社内コミュニケーションを活性化させることは、企業活動全体の活性化に直結する重要な課題です。上司や部下との「タテ」のコミュニケーション。また、同僚との「ヨコ」のコミュニケーション。そして、部署を横断する「ナナメ」のコミュニケーション。この3つのコミュニケーションを通した社員同士の有機的なつながりが、企業活動を円滑にするのです。しかし実際は、7割以上の企業が社内コミューニケーションに課題を感じているという調査報告があります。では、社内コミュニケーションを活性化させるにはどうしたら良いのか。本記事では、社内コミュニケーションを活性化させる方法を、具体的な取り組みと共に解説します。
目次
社内コミュニケーション(社内交流)が不足する理由

社内コミュニケーション(社内交流)が不足する理由とは何か。ここでは調査報告を概観しながら、社内コミュニケーションが不足する理由を解説します。
社内コミュニケーションの現状と課題
社内コミュニケーションとは、職場における情報交換や情報共有のことです。業務連絡はもちろん、日常的な会話や雑談も社内コミュニケーションと言って良いでしょう。仕事には、様々な部署や社員が関わっています。社員同士が良好なコミュニケーションでつながり、お互いの情報やスキルを共有し活用し合うことで価値が生み出されます。しかし実際は、会社のコミュニケーションに課題を感じる企業が多いという調査報告があるのです。
HRproが実施した「社内コミュニケーションに関するアンケート2022結果報告」によると、7割以上の企業が「社内コミュニケーションに課題があると思う」と回答しています。また9割以上が「業務の障害になると思う」と回答し、「障害の内容」については、「迅速な情報共有」や「部門間・事業所間の連携」、そして「部署内のチームビルディング」としています。
さらに、「社内コミュニケーションを阻害している要因」は、「管理職のコミュニケーション力」「組織風土・社風」「対面コミュニケーションの減少」「社員のコミュニケーション力」であり、「最も課題を感じる関係」については、「経営層と社員」「部門間」「部署内の課長とメンバー」「部署内のメンバー同士」としています。まさに、「タテ・ヨコ・ナナメ」のコミュニケーションが機能していないという課題が浮き彫りになっているのです。
なぜ社内コミュニケーションが不足するのか
ではなぜ、社員間のコミュニケーションは不足するのでしょうか。先のアンケート結果から考察すると、次のような理由が見えてきます。
- コミュニケーション力の低下
- 対話の減少
- 部署間や事業所間の縦割り意識
- 話しづらい企業風土
- 会話する場所やきっかけの減少
コミュニケーション力の低下は深刻な問題です。コロナ禍で、リモートワークが進み対話や雑談が減ったこと、そしてコミュニケーションそのものがとりづらい組織の風土や社風といったものが、経営層や上司、社員間そして部署・事業所間の交流を阻害する「壁」になっていることが考えられます。
社内コミュニケーションの必要性

様々な課題が浮かび上がる会社のコミュニケーションですが、ここでは社内コミュニケーションの必要性を、その重要性と効果・メリットの観点から解説していきます。
社内コミュニケーションの重要性
社内コミュニケーションが正しく機能している状態とは、各社員そして各部署が同じ方向性を持ち、業務の状況を共有しながら、価値を生み出すための一体感にあふれている状態のこと。職場内の良好なコミュニケーションは、社員間の相互理解を深め、信頼関係を構築します。良好な関係性は、社員同士や部署間の連携につながり、業務の流れをスムーズにしていくのです。
このように社員のコミュニケーションを活性化させることは、組織内の一体感を高めると共に、企業活動全体の活性化につながる重要なことなのです。
社内コミュニケーションを向上させる効果・メリット
企業にとって極めて重要な職場のコミュニケーションですが、ここでは社内コミュニケーションを向上させることによって得られる「効果・メリット」について解説します。
① 業務効率・生産性の向上
部署内はもちろん、部署間のコミュニケーションが活性化すると、情報共有が進み役割分担も明確になり業務効率が上がります。業務効率の向上は、生産性の向上につながり付加価値を高めるのです。
② 顧客満足度の向上
顧客満足度を向上させるには、ひとつの部門のばかりではなく各部門が有機的に連携し、高い価値を顧客に提供する必要があります。各部門の連携には、社員間のコミュニケーションが必要不可欠。顧客満足度の向上は、社内コミュニケーションの活性化とリンクしているのです。
③ リテンション(人材定着)や人材育成の環境が整う
良好な職場コミュニケーションは、社員同士の信頼関係を深めます。良好な関係性は心理的な安心感を育み、ストレスを軽減させ相談しやすい環境を作ります。リテンション(人材定着)や人材育成にもプラスに働くでしょう。
④ エンゲージメントの向上
エンゲージメントとは、社員の会社に対する思い入れのこと。会社のコミュニケーションの活性化は、組織の一体感を高めると同時に、エンゲージメントを向上させます。エンゲージメントの向上は、社員の自律的かつ主体的な行動を促し、成果を生み出しやすくするのです。
⑤ イノベーションの創出
多様性が尊重される時代です。多様な価値観や人材を受け入れ活かすことがイノベーションの創出には欠かせません。イノベーションは、多様な価値観そして考え方が交流するコミュニケーションの中からこそ生まれるのです。
社内コミュニケーションを改善させる取り組み

