人材獲得競争が激しい昨今。従業員の定着促進を目指す取り組みの一環として、「調査・サーベイ」が注目されています。中でも、従業員と組織の状態をリアルタイムで可視化する「パルスサーベイ」は、豊富なツールが用意され様々な目的で活用されています。
ただツールの種類が多いため、「比較が難しい」といった声があるのも事実です。そこで本記事では、パルスサーベイツールの選び方を考察。比較する際の要点を、料金システムや活用の注意点と共に解説します。
【この記事で得られるパルスサーベイの情報】
・実施する際のポイント
・ツールを比較するポイント
・外部委託の料金システム
・外部委託の費用相場
・ツール活用の注意点
目次
パルスサーベイとは?

パルスサーベイとは、週単位や月単位、あるいは数日単位といった短いスパンで、従業員の意識を測定するアンケート調査です。脈拍(パルス)を測るように、従業員の状態を繰り返し調査(サーベイ)することから「パルスサーベイ」と呼ばれています。その目的は、次の通りです。
【パルスサーベイの目的】
・問題の早期発見
・課題の早期設定と早期改善
・従業員満足度と従業員エンゲージメントの向上
パルスサーベイは、短いスパンで調査を繰り返すため、従業員と組織が抱える問題をリアルタイムに発見できます。問題の早期発見は、課題の早期設定と早期改善につながり、従業員の満足度とエンゲージメントを向上させるのです。
またパルスサーベイは、「状況の検証」「従業員のメンタルヘルスチェック」「組織の環境改善」に効果を発揮します。働く現場で、「従業員と組織の関係性」に対する意識が高まる中、注目を集めている調査がパルスサーベイなのです。
関連記事:パルスサーベイと従業員満足度調査(ES調査)との違い
パルスサーベイが注目される背景

もう少し、パルスサーベイが注目される背景を深掘りしましょう。
【パルスサーベイが注目される背景】
・人材定着の施策が急務である
・他社との差別化が必要である
・調査精度が高まっている
生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)は、減少の一途をたどっています。人材を獲得しにくくなった今、企業にとっては人材定着の施策が急務になっています。その施策として、企業は他社との差別化が必要なのです。それには、従業員と組織の状態をリアルタイムに把握し、改善を繰り返すことでブランド力を高める必要があります。
ここに、短いスパンで調査を繰り返すパルスサーベイがマッチしたのです。テクノロジーの発達によって調査精度が高まり、正確なデータが出せるようになったことも大きな要因でしょう。このような背景があり、今パルスサーベイに注目が集まっているのです。
関連記事:パルスサーベイのメリットデメリット
パルスサーベイを実施する際のポイント

それでは、パルスサーベイを実施する際のポイントを解説します。
【パルスサーベイを実施する際のポイント】
・実施目的を明確にする
・安心して回答できる環境を整備する
・適切な質問項目を設定する
・必ずフィードバックを行う
・専門チームを立ち上げる
・外部委託しパルスサーベイツールを活用する
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
実施目的を明確にする
パルスサーベイが失敗する理由の多くは、実施目的が曖昧なことです。何のためにパルスサーベイを実施するのか、目的を明確にした上で行いましょう。
パルスサーベイ実施後の最終ゴール(目的)、「従業員と組織の“ありたい姿”」を明確にして、全従業員に理解を促し共有することが重要です。
安心して回答できる環境を整備する
パルスサーベイの匿名性については、様々な考え方があります。しかし、やはり匿名で行うのがベターでしょう。理由は、従業員の「本音」を引き出せなければ意味がないからです。
実施する際は、安心して回答できる環境を整備し従業員に納得してもらいましょう。調査結果の閲覧範囲を明確にすることも、匿名性の担保につながります。
適切な質問項目を設定する
パルスサーベイは、頻繁にアンケートを繰り返すため、従業員の負担が大きくなります。負担軽減のため質問項目を精査し、適切な数の質問を設定しましょう。
回数を重ねると、従業員がパルスサーベイに飽きてしまう恐れもあります。こういった懸念を払拭するためにも、適切な質問項目・質問数を設定することが重要です。
必ずフィードバックを行う
パルスサーベイの効果を高めるためにも、必ずフィードバックを行いましょう。アンケートに本音で回答しても、改善につながらなければ意味がありません。
フィードバックをしっかり行うことは、組織の姿勢を示すことであり、従業員との信頼関係の構築につながります。パルスサーベイの実施とフィードバックはワンセットです。必ず行いましょう。
専門チームを立ち上げる
短いスパンで調査を繰り返すパルスサーベイは、実施担当者にとっても大きな負担です。可能であれば、パルスサーベイを実施・運用する専門チームを立ち上げましょう。
調査・サーベイが広がった背景には、テクノロジーの発達があります。しかし、実際に実施・運用するのは担当者なのです。やはり専門チームを立ち上げ、実施・運用していくことがベターといえます。
外部委託しパルスサーベイツールを活用する
実施担当者の負担を軽減し、パルスサーベイをより効果的なものにするには、専門の調査会社に外部委託し、パルスサーベイツールを活用することをおすすめします。
専門の調査会社が提供するツールには、様々なノウハウが詰まっています。人的・時間的負担の軽減、そしてノウハウの問題をクリアするためにも、外部委託がおすすめです。
関連記事:パルスサーベイのやり方
パルスサーベイツールの選び方~比較する際のポイント

