昨今、人的資本経営の意識の高まりを受け、エンゲージメントの概念が注目を集めています。
その背景には、上場会社が作成する有価証券報告書における人的資本の情報開示の義務づけがあります。情報開示が望まれる7分野の1つとして「エンゲージメント」が含まれているからです。
人事担当者の中には、エンゲージメントを測定・可視化するエンゲージメントサーベイの実施方法について、調査を進めている方も多いのではないでしょうか。
エンゲージメントサーベイは、自社で準備して実施する方法や専門機関へ外部委託する方法があります。また、折衷案としてサービス提供会社からサポートを受けつつツールを使用するという選択肢もあるでしょう。
この記事では、エンゲージメントサーベイの調査項目や検討ポイント等をイメージしていただくため、リアルワンが提供している無料テンプレートをご紹介します。
また、それぞれの実施方法のメリットやデメリットを踏まえて、有料で外部委託するメリットを深掘りして解説します。
【本記事で得られる情報】
・エンゲージメントサーベイの概要
・リアルワンの無料版テンプレート
・エンゲージメントサーベイを実施する方法
・エンゲージメントサーベイを有料で外部委託するメリット
目次
エンゲージメントサーベイとは
エンゲージメントサーベイとは、従業員のエンゲージメント、つまり「1.思考面、2.情緒面、3.行動面 の3つの側面において、自己が仕事に対し積極的に関与している状態」を評価するための調査です。
エンゲージメントの高い従業員は、「頭も、心も、体も」、仕事に対して積極的(ポジティブ)に関わり、仕事で高い成果やパフォーマンスを上げるとともに、周囲に良い影響を与えるなど、企業や組織に大きく貢献します。
2023年3月期以降の上場会社では、有価証券報告書における非財務情報の開示項目が増加し、「エンゲージメント」も開示が望ましい分野に位置づけられました。
すでに一部の先進的な企業では、自社のエンゲージメントの取り組み内容とともに、エンゲージメントスコアまで開示する事例が出始めています。
また、上場企業に限らず、労働人口の減少に伴う人材確保のため、人的資本経営に注力する企業も増えています。形式的な理由ではなく、従業員のエンゲージメントを可視化し、向上のための施策に取り組む企業は増加傾向にあります。
無料版テンプレートのご紹介
このような背景から、エンゲージメントサーベイの実施を検討している人事担当者が増えており、リアルワンにも多くの問い合わせをいただいています。
しかしながら、大半の企業ではエンゲージメントサーベイの実施経験がなく、「自社で対応するべきか、外部委託が妥当なのか判断が難しい」というお悩みの声も多く寄せられています。
そうしたお客様のお困りごとに応えるため、リアルワンでは無料版のテンプレートをご用意しています。テンプレートには調査方法や注意事項、標準的な質問項目が記載されており、エンゲージメントサーベイの実施にあたり、検討すべきポイントをイメージしやすい内容になっています。
無料版テンプレートを入手されたい方は、以下「テンプレートダウンロードフォーム」をご利用ください。
>>リアルワンのエンゲージメント調査/テンプレートはコチラから
エンゲージメントサーベイを実施する3つの方法
次に、エンゲージエントサーベイを実施する3つの方法をご紹介します。
自社で準備して実施する
自社で質問項目を設計し、アンケート配布を行い、データの収集と分析まで実施するパターンです。
アンケートの配布と回収は紙で行うこともできます。また、現在では「Google フォーム」や「Microsoft Forms」など、情報系クラウドサービスのアカウントを有していれば無料でアンケートフォームが作成できる仕組みもあります。
紙の紛失防止やデータ集計作業の利便性を勘案すると、こうしたデジタルツールを活用することが望ましいでしょう。
自社で実施するメリットは、キャッシュ的なコストがほぼ発生しないことです。
一方、実施にあたって人的リソースが必要になります。また、データの分析には専門的な知見も欠かせません。せっかく収集したデータも、分析や見方に誤りがあると、その後の施策立案に悪影響を及ぼすからです。
さらに、外部の客観的な視点が入らないことで、社内の認識の偏りやバイアスが払しょくできず、組織の課題が見過ごされてしまう懸念もあります。
エンゲージメントサーベイを実施する際のポイントや具体的な流れは、以下の記事でも解説していますので、ご覧ください。
関連記事:エンゲージメントサーベイ(エンゲージメント調査)とは
外部の調査会社へ委託する
外部の調査会社のコンサルタントに委託するパターンです。自社でエンゲージメントサーベイの目的や範囲、予算などを決定し、その後、調査会社と委託契約を締結します。
実施にあたっては調査会社が開発したツールを用いるのが一般的です。
また、外部コンサルタントの作業範囲は、質問項目の設計やデータ収集および分析、報告書の作成までが含まれます。さらに、必要に応じて経営層や人事部門へ結果報告会を実施する場合もあります。
外部へ委託するメリットは、専門家の知見やノウハウを活用できることです。また、進捗管理や分析業務、報告書の作成はコンサルタントがメインで行うため、社内への負荷を最小化できます。
データは調査会社のツールに蓄積されるため、報告書にまとめられた内容と異なる項目や粒度での集計も可能です。
