従業員エクスペリエンスとは?意味・事例・重要性と改善ステップを解説

近年、従業員の体験価値を高める「従業員エクスペリエンス(EX)」が注目されています。働きやすさだけでなく、従業員の体験価値を改善・向上させる取り組みは、離職防止や採用競争力の強化に直結する重要な経営戦略になっています。人的資本経営の一環として取り組めば、企業価値の向上にもつながるでしょう。

本記事では、従業員エクスペリエンスの意味や注目される背景を解説すると共に、向上させるメリットや改善のステップを企業の事例を交えながら紹介します。

【本記事で得られる情報】

・従業員エクスペリエンス(EX)の意味
・従業員エクスペリエンスとエンゲージメントの違い
・従業員エクスペリエンスが注目される背景
・従業員エクスペリエンスを向上させるメリット
・従業員エクスペリエンスを改善するステップ
・従業員エクスペリエンスの向上に取り組む企業の事例

この記事を監修した人
青山 愼
青山 愼

立命館大学経済学部卒業。早稲田大学ビジネススクールでMBAを取得。在学中に、「組織学習」や「個人の知の獲得プロセス」に関する研究を経て、リアルワン株式会社を設立。企業や組織が実施する各種サーベイ(従業員満足度調査・360度評価・エンゲージメントサーベイ等)をサポートする専門家として活動。現在は累計利用者数が100万人を超え、多くの企業や組織の成長に携わる。

従業員エクスペリエンス(EX)とは?

まずは、従業員エクスペリエンスの意味やエンゲージメントとの違いについて見ていきましょう。

従業員エクスペリエンスの意味

従業員エクスペリエンス(EX:Employee Experience)とは、従業員が企業で働く中で経験する(得られる)「全ての体験」のことです。給与や福利厚生といった待遇面だけでなく、日々の業務、職場環境、企業文化、人間関係、そして成長機会など、入社後に得られるあらゆる「側面・接点・感情」を含んだ概念といえます。

従業員が、「この会社で働き続けたい」「自分の価値が発揮できる」と感じられるかどうかが従業員エクスペリエンスの鍵。企業を取り巻く環境変化が激しい昨今、組織の持続的な成長を支えるため、従業員の視点に立った「職場づくり=従業員エクスペリエンスを向上させる取り組み」が求められているのです。

従業員エクスペリエンスとエンゲージメントの違い

従業員エクスペリエンスと混同されがちな概念に「エンゲージメント」があります。ここでは、2つの違いを整理しておきましょう。まずエンゲージメントとは、仕事における「思考面・情緒面・行動面」に対して、従業員が積極的に関与している状態のことです。

一方、従業員エクスペリエンスは、先述の通り従業員が仕事や職場環境で得られる「体験」のこと。つまり、従業員エクスペリエンスは、企業が従業員に提供する体験の「総和」であり、その結果として従業員の内面に生じる反応がエンゲージメントということになります。

関連記事:従業員エンゲージメントとは

従業員エクスペリエンスが注目される背景

なぜ今、従業員エクスペリエンスが注目されているのでしょうか?ここでは、その背景を見ていきましょう。

【従業員エクスペリエンスが注目される背景】

・働き方の多様化
・人材獲得競争の激化
・エンゲージメント向上に対する意識の高まり

3つを詳しく解説します。

働き方の多様化

まずは、働き方が多様化していることです。リモートワークやフレックスタイム制、副業の解禁など、働き方の選択肢は大きく広がっています。従業員にとって、どのような環境で仕事をするのかは、従業員エクスペリエンスを大きく左右します

画一的な制度ばかりでは、従業員の満足度を維持することが難しい時代です。従業員の多様なニーズに応える施策が不可欠になっています。

人材獲得競争の激化

人材獲得競争が激化していることも背景のひとつです。生産年齢人口の減少により、優秀な人材を確保することは年々厳しくなっています。求職者にとっては、給与や福利厚生だけでなく、入社後に得られる体験価値が意思決定の決め手となるケースが少なくありません