大きな効果・メリットがある社内コミュニケーションの活性化ですが、その一方で、多くの課題があるのも事実です。では、社内コミュニケーションを改善させるにはどうしたらよいのか。ここでは、その取り組みについて解説します。
コミュニケーションツールの導入
社内コミュニケーションを改善させる取り組みとしてお勧めしたいのが、コミュニケーションツールの導入です。利用しやすいコミュニケーションツールは、社員同士そして部署間の交流をサポートしてくれます。
「グループウェア」や「ビジネスチャット」、「社内SNS」などは、データのやり取りも含め会社のコミュニケーションを円滑にしてくれます。使用する目的や用途に合わせて選ぶようにしましょう。また、「バーチャルオフィス」や「Web会議システム」などを組み合わせることで、会社のコミュニケーションをより活性化させることが可能です。
コミュニケーションを促進させる施策
コミュニケーション力の低下の対策には、「アサーション」研修がお勧めです。アサーションとは、自分と相手の価値観を尊重しながら、相手を傷つけることなく自分の意見をしっかり伝えるコミュニケーションスキル。上意下達という一方通行のコミュニケーションではなく、お互いの関係性を重視した自他尊重のコミュニケーションです。D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の観点からも、学ぶ意義は大きいといえます。
その他、「1on1ミーティング」や「フリーアドレス制」の導入は、対話の減少を補い会話の場所やきっかけを作ってくれでしょう。また、「社内報」も昔ながらの手法ですが、他部署の動きを知るには効果的です。最近は、冊子や新聞のような形態ばかりではなく、Webマガジンやメルマガ形式など、デジタル化の動きも見られます。テキストと動画の配信を組み合わせる企業もあり、使い方次第では職場コミュニケーションの活性化を大いにサポートしてくれる施策となり得ます。
参考:ビジネスチャットの課題を解説!導入前に知っておきたい問題点と解決策【初心者でも安心】
社内コミュニケーション活性化~企業の取り組み事例

