シリーズ|働く人の仕事と職場に関する意識調査2026
2026年7月に実施した「働く人の仕事と職場に関する意識調査2026」では、従業員満足度の前向きな回答率(肯定回答の割合)は42.9%、エンゲージメント37.3%、組織への愛着33.0%でした。
3指標はいずれも働く人と仕事・組織の関係を捉えますが、見ている対象は同じではありません。
本記事では、全体結果を起点に、3指標の意味、エンゲージメントの構成、主要13業種の傾向、リアルワンの全国基準値の考え方、そして経営・人事が自組織で次に確認すべきポイントを解説します。
● 従業員満足度42.9%、エンゲージメント37.3%、組織への愛着33.0%。いずれも前向きな回答は5割未満。
● エンゲージメントを構成する行動38.7%、思考38.4%、情動35.0%も、いずれも4割未満。
● 主要13業種には一定の開きがあるものの、回答者個人のばらつきまで含めると、業種差の大きさは限定的。

2026年の「現在地」

今回の調査でまず押さえておきたいのは、3つの中核指標の全体結果です。
- 従業員満足度:42.9%
- エンゲージメント:37.3%
- 組織への愛着:33.0%
3指標はいずれも5割を下回り、エンゲージメントと組織への愛着は3割台でした。
今回の調査では、仕事や組織について前向きに捉える回答は、全体として多数派にはなっていません。
一方、3指標は測っている内容や回答尺度が異なるため、数値を単純に高低で比べるものではありません。それぞれが何を表しているのかを理解し、自組織ではどこに特徴があるのかを見ることが大切です。
3指標は何を捉えているのか

従業員満足度は、今の仕事やこの会社・組織で働くことに対する全体的な満足・好意を捉える指標です。
リアルワンでは、組織の現在地を広く把握するための土台となる指標として位置づけています。
エンゲージメントは、単に仕事が好きかどうかではなく、仕事に対してどの程度、行動・思考・気持ちを向けて積極的に関わっているかを捉えます。
組織コミットメントは、働く人と組織との心理的な結びつきを捉える概念です。本調査では、このうち「情緒的コミットメント」を測定しています。これは、組織への愛着や一体感を捉えるものです。本コラムでは、経営層や人事担当者にも分かりやすいよう、以降は「組織への愛着」と表記します。
| 従業員満足度 | 仕事や会社・組織への全体的な満足・好意 |
| エンゲージメント | 仕事への積極的な関わり |
| 組織コミットメント(組織への愛着) | 組織との心理的な結びつき(本調査では情緒的コミットメントを測定) |
エンゲージメントを3つに分けると、仕事への関わり方が見えやすくなる

2026年調査では、エンゲージメントを行動エンゲージメント、思考エンゲージメント、情動エンゲージメント(気持ちの面)の3つに分けて確認しました。
「よくある」「ほぼいつもある」と回答した割合は、行動エンゲージメント38.7%、思考エンゲージメント38.4%、情動エンゲージメント35.0%でした。3つとも4割未満で、仕事への関わりを行動・思考・気持ちのどの面から見ても、前向きな回答は半数に届いていません。

| 行動エンゲージメント | 仕事の質を高め、良い仕事につながる行動を実行し、期待以上の成果を出そうと取り組む程度 |
| 思考エンゲージメント | 仕事に没頭し、自ら掘り下げ、より良いやり方を突き詰めて考える程度 |
| 情動エンゲージメント(気持ちの面) | 仕事に熱中し、生き生きとした気分や面白さを感じる程度 |
3つの数値に大きな開きはありませんでした。一方、自組織の調査では、3つのバランスに特徴が出ることがあります。総合値だけでなく構成を分けて見ることで、「行動に移せているか」「仕事を深く考えられているか」「面白さや生き生き感を持てているか」を分けて捉え、対話の焦点を具体化しやすくなります。
主要13業種では一定の開き。ただし、業種だけで組織の状態は説明できない

