2020.10.05
シリーズ
女性管理職~それぞれのStory~
COLUMN
360度評価
みきママさんのStory<医院勤務→病院勤務→手術室主任>
日本においても女性が活躍できる職場はどんどん広がり、能力を評価され、女性リーダーとしてキャリアップを実現している方は多数存在します。
その一方で、女性には結婚・出産・育児とライフステージの変化があり、管理職への昇進を手放しで喜べないという声が上がるのも事実です。さらに、2020年のコロナウイルス感染症の影響により、今後は働き方のスタイルが様変わりすることも予想されています。
このシリーズでは、仕事とプライベートとの両立に不安を抱える女性たちに向け、実際に管理職に就いた女性のリアルなエピソードを紹介します。キャリアの選択に悩む女性たちにとって、一歩を踏み出すためのヒントになれば幸いです。
リアルワン株式会社では、マネジメント力の向上に役立つ「360度評価サービス」を提供しています。当社は、女性たちが自分らしい働き方を選択できる社会の実現を目指し、さまざまな角度からの提案を行っています。
今回のゲスト:みきママさん(38歳)
プロフィール:看護学校を卒業したあと、医院に勤務。その後、病院勤務を2年。医院や病院への転職を経て、現職の病院に移り12年。36歳で管理職に昇進。
【現在】
手術室の看護師
【これまでのキャリア】
・看護学校を卒業後、医院に勤務
・病院や医院への転職を繰り返し、現在は看護師150人ほどの病院に勤務
・36歳のときに手術室主任に昇進
【目次】
1. 手術室の看護師として10年。ドクターからの推薦で管理職に昇進
2. 負けず嫌いで人に教えるのは苦手。管理職になって考え方を変えた
3. コロナウイルス感染症の影響で、院内の働き方も変えなければならない
4. 夫と子供たちの支えによって管理職の仕事ができている
5. 管理職になれたら終わりではない。技術を磨いてさらにキャリアアップしたい
6. 女性が多い職場だからこそ、人間性を磨く努力が必要
Story
1. 手術室の看護師として10年。ドクターからの推薦で管理職に昇進
看護学校を卒業後、医院と病院とを何度か転職し、現在の病院に勤めてからは12年が経ちます。手術室の看護師として10年経ったときに、一緒に仕事をしているドクターの推薦で管理職に昇進しました。
主人は私の昇進に対しては理解を示してくれ、また自身も管理職としての苦労を経験しているので、アドバイスをくれました。子供が4人いて、一番下は小学生、一番上が高校生です。子供たちも応援してくれたので、昇進に際して迷うことはありませんでした。もちろん、手術室のスタッフも受け入れてくれました。
管理職になって一番変わったことは責任です。たとえば、スタッフがミスをした場合でも、責任者として私がドクターに頭を下げなくてはなりません。
正直、「どうしてそんなミスをするの?」と思うこともありますが、逆にいえば、ミスが起こり得ることを想定して私がしっかり対処しておくべきということ。自分のことだけでなく、周りを見ることが大事と気づいたのが管理職に就いてからの大きな変化だと思います。
とにかく忙しいという状況になりましたが、給料は変わらず。その点は、割に合わないなと感じています。
2. 負けず嫌いで人に教えるのは苦手。管理職になって考え方を変えた
現在は手術室主任という役職です。手術室には師長がいないので、手術室の管理をすべて任される立場です。具体的には、物品の注文や予定手術の機材準備・片付け、材料作り、手術時のスタッフの手配、新人指導、業者さんの対応など。
管理職になって2年が経ちますが、スタッフはついてきてくれているので、なんとかやれているのかなと思っています。ただ、苦悩したのはスタッフを育てるということ。私は負けず嫌いでライバル意識が人一倍強いほうなので、人に教えることが苦手でした。
でも、管理職になった以上は考え方を変えなければやっていけません。一人ひとりの性格を踏まえながら、やる気がアップするような指導を意識したり、わからないことを聞きやすい環境を作ったりということを心がけています。
たとえば、「そんなこともわからないの?」と返すのではなく、「これはこうだけれど、あなたはどう思う?」というように、スタッフの意見を拾い上げてから教えてあげれば角が立ちません。ちょっとした言葉遣いで相手は怒ったり、やる気をなくしたりするので、話し方はとても重要です。