従業員エクスペリエンスを向上させることは、人材獲得競争を有利に進める上でも重要な意味を持っているのです。

エンゲージメント向上に対する意識の高まり

もうひとつは、エンゲージメント向上に対する意識の高まりです。エンゲージメントを向上させることで、生産性や定着率、顧客満足度をアップさせる効果が期待できます。ただ、エンゲージメントは自然に高まるものではありません。職場における「体験」が大きく影響します

従業員エクスペリエンスを向上させる取り組みは、従業員のロイヤルティ(忠誠心・愛着心・信頼)を喚起するでしょう。それは、エンゲージメントの向上につながっていくのです。

関連記事:従業員エンゲージメント向上で得られる5つのメリット

従業員エクスペリエンスを向上させるメリット

次に、従業員エクスペリエンスを向上させるメリットを解説します。

【従業員エクスペリエンスを向上させるメリット】

・優秀な人材の定着
・採用につながる
・生産性が向上する
・イノベーションを促進できる
・顧客満足度(CX)の向上につながる

ひとつずつ見ていきましょう。

優秀な人材の定着・採用につながる

優秀な人材の定着・採用につながることは、従業員エクスペリエンスを向上させる大きなメリットです。働きやすさの促進や成長機会の提供は、従業員が「長く働きたい」と感じる要因となるでしょう。

採用市場では、「職場で得られる体験」を重視する人材も増えてきています。今や、魅力的な従業員エクスペリエンスを提供することは、優秀な人材の定着・採用において必須の取り組みといえるのです。

生産性が向上する

企業の生産性が向上することも大きなメリットでしょう。職場環境に満足している従業員は、業務に集中しストレスを抱えにくい傾向があります。その結果、パフォーマンスが安定し生産性が向上するのです。

イノベーションを促進できる

従業員エクスペリエンスが向上することで、イノベーションの推進が期待できます安心して意見を言い合えたり挑戦できたりする職場は、従業員エクスペリエンスが向上し、新しい発想を生み出す土壌となるでしょう。それが、アイデアの創出や意識の変革を促しイノベーションの促進につながるのです。

顧客満足度(CX)の向上につながる

従業員エクスペリエンスの向上は、そのまま顧客満足度(CX:Customer Experience)の向上につながります。従業員エクスペリエンスが向上し、仕事のモチベーションやホスピタリティに対する意識が高まれば、製品やサービスの質が高まり、顧客満足度が向上するのも当然でしょう。

このように、両者は密接に連動しており、従業員エクスペリエンスを向上させることが顧客満足度の向上につながる好循環を生み出します。

従業員エクスペリエンスを改善するステップ

では、従業員エクスペリエンスを改善するには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、そのステップを紹介します。

【従業員エクスペリエンスを改善するステップ】

ステップ1:現状把握~従業員エクスペリエンスの測定方法
ステップ2:課題の特定
ステップ3:施策立案と優先順位づけ
ステップ4:施策の実行と効果検証
ステップ5:継続的な改善

ステップごとに詳しく解説します。

ステップ1:現状把握~従業員エクスペリエンスの測定方法

まずは、現状を把握することです。現状認識が正しくなければ、課題を特定することができません。改善への第一歩として、従業員エクスペリエンスを測定し、組織の現状を把握します。尚、従業員エクスペリエンスを測定するには「エンゲージメントサーベイ」や「パルスサーベイ」が効果的です。

※「エンゲージメントサーベイ」と「パルスサーベイ」の詳細については、以下の記事をご覧ください。
関連記事1:エンゲージメントサーベイとは
関連記事2:パルスサーベイとは

ステップ2:課題の特定

次に、従業員エクスペリエンスを提供するにあたって「ボトルネック・障害・足かせ」になっている課題を特定します。「コミュニケーション不足」「キャリア形成の機会が少ない」「評価基準が不明確」など、課題を具体的に特定しましょう。

