりの時間を使ってきた自負があるからです。
型にはまらず、自分らしい仕事・人生の在り方を考える人が増えてほしいなと思います。
まとめ
転職や渡仏経験を活かしながら、職業人生の充実度を高めてきたYukaさん。「相手に価値を与えることで、自分の価値も実感できる」「仕事は、本物の人間関係をもたらしてくれるもの」という言葉が発せられる背景には、仕事や人とどう向き合うべきかという本質を探してきたYukaさんの姿勢があったようにうかがえます。将来のキャリアに迷う20代・30代にとって、仕事とは何かを考えるヒントになるのではないでしょうか。
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