では、外部の調査会社が提供するパルスサーベイツールを、どのような視点で選べばよいのでしょうか。ここでは、パルスサーベイツールの選び方、比較する際のポイントを紹介します。
【パルスサーベイツールを比較する際のポイント】
・設問の設計が簡単である
・分析ツールが用意されている
・サポート体制が充実している
・運用コストが効果に見合っている
詳しく解説します。
設問の設計が簡単である
パルスサーベイで効果的な結果を得るには、調査内容の企画・設計が極めて重要です。設問の設計が簡単であることは、負担を大きく軽減します。
調査会社の実績やノウハウに基づいたテンプレートが用意されているなど、「0→1」を作り上げる時間が省けるツールを選びましょう。
分析ツールが用意されている
ユーザーファーストな分析ツールが用意されているパルスサーベイツールを選びましょう。分析のしやすさ、視覚的な見やすさは効果を左右します。また、調査票の配信やレポートの作成サービスは、時間的負担の軽減につながります。
パルスサーベイは短いスパンで行いますが、運用期間は年単位です。比較する際は長期的な視点を持ち、分析ツールとサービス内容を精査する必要があります。
サポート体制が充実している
サポート体制が充実していることも、重要なポイントです。パルスサーベイの目的は、組織ごとに異なります。サポートには、各組織の実情に即した柔軟性が求められます。
外部に委託したものの、「パッケージ調査が中心で、提案やアドバイスが少ない」といった声があるのは事実です。導入準備から実施、フォローまでのサポート体制が整ったツールを選びましょう。
運用コストが効果に見合っている
パルスサーベイツールの、運用コストは大きな問題です。比較の際は、運用コストが効果に見合っているツールを選びます。当然、できるだけ安い方がいいでしょう。
ただし、費用はツールを提供する会社によって様々です。また、コストが安くても実施目的を達成できなければ意味がありません。実施目的を明確にし、料金システムを十分理解した上で比較検討することが重要です。
パルスサーベイツールの費用形態

ここでは、パルスサーベイツールの費用形態を紹介します。導入する際の参考にしてください。【注意】費用形態は、あくまでも相場をつかむための一例です。料金システムの詳細は、提供する会社にご確認ください。
パルスサーベイツールの多くは、次のような費用形態になっています。
【費用形態の考え方】
・「初期費用 + 月額使用料」が一般的
・料金システムは、プランや利用数によって変動するサービスがほとんど
【初期費用】
・「なし」という会社もあるが、内容次第では300,000円を超える会社もあり
【月額使用料】
多くは、次の2パターン
1.利用数の範囲で決める(〇人以内まで、〇人以上〇人以内など):概ね5,000円~50,000円/月
2.従業員1人当たりの単価で決める:1人当たり概ね300円~500円×利用数/月
【トライアル対応】
・「期間限定無料」「無料トライアルあり」といったサービスもあり
会社によっては、利用数の最低ラインを設定している場合もあります。各ツールとも、様々なコースが用意され、費用は提供する会社によって違います。相場は、サービス内容を十分に理解し、いくつかのツールを比較しながらつかむようにしてください。
パルスサーベイを活用する際の注意点

ここでは、パルスサーベイを活用する上での注意点を解説します。
【パルスサーベイを活用する際の注意点】
・従業員満足度調査の導入後に実施する
・「状況の検証」に活用する
詳しく見ていきましょう。
従業員満足度調査の導入後に実施する
パルスサーベイは、従業員満足度調査(ES調査)の導入後に実施する調査と考えます。なぜなら、パルスサーベイだけでは、従業員や組織が内包する「根本的な問題」の洗い出しが難しいからです。
変化が激しい時代です。その変化に対応するため、私たちは日々多くの意思決定を迫られています。それは、時間との戦いであり葛藤の連続です。そのような中でパルスサーベイを行っても、洗い出せるのは表面的な問題でしかないでしょう。
だからこそ、まずは従業員満足度調査を導入して「根本的な問題」を洗い出す。その後に、パルスサーベイを必要に応じてスポット的に実施する。これが最も適切な活用方法だと、本記事を運用するリアルワンは考えています。
「状況の検証」に活用する
パルスサーベイの効果のひとつに「状況の検証」があります。パルスサーベイは、従業員満足度調査を導入した後、その「状況の検証」に活用するのが最も効果的です。
従業員満足度調査で明確になった「根本的な問題」から課題を設定し、課題改善のアクションプランを立案・実行する。その検証にパルスサーベイを活用するのです。こうすることで、アクションプランの成果、そして日々刻々と変化する従業員と組織の状態を明確に捉えることができるのです。
関連記事:パルスサーベイの活用方法
最後に

本文でも触れましたが、人材の獲得が厳しくなり、従業員の定着促進は、組織にとって必須の取り組みになっています。そのような状況の中で、従業員と組織の「今」を可視化する「調査・サーベイ」は、重要性を増していくでしょう。
リアルワン株式会社は、調査・サーベイの専門会社です。第一線の専門家が監修する「従業員満足度調査(ES調査)」で、従業員と組織の「今」を可視化します。調査結果を精査しながら、ご希望があればパルスサーベイにも柔軟に対応します。
調査・サーベイの導入を検討されている担当者の方は、100万人超の利用実績を持つリアルワンにぜひご相談ください。