前任者がいない状態から管理職になったので、形を作り上げるまでには大変な思いをしましたが、ひとつずつ積み上げていきました。
3. コロナウイルス感染症の影響で、院内の働き方も変えなければならない
コロナウイルス感染症の影響で一番大きいのは、患者さんの減少です。院内の会議などはすべて中止、面会も全面禁止になりました。私が担当する手術室のほうも、例年に比べると手術数が減りました。
そのぶん、体が楽になり家族との時間も取れるようになりました。ただ、病院の収入減によるボーナスカットも考えられますし、やはり以前の忙しさを取り戻したいという思いがあります。
勤務体制は変わっていませんが、スタッフの体調管理にはこれまで以上に気を配る必要があるため、少しでも体調が悪いスタッフは手術から外しています。手術室は密室となるので、より注意を払う必要があり、感染予防は欠かさず行っています。
院内の感染予防が強化されたことで、以前よりも窮屈さを感じる職場環境になっているのは否めません。収束後も感染予防は大切なことですが、時間や人手を取られてしまうという課題もあります。今後は仕事の効率化の部分も考えて、対策を講じていく必要が生じているというのが現状です。
4. 夫と子供たちの支えによって管理職の仕事ができている
管理職になってからは、「休みを確保できない」「残業が増えた」「休日でも病院に行かなければならないことがある」「子供の学校行事、習い事の送迎に支障が出る」など、これまでの生活から大きく変化したことが多々あります。
仕事と家庭との両立は、正直なところ、できていません。子供のことがまったくできていない母親だなと感じていますし、家事についても必要最小限のことしかできません。本当に手抜きの状態ですが、主人や子供たちは文句もいわず我慢してくれています。
そればかりか、私が遅くなるときには、子供が夕食を準備してくれたりして助けてくれます。私が管理職として働けるのは、家族に支えられているおかげだと常に感謝しています。
現在は仕事に6割ほどの時間を割いている状態。理想は、仕事・子育て・家族の時間を均等に持てて、自分の時間も確保できることです。
5. 管理職になれたら終わりではない。技術を磨いてさらにキャリアアップしたい
管理職は、人間として成長するためにも貴重な経験を積めるポジションだと思います。ただ、家族のことを考えると、管理職を続けるのがベストかどうかは迷うところもあります。
子供たちがみんな大人になったら、管理職をやってもいいかなと思いますが、そこにこだわりはありません。むしろ、手術室看護師として、まだまだキャリアアップを目指したいというのが本音。
転職して、さらに技術の高い人と一緒に仕事をしてみたいという考えもあります。上には上がいるので、そんな人を追いかけて仕事をしていけたらいいなと。これで終わってしまいたくないですから。
私にはまだまだ競争心が残っているので、その気持ちも大切にしつつ、まずは今の仕事を全力で頑張ろうと思っています。
6. 女性が多い職場だからこそ、人間性を磨く努力が必要
女性の場合、結婚・出産・育児とライフステージを変えるケースが多くなるので、管理職になると家庭を犠牲にしてしまうことは少なからずあります。管理職に就くかどうかの決断では避けては通れないものとして、しっかり考える必要があるのではないでしょうか。
看護師は女性の多い職場ですから、面倒なこともあります。管理職を目指すのであれば、まずは責任をもって仕事をきちんとこなすこと。それができるようになったら、人間性を高める努力が必要だと思います。
よく、上に立つ人は「嫌われるのも仕事」といわれます。でも、仕事ができて、なおかつ部下に寄り添える人間性を養えば、慕われる上司になると私は思います。管理職になるのなら、嫌われるより慕われる上司になるほうがいい。そのほうが難易度は高いですが、だからこそ挑戦すべきだと思っています。
まとめ
管理職という、これまでとは違った立ち位置になって初めて気づくこと、見えることがあります。みきママさんは管理職に就いたことで、自分だけでなく周囲へと視野が広がり、リーダーとしてスタッフとの接し方を模索するなかで自身の成長につなげてきました。
今後さらに能力を磨いてキャリアアップを実現したいという、みきママさん。管理職になれたら終わりではないという姿勢には、職業人生を充実させるヒントもありそうです。
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