2017.06.20
360度評価
360度評価の活用
組織・人事ビジネス業界において、その良質なサービスの提供により脚光を浴びている株式会社JIN-G様。
クライアントの1つである社員数30,000名の大手運送業(A社)に対するマネージャー研修の運営では、当社の360度サーベイサービスをご活用いただいている。
今回はインタビュー形式で、360度サーベイ全般についていろいろとお話をお伺いした。
Interviewee:
三城 雄児 氏
(株式会社JIN-G 代表取締役)
石橋 恵梨 氏
(株式会社JIN-G コンサルタント)
Interviewer:
滝本 隆
(リアルワン株式会社)
初めに御社の事業内容のご紹介をお願いします。
- 三城
当社は、組織人事コンサルティング事業と、国内・海外研修を行うエデュケーション事業をコアビジネスとして展開しています。
制度設計などのコンサルティング業務や集合研修の企画・運営のほか、ユニークなサービスとしては、「すべてのビジネスパーソンに、人事・人材開発リテラシーを。」をテーマにした人事・人材開発のコミュニティー『人事の大学』、テレビ東京の番組「ガイアの夜明け」にも取り上げられた超実践型海外研修『ミッションコンプリート』などがあります。
今後は、グローバル人材育成や海外でのビジネス展開を積極的に進めていくことを考えています。
貴社が360度サーベイを導入した研修プログラムをデザインするにあたり、 当社をパートナーに選んだ理由について教えていただけますか。
- 三城
当社はビジネスにおいて、「お客様の役に立つために提案する」という視点がまず一番にきて、プロダクトを提供するということはその後になる、というプロセスを重視しています。
プロダクトアウトで物を売るために無理やり提案するというスタイルではなく、お客様の役に立つために何が一番良いやり方かということを考え提案するのが、私たちの営業のスタイルでありコンサルティングのスタイルです。
以前、リアルワンさんと一緒にお仕事をした際に、同じビジネススタイルを感じていて、そこが今回のパートナー選びにおいて重要なポイントでした。
360度フィードバックを研修プログラムとして実際に展開するにあたり、 何か工夫されたことはありますか?
- 三城
サーベイの設計にあたっては、リアルワンさんが保有している標準項目を活用するほかに、A社の経営理念を体現する行動が取られているかを問うオリジナルの質問項目を設けました。
また、マネージャーになってから半年後とその1年後に計2回の研修を行うことで、サーベイ結果を比較しその変化を見ることができるというプログラム構成にしました。
さらに今回は、500名のマネージャーを対象とした研修だったこともあり、全ての研修終了後に人材育成部門に対して、リアルワンさんの協力をいただきながら、全対象者の回答データを使って統計分析を行い、A社マネージャーの全体傾向に関するレポートを作成し報告しました。
実際の研修の場では、360度フィードバックをどのように活用されているか ご紹介いただけますか。
- 石橋
A社では、1年目のマネージャーを対象に、自分のマネジメントの現状を認識してもらうためのセッションの中で、360度フィードバックを活用しています。
通知表のように受け取ってしまう方もいらっしゃるのですが、あくまでも自分が将来、よりよいマネージャーになるためのひとつの手段として取り入れている、ということを強調した上で、レポートを読んでいただくようにしています。
「自分としてはこういうつもりでやっているのに、相手には違うように映っている原因はなんだろう」という点を中心に考えてもらっています。
実際の研修参加者の方々の反応はいかがですか?
- 石橋
「自分の意図していることが汲み取られていない、ということがわかった」「こんなに思いを持ってやっていても相手は受け取ってくれてなかった」といった反応が見られたりします。
一方、「ちゃんと伝わっていたんだな、ということがよくわかりました」という方もたくさんいらっしゃいます。
実際の企画段階や調査実施段階における当社の取り組みについて、 フィードバックいただけることはありますか?