デメリットとしては、コストがかかることが挙げられます。また、コンサルタントはエンゲージメントサーベイ全般には詳しくても、その企業固有の課題や業界特有の商慣習などの深い知識を持ち合わせていない場合もあります。
課題を的確に把握でき、自社の業界にも精通しているコンサルタントの起用は、サーベイを成功に導くポイントの1つです。
コンサルなどの外部専門家に委託するメリットは、以下の記事でも解説していますので、ご覧ください。
関連記事:エンゲージメントサーベイにコンサルを起用すべき理由
エンゲージメントサーベイのツールを使用する
エンゲージメントサーベイを実施できるサービスを利用して、自社でアンケートの実施や分析などを行うパターンです。
専門家の監修に基づいて開発されたツールを選ぶことで、人的資本の情報開示に沿った調査を行うことができます。
多くのツールはアンケートの質問項目をカスタマイズできます。また、その後のデータ収集や分析作業など、一連の工程をツール上で完結することも可能です。
メリットは、外部委託する場合よりもコストを抑えられることです。また、質問項目の変更など、社内で柔軟に対応できる利点もあります。
さらに契約の内容にもよりますが、ツールの操作方法や分析にあたって、専門家のサポートが受けられます。
デメリットとしては、ツールの操作方法やデータの分析には習熟が必要なため、社内に相応の負荷が生じます。
ツールによってはカスタマイズや使用できる機能に制限がかかっている場合もありますので、事前にサービスベンダーへの確認が重要になります。
有料で外部委託する4つのメリット
小規模の企業の場合には、無料版のテンプレートを活用して対応することも不可能ではありません。
ただし、一定規模の企業の場合には、費用を投じて外部委託するメリットが大きいでしょう。そのメリットは以下4点です。
適切な質問項目を設計できる
無料版のテンプレートの質問項目は、標準的な内容にとどまります。
例えば、自社の抱える課題について一定の仮説があり、それをエンゲージメントサーベイで検証したい場合は、外部コンサルタントと入念に相談して取り組むべきです。
なぜなら、課題を明確にするための質問項目の設計には、実績に基づくノウハウが重要になるからです。外部コンサルタントには過去の失敗事例を含めたノウハウが数多く蓄積されています。
また、質問項目をカスタマイズするためにもコンサルタントの知見が役に立ちます。適度なボリュームの質問数にすることや、一読して解釈できる記述にするなど、質問項目の設計には最新の注意が必要になるからです。
高度なデータの分析ができる
適切な分析を行うには、その会社や組織に関する知識だけではなく、会社が所属する業種・業態や労働者を取り巻く社会全体など、外部環境に関する知識も欠かせません。
また、自社で分析をする場合、情報の偏りや「自社は他社に比べて優れているはずだ」といった認知バイアスが働く懸念があります。
課題を抱えている会社や組織こそ、外部専門家の客観的な視点に基づく分析が必要です。
高品質な結果報告書が得られる
調査結果の報告書は、経営層や人事部門だけでなく、可能なかぎり従業員にも開示することが求められます。課題を従業員と共有することで、より効果的な改善施策の立案やアクションプランの策定に結びつくからです。
また、報告書は部署や事業所単位など、さまざまな切り口や粒度での作成が必要になるケースがあります。
社内リソースではマンパワー不足から、こうした細かな単位のレポート作成は対応が難しい場合もあります。外部コンサルタントを起用することで、こうしたケースにも柔軟に対応できます。
施策立案やアクションプラン策定のサポートを受けられる
無料版のテンプレートやツールの利用のみの場合は、分析結果を踏まえた課題解決の施策の立案やアクションプランの策定は、自社で行うことになります。
組織改善の主体となるのは現場の管理職ですが、多くの企業では、組織改善の取り組み経験がない管理職が大半です。まずは課題改善に向けた方法論や進め方を学ぶ必要があります。
こうした施策の立案を自社で推進することは容易ではありません。多くの企業が陥る「エンゲージメントサーベイを実施したものの具体的な施策につながらなかった」という失敗の多くは、専門家のサポートの不在が一因でもあります。
エンゲージメントサーベイの結果を活かすためには、専門家の手厚いサポートが欠かせません。
エンゲージメントサーベイの結果の活用については、以下の記事でも詳しく解説していますのでご覧ください。
関連記事:エンゲージメントサーベイの結果をどう活かすか。評価・見方も解説
まとめ。外部専門家の活用がエンゲージメント向上の秘訣
人的資本経営の意識が高まる中、エンゲージメントの重要性が広く認識されるようになりました。同時に人事担当者などのお客様から、エンゲージメントサーベイに関するご相談をいただく機会が増えています。
そうしたお客様のお困りごとに対応すべく、この記事では、リアルワンが提供しているエンゲージメントサーベイの無料テンプレートをご紹介しました。
かけられる予算や人的リソースなど、お客様企業の状況によりますが、従業員のエンゲージメント向上のためには、外部専門家を適宜活用することが成功の鍵となります。
最後に、リアルワン株式会社は、調査・評価の専門会社です。信頼性の担保された「エンゲージメント調査」で従業員の成長と組織の活性化をサポートします。「組織の今を可視化したい」とお考えの方は、ぜひリアルワン株式会社のエンゲージメント調査をご活用ください。