回答者数が150名以上となった主要13業種について3指標を比較すると、業種ごとに一定の開きが見られました。
従業員満足度は「教育、学習支援業」の53.1%が最も高く、「卸売業、小売業」の39.1%が最も低く、14.0ポイント差でした。エンゲージメントは「教育、学習支援業」44.1%と「金融業、保険業」34.0%の間に10.1ポイント差、組織への愛着は「教育、学習支援業」38.1%と「運輸業、郵便業」29.9%の間に8.2ポイント差がありました。
● 従業員満足度:教育、学習支援業 53.1% ↔ 卸売業、小売業 39.1%(14.0pt差)
● エンゲージメント:教育、学習支援業 44.1% ↔ 金融業、保険業 34.0%(10.1pt差)
● 組織への愛着:教育、学習支援業 38.1% ↔ 運輸業、郵便業 29.9%(8.2pt差)
本調査回答者の範囲では「教育、学習支援業」が3指標で相対的に高い結果でした。ただし、業種別の数値をそのままランキングとして読むのは適切ではありません。
回答者一人ひとりのばらつきまで含めて統計的に見ると、業種による違いの大きさは限定的でした。同じ業種でも、事業内容、職種構成、管理職の関わり、仕事の設計、組織文化などは異なります。
<主要13業種>
| 業種(n) | 従業員満足度 | エンゲージメント | 組織への愛着 |
|---|---|---|---|
| 建設業(n=234) | 45.0% | 38.8% | 35.2% |
| 製造業(n=637) | 41.5% | 34.1% | 32.5% |
| 情報通信業(n=488) | 45.1% | 37.8% | 32.0% |
| 運輸業・郵便業(n=318) | 40.3% | 36.1% | 29.9% |
| 卸売業・小売業(n=533) | 39.1% | 34.8% | 30.9% |
| 金融業・保険業(n=437) | 41.4% | 34.0% | 32.5% |
| 不動産業・物品賃貸業(n=173) | 43.4% | 38.7% | 32.4% |
| 宿泊業・飲食サービス業(n=232) | 44.0% | 40.7% | 34.9% |
| 生活関連サービス業・娯楽業(n=186) | 43.2% | 41.0% | 35.5% |
| 教育・学習支援業(n=224) | 53.1% | 44.1% | 38.1% |
| 医療・福祉(n=537) | 43.3% | 38.1% | 32.7% |
| サービス業(他に分類されないもの)(n=235) | 44.5% | 41.9% | 33.9% |
| 公務(n=429) | 41.9% | 35.9% | 33.4% |
※本調査回答者における2026年の業種別傾向であり、業界の優劣を示すものではありません。
リアルワンの全国調査と「全国基準値」

リアルワンでは、2006年の創業以降、働く人の仕事や職場に関する全国調査を継続してきました。調査サービスでは、こうした調査から得たデータを「全国基準値」として提供しています。自社の結果を単独で見るのではなく、全国の幅広い就業者の回答をもとにした基準値と照らすことで、現在地を相対的に捉えやすくなります。
全国基準値は、合否を判定するための線ではありません。自組織の結果が基準値と比べてどこに特徴があるのかを見つけ、その背景を考えるための基準点として活用します。
今回の2026年調査も、今後の全国基準値の更新や継続比較に活用します。今後も定期的に全国調査を実施し、働く人や職場の変化を継続して捉えていく予定です。
リアルワンの全国基準値は、全国の幅広い就業者を対象に、業種・企業規模等を考慮して実施した調査から作成しています。世の中の実勢を考えるための参考基準として活用できます。
自社の結果と直接比較する際は、原則として同じ設問・回答尺度・集計方法で測定する必要があります。自社独自の設問や他社サービスで測定した数値は、設問内容や尺度が異なるため単純には比較できません。
なお、人口構成を完全にウェイト補正した母集団推計値としての「全国平均」とは異なります。
経営・人事への示唆|このデータをどう使うか

まず、何を知りたいのかを決め、指標を選ぶ
調査では、まず「何を知りたいのか」を決めます。組織の現在地を広く捉えたいなら従業員満足度、仕事への関わりを詳しく見たいならエンゲージメント、組織との心理的なつながりまで把握したいなら組織コミットメント、というように目的に応じて中核指標を選びます。必要に応じて複数の指標を組み合わせます。
全社平均の内側を、部署・職種・役職で確かめる
全社平均は、組織全体の現在地をつかむために必要です。ただし、平均値だけでは、どこで何が起きているのかまでは分かりません。部署、職種、役職、雇用形態などに分けて見ることで、全体平均では見えにくい特徴を捉えやすくなります。
結果の背景を、仕事や組織の状態から探る
従業員満足度やエンゲージメントが高い・低いという結果だけでは、何をすべきかまでは分かりません。仕事内容、組織、職場仲間、待遇・処遇など、会社・組織についての側面を確認し、結果の背景について仮説を立てます。たとえば、仕事の意義、能力の活用、自律性、フィードバック、評価の納得性、心理的安全性などが確認の手掛かりになります。
数字を、現場との対話につなげる
調査結果は、それだけで施策の答えになるものではありません。現場の実感やこれまでの施策と照らし合わせ、数字の背景に何があるのかを確かめながら、次に何を試すかを考えます。
全国調査を自社のサーベイに生かすための5つの確認ポイント