- 三城
今回の案件では、クライアントの経営理念の体現行動を質問項目にするというニーズがありました。
お客様がおっしゃったことをそのまま文章にして「質問を3つずつ加えました」という対応でいいかなと思っていたのですが、「それじゃあダメです」と貴社の青山さんが主張して。
とにかく10個の質問を作るには100個の質問から絞っていかなければいけない、その質問を作るためには、経営理念を体現している行動というのが何なのか、現場の方から生の声を聞いていかなければダメだ、ということで、実際に現場へヒアリングにまで行きました。
サーベイ設計という世界の中でプロフェッショナルとして取り組んでいるんだなということを感じた瞬間でした。また、当社が発注側にあたるのですが、青山さんは「もっとこういう風にやりましょう」と明確にダイレクトに伝えてくれるという点もプロを感じました。
お互いの仕事の進め方に対してフィードバックをし合ったこともあり、自らの仕事の仕方を改善する良いきっかけをもらいました。
お互いに指摘し合える関係というのは、パートナーとしてすごくいいところだと思います。石橋実際のオペレーションについては、調査期間中は、貴社のアドミニストレーターの方がいつも非常に細かくケアしてくださっているので助かっています。
当社の調査の質という観点からはいかがですか?
- 三城
他の調査会社の中には、統計的な見地に立っておらず、調査項目もレポートも安易に作っている会社も多いですが、結局はお客様に見抜かれてしまいます。
適当に作れてしまうことがわかっているからこそ、しっかりと作ってくれるプロに頼みたいと考えています。
リアルワンさんは、定点観測して常にブラッシュアップしていたり、質問項目自体の検証もかなりしっかりとした統計的な見地から行っていて、本物の調査結果を見せられるのがいいところです。
コンサルティング・研修事業を展開している貴社の立場から、 360度フィードバックの活用について、アドバイスをいただいてもいいですか。
- 三城
リーダーシップは自分だけで鍛えられないし学べない、人からの指摘で自分を変えるしかない、自分が変わるしかない。
そのきっかけを与えるには一番良いツールなはずです。
管理職以上が自分自身を自分で変えるためのきっかけづくりに、360度フィードバックは効果を発揮すると考えています。
ただし、360度フィードバック実施後に変わるかどうかは、これはまた本人次第で、本人がやるかやらないかに完全に依存します。
そのため、導入する時には「本気で変わらなきゃ」と思わせるような雰囲気作りや、タイミング、メッセージがすごく大事だと思います。 そして、講師の解説を通じて学ぶというよりは、何か「ハッ」とさせられるきっかけによって気づく。
内省、セルフリフレクションの時間が重要となります。
その他、サーベイの活用ということについて、何かありますか?
- 三城
360度サーベイや社員満足度調査については、実施後にいい成果や変化が現れたという成功事例を早いタイミングで共有していくことが大切です。
このことは、最初の設計導入前の段階から意識しておいたほうがいいと思います。
サーベイというのは「刃の剣」で、調査後に何もアクションが起きないと、その後の組織の雰囲気に悪影響を及ぼす可能性があります。
サーベイの後にはしっかりと取り組んで改善したという成果を計画的に公表していくことの重要性をお客様には伝えるようにしています。もう1つ感じている可能性が、現在当社でも積極的にビジネス展開をしている海外における人材マネジメントです。
現地スタッフと日本人の管理職との間には、往々にして言葉の問題を含むコミュニケーションの課題があってうまくマネジメントができていない。
しかし、できていない状況の中であっても相手を知ろうとすることは大切なことで、その手段として、コミュニケーションのきっかけづくりとして、従業員満足度調査や360度サーベイというのは結構使えるツールなはずです。
一般的に社員定着化が課題となっている海外の日本企業においても、定着化を解決する手段として、360度サーベイというものをもう少し活用していきたいと思います。
今のお話の中にもありましたけど、サーベイというものは、コミュニケーションの きっかけづくりになる要素がものすごく大きいと、自分自身もクライアント様を 訪問する中で実感するところがあります。 サーベイを実施することの本質を表現している言葉のひとつだな、と改めて感じました。 最後に、今後の当社に対する期待などがあれば是非一言お願いします。
- 三城
もっとビジネスでの連携を深めていきたいですね。
当社も海外への進出を始めていますが、例えばベトナムではまだサーベイのマーケット自体があまりない。
今後の360度フィードバックや従業員意識調査の実施に向けて、いろいろと協力していただければと考えています。
- 石橋
今後もパートナーとして一緒にやっていければと思っています。
よろしくお願いします。
株式会社JIN-G
業種:コンサルティング事業、エデュケーション事業
従業員数:12名
サービス名:360度評価