社会が多様化する中で、働くことに対する意識も変化しています。多様な働き方が広がる一方で、人材獲得競争は激しさを増し、働く従業員の定着に向けた取り組みは待ったなしの状況です。今その一環として、“部下が上司を評価”する新しい施策が注目されています。
とはいえ、部下が上司を評価する際のコメントに悩む従業員は少なくないでしょう。そこで本記事では、コメントの例文を紹介。「営業職・技術職・事務職」の部下が上司に「期待すること」のコメント例文を、3回にわたって紹介します。第1回目の今回は「営業職」のコメント例文を、部下が上司を評価する施策と共に解説します。
▼本記事で得られる情報
・部下が上司を評価する手法や機会について
・営業職の部下が上司を評価する際の注意点とポイント
・営業職の部下が上司に「期待すること」のコメント例文
目次
部下が上司を評価するには?
組織における評価は、上司が部下に対して行うのが一般的です。しかし、“部下が上司を評価”することでより公平かつ客観的な評価を実現し、人材の成長や組織の活性化を目指す新たな取り組みが注目されています。
では“部下が上司を評価する”には、どのような施策があるのでしょうか。
【部下が上司を評価する手法・機会】
・社内アンケート
・コミュケーションツール
・1on1ミーティング
・360度評価
ここでは、“部下が上司を評価する”手法や機会について解説します。
社内アンケート
自己評価と他者評価とのギャップを認識するには、「社内アンケート」が効果的です。部下が上司に感じている期待することや、改善点・不満を書いてもらうことで、自分の課題が明確になるでしょう。ただし、アンケートに正直に答えられるように、従業員の心理的安全性を作ることが重要です。
関連記事:心理的安全性の作り方
コミュケーションツール
コロナ禍を経て、コミュニケーションの取り方も多様化しています。チャットやアプリといった「コミュニケーションツール」を活用し、上司に対する意見を集めるのもひとつの方法です。特に、話すことが苦手な従業員にとっては有効な手段といえるでしょう。
1on1ミーティング
1on1ミーティングとは、部下と上司が定期的に行うミーティングのことです。上司は部下の意見に耳を傾けることで、新たな気づきを得る機会となるでしょう。また部下にとっても、上司のことをより深く理解するよい機会となります。
360度評価
360度評価とは、立場に関わらず従業員同士がお互いを評価しあう新しい人事評価の手法です。複数の従業員が多面的な視点で評価を行うため、「多面評価」とも呼ばれています。対象者の行動や職務遂行能力を、様々な立場の従業員が評価し結果をフィードバックすることで、多くの気づきと改善に向けた行動変容を促すのです。
関連記事:360度評価とは?導入する目的やメリット・デメリット、項目を解説
営業職の部下が上司にコメントする際の注意点
それでは、今回のテーマである「営業職」の部下が上司にコメントする際の注意点を解説します。営業職は数字として実績が可視化されるため、上司に対するコメントがしやすい職種といえます。
ただし、数字だけにとらわれていては本当の姿が見えてきません。結果に至るまで、どう行動し周囲を巻き込んでいったのか。また、その人の課題やコミュニケーションの取り方に対する視点も重要でしょう。このように、数字に表れない行動特性に焦点をあてることが、営業職の部下が上司にコメントする際の注意点です。
営業職の部下が上司にコメントする際のポイント
営業職の部下が上司にコメントする際、焦点をあてる行動特性のポイントを解説しましょう。
【コメントする際に焦点をあてるポイント】
・コミュニケーション能力
・行動力
・課題発見能力
・他部署との連携
以上のような、数字として表れないスキル・能力・行動に焦点をあてます。「相手のため」を考え「改善につなげてもらう」ことを意識してコメントしましょう。
関連記事:部下から上司へ改善点や強みをコメントする際のポイント
営業職「部下が上司に期待すること」のコメント例文
それでは、営業職の部下が上司に「期待すること」のコメント例を紹介します。
コミュニケーション能力に関するコメントの例
営業職のメンバー全員に、分け隔てなく声をかけていただいています。話もよく聴いていただき、不明な点には適切なアドバイスもあり、本当に信頼できる方です。私が言葉にしにくい部分についても、代わりに表現していただき話し手を理解しようとされている姿勢がよく分かります。
一点だけ申し上げると、少し雑談が多いように思います。コミュニケーションが活発なのはいいのですが、ミーティング中にも本題と関係のない話をされることがあり、ミーティングが中断してしまいます。この点を改善していただければ、今以上に内容の濃いミーティングになるのではないかと思います。
行動力に関するコメントの例
常に顧客を意識した営業活動を行われており、その行動力は学ぶことが多く、メンバーにとって素晴らしいお手本になっています。先日も、顧客対応で迷っている私に対して、ご自分の経験からくる対応策を教えていただき、顧客に納得していただくことができました。
ただ、豊富な経験や実績からくる大きな自信が、私たちメンバーのプレシャーになることもあります。ご自分の意図については丁寧に説明していただけるのですが、時にメンバーの行動をさえぎってしまわれることがあります。できれば、メンバーの自主性や主体性を尊重していただきたいと思います。
課題発見能力に関するコメントの例
前年度比120%の営業目標を達成し、営業課は今年も高い評価を受けることができました。これは、いい数字に満足することなく常に課題を設定し、その課題の解決を目指した結果です。いつも課題発見にリーダーシップを発揮されている上司は、本当に頼れる方です。
一方で、顧客満足度は昨年と変わらない結果になりました。今後は営業成績を従来通り追求しつつも、もっと顧客目線を意識し、その満足度を上げていく必要があると思っています。そこにどう向き合っていくのかを、今年の営業課における最重要課題として位置づける必要があると考えています。
他部署との連携に関するコメントの例
直近の案件においても、クライアントが満足する製品を納めることができました。これも他部署との連携があってこそですが、上司のネットワークでクリアすることができました。部署内はもちろんですが、他部署との連携の見事さは大いに学んでいきたいと思っています。
ひとつ申し上げるとすれば、これからは人を育てることも重要だと思います。ぜひ、持っておられる関係構築力のご指導をお願いします。他のメンバーとも話すのですが、私たちだけで全てを身につけることは難しいのが現実です。連携について、他部署とミーティングを行うことも視野に入れ検討いただければ幸いです。
関連記事:部下が上司を評価するメリット
最後に
今回は、営業職の部下が上司を評価する手法や機会について、コメント例文を交えながら解説しました。「部下が上司を評価する」というと、なかなか現実味がわかないかもしれません。しかし、価値観が多様化する社会において、「評価」に対する考え方は変わってきているのは確かです。
人材獲得競争が激しくなる中、働く従業員の満足度やエンゲージメントをどう高めていくのかは、人材の定着にとって極めて重要な課題です。この課題をクリアするには、公平かつ客観的な評価の実現が必要不可欠でしょう。部下が上司を評価する施策の導入は、公平かつ客観的な評価を実現する上で大きな効果を生むはずです。
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