| 【ポイント1】調査で何を知りたいかが明確か | 満足度、エンゲージメント、組織コミットメントのうち、目的に合う中核指標を選びます。 |
| 【ポイント2】全体結果の内側に属性差がないか | 部署・職種・役職など、仕事や立場の違いによって特徴が隠れていないかを確認します。 |
| 【ポイント3】エンゲージメントの3つに特徴はないか | 行動・思考・情動エンゲージメントを分け、仕事への関わり方のどこに特徴があるかを見ます。 |
| 【ポイント4】背景となる仕事・組織の状態を見ているか | 仕事内容、組織、職場仲間、待遇・処遇などの側面から、結果の背景を探ります。 |
| 【ポイント5】数字を現場の対話と施策につなげているか | 現場の声や既存施策と照らし合わせ、次に何を試すかを考えます。 |
まとめ|全国調査を継続し、働く人と職場の変化を捉える

2026年調査では、従業員満足度42.9%、エンゲージメント37.3%、組織への愛着33.0%という結果でした。重要なのは、数字だけで良し悪しを判断するのではなく、調査目的に合った指標を選び、必要に応じて属性や背景となる側面まで読み解くことです。
リアルワンは2006年以降、全国調査を継続し、そのデータを調査サービスの全国基準値として活用してきました。今後も定期的に調査を実施し、働く人と職場の変化を捉えながら基準値を更新していきます。経営・人事担当者はもちろん、コンサルタントや士業、研究・教育関係者、メディアの方にも、日本の働く人や職場を考えるための基礎資料として活用いただける調査を目指します。
● 全国調査レポート:本調査の詳細データや関連分析を掲載
● 関連記事:「エンゲージメントは職種でどのくらい違う?」 / 「従業員満足度・エンゲージメント・組織への愛着に共通する3つの仕事経験とは?」
● ご相談:従業員満足度調査・エンゲージメント調査、結果の読み解き・活用支援
よくある質問

従業員満足度・エンゲージメント・組織コミットメントは、すべて測るべきですか?
必ずしも3つすべてを測る必要はありません。
まず、調査で何を知りたいのかを明確にし、目的に合う中核指標を選びます。仕事への関わりや組織とのつながりまで立体的に把握したい場合は、複数の指標を組み合わせる方法が有効です。
組織コミットメントと「組織への愛着」は同じですか?
組織コミットメントは、働く人と組織との心理的な結びつきを捉える概念です。
本調査では、そのうち組織への愛着や一体感を捉える情緒的コミットメントを測定しており、本コラムでは分かりやすく「組織への愛着」と表記しています。
業種別の数字は、自社の目標値として使えますか?
業種別データは、自社の現在地を考える参考にはなりますが、そのまま目標値にするものではありません。
同じ業種でも事業内容や職種構成、仕事の設計、組織文化などは異なります。また、全国基準値と直接比較する場合は、原則として同じ設問・回答尺度・集計方法で測定する必要があります。
全国基準値は、全国平均と同じ意味ですか?
同じ意味ではありません。
リアルワンの全国基準値は、全国の幅広い就業者を対象とした調査から作成する比較用の基準です。自組織の結果を相対的に捉える参考として活用します。日本の就業者人口構成を完全にウェイト補正した母集団推計値としての「全国平均」とは異なります。
調査概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査名 | 働く人の仕事と職場に関する意識調査2026 |
| 調査対象 | 全国の18~59歳の就業者。正社員・正規職員、契約社員・嘱託社員・準社員、派遣社員。従業員数不明、勤続35年以上、経営者・役員等は対象外。 |
| 調査方法 | インターネット調査 |
| 実査期間 | 2026年7月3日~7月9日 |
| 回収数/分析対象 | 6,000名/4,879名(回答品質基準にもとづき1,121名を除外) |
| 本記事の分析 | 3指標の全体結果、エンゲージメントを構成する3指標、回答者150名以上の主要13業種を分析 |
| 調査企画・分析 | リアルワン株式会社 |
監修:青山 愼(リアルワン株式会社 代表取締役)
調査企画・分析:リアルワン株式会社