ステップ3:施策立案と優先順位づけ

課題が特定できたら、改善に向けた施策立案と優先順位づけを行います。施策としては、「研修制度の充実」「評価制度の見直し」「柔軟な働き方の導入」などがあげられます。ただ、施策の全てを一度に進めるのは難しいのが実情です。組織の状況を鑑みながら優先順位をつけ、順位の高い施策から取り組むようにします。

ステップ4:施策の実行と効果検証

いよいよ、施策の実行です。注意しなければならないのは、施策は「実行したら終わり」ではないということ。「どのような効果を生んだのか」「従業員にどう受け止められたのか」、サーベイや1on1ミーティングなどを通して効果検証を行い、必要に応じて施策を修正することが重要です。

ステップ5:継続的な改善

従業員エクスペリエンスの改善で不可欠になるのは、継続的な改善に取り組む意識です。働き方や従業員の価値観は常に変化しています。「施策の立案→実行→効果検証→修正→新たな施策の立案」のサイクルを回し、改善を継続させることが組織の持続的な成長につながります。

従業員エクスペリエンスの向上に取り組む企業の事例

ここで、従業員エクスペリエンスの向上に取り組む企業の事例を紹介しましょう。

スターバックスコーヒー

スターバックスコーヒーは、従業員を「パートナー」と呼び、人材を企業文化の中心に据え、従業員エクスペリエンスの向上に取り組んでいます。主な施策は、「柔軟なシフト制度の導入」や「教育プログラムの強化」、「福利厚生の充実化」などです。

特に、バリスタの育成には力が入っており、きめ細かな「キャリアアップ支援制度」が整備されています。従業員の声を反映する仕組みも構築されており、人材中心の組織活性化策が進められています。

パーソルホールディングス

パーソルホールディングスは、「はたらくWell-being創造カンパニー」を掲げ、人的資本経営の中で従業員エクスペリエンスを向上させています。「キャリアチャレンジ制度」では、従業員の主体的なキャリア形成を支援。従業員が自ら、異動希望先に応募できる仕組みを提供しています。

加えて、従業員エクスペリエンスの可視化にも積極的。エンゲージメントサーベイを活用し、課題の把握と改善を繰り返しながら人材力と組織力の強化に努めています

関連記事:人的資本投資とは?指標・KPI設定から効果・実践企業の具体例まで解説

メルカリ

メルカリは、「最高のプロダクト体験を実現するために、最高の従業員体験を提供する」という理念のもと、従業員エクスペリエンスの向上を推進しています。代表的な施策は、「オープンドア制度」。従業員が自由に意見を述べられる仕組みを作り心理的安全性を高めています。

また、社内ポータルサイト「メルポータル」の導入や、従来バラバラだった「申請・承認プロセスを統合」するなど、デジタルワークフローを最適化し業務効率化にも取り組んでいます。こういった施策により、従業員のストレスが軽減。従業員エクスペリエンスの向上と共に、生産性を高めることに成功しています。

最後に

従業員エクスペリエンスを向上させる第一歩は、組織の現状を把握することです。まずは、従業員エクスペリエンスを測定することから始めましょう。測定方法は、本文で述べた通り「エンゲージメントサーベイ」や「パルスサーベイ」が効果的です。

リアルワン株式会社は、調査・評価の専門会社です。第一線の専門家が監修する「エンゲージメントサーベイ」で、従業員と組織の現状を可視化します。さらに、エンゲージメントサーベイで深まった現状認識から課題を特定し、改善施策の立案・実施・効果検証をサポート。ご希望により、パルスサーベイにも柔軟に対応しています。

従業員と組織の現状を把握し、従業員エクスペリエンスを「改善したい」「向上させたい」とお考えの企業様は、100万人超の利用実績を持つリアルワンにぜひご相談ください。

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