ここで、社内コミュニケーションの活性化に向けた企業の取り組みを、事例をあげながら解説します。
ビジネスチャットの導入/株式会社ディー・エヌ・エー
3,000名以上の全社員に対してビジネスチャットを導入したのは、モバイルゲームの開発・配信をメイン業務とする「株式会社ディー・エヌ・エー」です。株式会社ディー・エヌ・エーでは、各事業部や各部署ごとに個別のツールを使用していました。それを全社的にビジネスチャットの活用へと軌道修正。
これが機能し、事業部や部署の垣根を越えてコミュニケーションが活性化。導入からわずか1年余りで、1日あたり7~8万のメッセージが事業部そして部署を越えてやり取りされるようになりました。事業部や部署という「枠」を越えやり取りできる環境を整えたことで、普段は接することのない社員同士のコミュニケーション機会が大いに増えたそうです。ビジネスチャットの導入が、社内コミュニケーションの活性化につながった好例です。
社内報の導入/株式会社リクルート
社員間のコミュニケーションを促進する施策として「社内報」を導入しているのは、求人広告・人材派遣の最大手「株式会社リクルート」です。株式会社リクルートでは、社員の意識調査や仕事への取り組みなどを紹介する社内報を毎月発行して、社員間の相互理解やコミュニケーションの促進に取り組んでいます。
社内報といえば、情報を発信するだけのものと思われがち。しかし、各部署の紹介や各プロジェクトの紹介、そして社員の紹介など、コンテンツを工夫することで、効果的な会社のコミュニケーション促進ツールとして活用されています。
1on1ミーティングの導入/ヤフー株式会社
ポータルサイトYahoo!JAPANを運営する「ヤフー株式会社」は、1on1ミーティングを週に一回30分間行うことで、組織運営の向上や職場コミュニケーションの円滑化を目指しています。ヤフー株式会社では、1on1ミーティングを「部下のためのミーティング」と位置づけています。
実施するにあたっては、外部の専門家にアドバイスをもらい、1on1ミーティングのカリキュラムを自社に合うように調整。ミーティングスキルもブラッシュアップすることで、社内に浸透させることに成功しています。1on1ミーティングはオンラインでも行われており、約6,000人の社員の活動やコミュニケーションをサポートしています。
社内コミュニケーション活性化対策のポイント

会社のコミュニケーションを改善させる取り組みについて、事例をあげて解説しました。どの取り組みも、社員間コミュニケーションの活性化に向け効果的な施策であるのは間違いありません。だたその底流には、活性化のベースとなる本質的なポイントがあるのです。
社内コミュケーション活性化の本質的なポイントは、「組織風土の改革」にあります。先に紹介した、HRproのアンケート結果報告でも、「社内コミュニケーションを阻害している要因」として、「組織風土・社風」が高い割合を示しています。今こそ、コミュニケーションしやすい風土改革が求められているのです。では、どのようにして組織風土を改革するのか。意識すべきは次の3つです。
- 多様な価値観や違いを認め合う
- お互いの話を傾聴し合う
- 企業と社員のベクトルを合せる
D&Iへの尊重と理解は、必要不可欠となりました。多様性を受け入れ活かしていくことは、事業の発展に欠かせません。それには、お互いの話を傾聴し合う環境を整えることが必要でしょう。そのような環境でこそ、企業のビジョンやパーパスに対する社員の共感が育まれ、目指すべきベクトルの一致があるのです。そこに、改革された組織風土が生まれる。
改革された組織風土の中では、社員のエンゲージメントが向上します。高いエンゲージメントは、社員の自律的かつ主体的な行動となって表れます。そこでは、活発なコミュニケーションが展開されることでしょう。これこそが、社内コミュニケーション活性化対策の本質的なポイントなのです。
エンゲージメント調査で組織の強みや課題を知る

組織風土の改革は、社員のエンゲージメントを向上させ、社内コミュニケーションを活性化させます。社内コミュニケーションの活性化は、企業と社員の信頼関係を深めると共に、社員のモチベーションやリテンション(人材定着)の向上にもつながります。
このように、大きな効果を持つ社内コミュニケーションの活性化ですが、その効果を数値として表せないのが難点。そこでお勧めしたいのが、コミュニケーションの活性化と密接に関わるエンゲージメントの調査です。「エンゲージメント調査」とは、会社や組織のエンゲージメントの状態を測定し数値的に可視化する調査のことです。社員のエンゲージメントの状態を把握できると共に、何がエンゲージメントを高め、何が下げているのか、その要因の特定も可能です。
リアルワン株式会社は、100万人超にご利用いただく調査・評価の専門会社。エンゲージメント調査で、社員ががどのくらい積極的に仕事へ関わろうとしているかを測り、組織がどの程度活性化しているかを明らかにします。アンケートをもとに、「エンゲージメント・スコア」を算出し、組織や社員の状態を把握すると共に、エンゲージメントを向上させるための強みや課題を特定。社員と企業、個人と仕事の結びつきを分析し、効果的な施策やアクションプランを通して、組織と個人が共に成長できる関係性をご提案します。社内コミュニケーションの活性化に直結する社員のエンゲージメント。エンゲージメントの測定には、リアルワンのエンゲージメント調査を、ぜひご活用ください。

